第45回きき酒会 2002年4月12日(土) 詳細リポート


会場 ろばた焼はしもと
大分市中央町 2−6−24 Tel. 097−536−4597
会費 6000円
開会 19時00分

テーマ・「第45回IZAKAYAきき酒

     〜 ひさしぶりに県産酒中心に 〜

参加者 21人 (+3人)

今回のお酒一覧

銘柄(飲んだ順) 種類 蔵名 入手価格
千羽鶴・一粒万倍 純米 大分県・佐藤酒造 1800ml \2100
一の井手 純米 大分県・久家本店 720ml \1262
薫長 純米 大分県・クンチョウ 720ml \1048
薫長・豆田 純米 大分県・クンチョウ 720ml \1320
鷹来屋  特別純米・無濾過生原酒 大分県・浜嶋酒造 1800ml \2700
飛露喜  特別純米・無濾過生原酒 福島県・廣木酒造 1800ml \2430
奥播磨 大吟醸 兵庫県・下村酒造店 720ml \3500
龍梅 大吟醸 大分県・藤居酒造 720ml \3400
千羽鶴 大吟醸 大分県・佐藤酒造 720ml \3110
10 鷹来屋 大吟醸・無濾過生 大分県・浜嶋酒造 1800ml \5000
11 一の井手・慶 大吟醸 大分県・久家本店 720ml \3689
12 西の関・秘蔵酒 大吟醸 大分県・萱島酒造 720ml \3900
13 大吟醸 差し入れ品


 選酒のポイント、ひとことご紹介

今回は第35回以来の「県産酒中心」の選酒で、最近の大分のお酒を味わってみようという企画です。
 
 このため、「純米」と「大吟醸」というふたつのジャンルに分けてお酒を集めてみましたが、やはりこれという大分の酒を確実に集めるというのは相変わらず難しいことだとわかりました。しかし、いまの大分のお酒のレベルを知るには十分な銘柄と種類が集まったと思います。

 なぜ「純米」と「大吟醸」かというと、「純米」はその蔵の平均的なレベルを知ることができると思っています。つまり、「純米」がよくなければあとは推して知るべし・・・と考えているからです。
 また「大吟醸」は、当然のことながらその蔵の醸造技術のひとつの高みを反映しているわけですが、1点豪華主義は当然あるわけで、鑑評会金賞レベルの大吟醸は出しているのに、純米なんかは妙にまずいという蔵だって、日本中いくらでもあるわけです。

 で、県内の多くの蔵の純米と大吟醸を集めたかったのですが、あまりにも種類が多いとかえって難しいことになると思い、「一の井手」「千羽鶴」「鷹来屋」の3蔵のみ両方を調達しました。その理由は、この3つの蔵は私の経験上大吟醸も純米もきちんと造っている蔵だと感じていたからです。

 さらに、これらに比較するためにそれぞれのジャンルで県内外の有名酒を集めました。

まず「純米」ですが、

「千羽鶴・一粒万倍」は佐藤酒造が出したばかりの新銘柄。

「一の井手」の純米は昔から定評があります。

「薫長・純米 豆田」と「薫長・純米」は日田の酒で、昔から純米に力を入れていますが・・。

「鷹来屋・特別純米」これは、今回の目玉かもしれません。無濾過生原酒として「飛露喜」との比較です。

「飛露喜・特別純米」はいつ出しても大人気。

次に「大吟醸」は、

「奥播磨」は県外のリファレンスとして選びました。こういうきりっとしたシャープな大吟醸と、県産酒とを比較してみたいと思ったのです。

「龍梅」は、個人的な事情(経営者が同級生なので・・・)ですが、最近は多少期待しているもので。

「千羽鶴」は、かつてのきき酒会の定番、リファレンスでした。

「鷹来屋」が今回の目玉第一でしょうか。斗瓶取りの無濾過生で一升5000円は高くはないでしょう。

「一の井手・慶」は3年熟成の古酒です。西の関と比較してみたいと思いました。

「西の関・秘蔵酒」はあまりにも有名ですから、やはりはずせないところでした。ただ、最近いい評価が聞こえてこないのが気になるところです。これも古酒ですが、2年熟成ときいています。


