家づくりとは「組曲」。ここで言う組曲とは、いくつものコンテンツを連続して演奏するように組み合わせ、組み立て、構成していくということです。お客様の「想い」に応える家づくりとは、素材、技術、心、風景、佇まい、そして「住まい」の基本としての構造、性能。これら全ての組曲なのです。決して単調ではない作業ですが、私たちがこれまで培ってきた経験、技術、発想力で情熱と誠意を持って取り組むことでお客様の「想い」を「かたち」として築きあげることができると信じています。そうして築き上げたものを、引き続きお客様に受け継いで頂きます。
日本の気候風土において、軒を出すということはとても重要です。夏の暑い陽射しはさえぎり、冬の陽差しは部屋内に取り込む。それと同時に、雨・風から外壁の劣化を防ぎ、建物を永く保護します。日本建築の特色の一つに「屋根が美しい」ということが挙げられますが、この低く深い軒が建物の外観を決定する重要なものとしても、とても理にかなった必要の美だと考えています。
建物と庭は一体だと私たちは考えています。なにも、お金をかけて立派な庭を作りましょうということではないのです。アプローチにでも、中庭でもどこかには自然を身近に感じられるような樹木、花、水鉢を配置しませんか。樹木には建物を美しく見せる力があります。そこに緑が添えてあるのとないのでは訪れる人の印象が全く異なるのです。何よりも、暮らしの中に庭(緑)ををつくるということは、身近に四季を手に入れるということです。きっと、建物と共に「一体としての住まい」を育てていきたいと思うはずです。「建物」と「外構」、「造園」は本来独立してはいけないはずです。そういう「一体としての住まい」を丁寧に自社で計画、設計させて頂くのも私たち河の組の特徴です。
風景になじむ佇まい。それは屋根の姿であったり、色彩や庭木、あるいは住人の手入れだったりするかもしれません。それから「住まい」とは地域の中に共にあるものですから、その地域に無関心、無責任であってはならないと思います。道往く人にもちょっとした景色を、客人、友人、なにより住人が敷地の中でも季節を感じられるような家づくりを、と心がけています。