という観点から選んだ酒でした。


というわけで、今回の45回きき酒会リポートは・・・

 実は今回、お酒の「好き度」アンケートも用意したのですが、みんな(私も含めて)よく飲んだせいかもらい忘れた感じで11人ぶんだけ残っていました。

 アンケートとしては、好きな程度に応じて「◎◎」から「◎」「○」「△」とつけてもらったのですが、サンプルが少ないので集計はしていません。

 ただざっと見たところでは、純米の部では「千羽鶴」と「一の井手」の両銘柄に比較的○が多くついています。私も○をつけたのですが、千羽鶴純米はなかなか高C/Pと思います。

 また、特別純米の「鷹来屋」と「飛露喜」、これはほとんどの人が◎をつけています。中には◎◎という人も。
 私はこの2銘柄、まったくいい勝負と思い両方◎ですが、C/Pを考慮するなら、ほんのわずかに飛露喜ポイントですね。ただし、飛露喜の酒質は前回のものの方がよかった。酒そのものの比較なら、鷹来屋の方がいいかもしれません。

 
 次に大吟醸は、けっこうバラつきがありました。

 驚いたことに、「鷹来屋・大吟醸」は回答11人中10人が◎か◎◎、ひとり○と圧倒的。私は◎です。
 その他◎をつけたのがふたり以上あった大吟醸は、「奥播磨」と「千羽鶴」の2銘柄でした。

 このほか、「龍梅は思ったよりよい」とか、一の井手・西の関について「古酒は苦手」、あるいは「秘蔵酒はコンディションが悪かったのではないか」等、いくつかのコメントがありました。

 私としては、「奥播磨」の透明感のある酒質はいいと思いました。大吟醸のあるべき姿のひとつです。ただし私の好みではありませんので○。
 一方、「鷹来屋」の腰の据わったキレイさはただものではナイという印象です。

 「奥播磨」は、どこまでもすっと、キレイに品よく通っていきます。しかし「鷹来屋」は、喉まではすっきりキレイなのに、ぐっと味のふくらみが追っかけて来る感じ。ひとくちで2度おいしい・・というようなイメージです。ただし、あとくちというか喉にややからむ感じが気になる人はいるでしょう。

 以上から私の「好き度」を整理しますと、以下のようになります。

純米

千羽鶴・一粒万倍
一の井手
薫長 ×
薫長・豆田
鷹来屋・特別純米
飛露喜・特別純米

大吟醸

奥播磨
龍梅
千羽鶴
鷹来屋
一の井手・慶
西の関・秘蔵酒 ×
※これは私の「好きな度合い」であって、いい悪いを評価しているわけではありません。

 結論として今回のきき酒会は、鷹来屋の特別純米と大吟醸に席巻された感がありますね。

 千羽鶴の純米もそれなりによいものでした。なかなかC/Pのよい純米酒として、お奨めできるものです。しかし、千羽鶴の大吟醸は、昔から知るものとしてはやや残念な思いでした。決して悪くはなく、より高価な西の関よりも龍梅よりもずっといいのですが、以前のような「これぞ九州の大吟醸」みたいな、しっかりした個性が乏しい。わりと平均的な味になっていると感じました。

 久しぶりの県産酒特集、なかなかおもしろかったです。



おまけとして


とても荒っぽい比較なのですが、C/Pを比較するために、180cc(1合)あたりの価格を算出してみました。
1升瓶も4合瓶も並べて比較していますので、大体の傾向だけです。安い順で、数字は価格で円単位です。

1 千羽鶴・一粒万倍 純米 210
2 飛露喜 特別純米  243
3 クンチョウ 純米  262
4 鷹来屋 特別純米  270
5 一の井手 純米  316
6 クンチョウ・豆田 純米  330
7 鷹来屋 大吟醸  500
8 千羽鶴 大吟醸  778
9 龍梅 大吟醸  850
10 奥播磨 大吟醸  875
11 一の井手・慶 大吟醸  922
12 西の関・秘蔵酒 大吟醸  975

数字の比較は意味がありませんが、C/Pの判断の参考にはなるでしょう。


45回きき酒会ビジュアル版へ



前のページへ     利き酒会メニューに戻る     最初のページに戻る     次のページへ