九州の東側、大分県由布市湯布院町は海抜450mの四方を山に囲まれた盆地の町で、日本第3位の湧出量を誇る温泉と、年間400万人も訪れる観光の町です。
この小さな町で湯布院映画祭は1976年に始まり、2022年で47回目、日本で一番古い映画祭となりました。
湯布院町の村おこしと大分市の映画ファングループが意気投合して生まれたのです。日本映画のファンと日本映画の作り手が出会う場としての映画祭というのが、この映画祭のコンセプトです。
全員ボランティアによる実行委員会形式で、最初はみんな学生&25才前後の若者たちで始まりましたが、現在は20代から70代までの幅広い年齢層で構成されています。中には第1回より現在まで一回も欠かさずに実行委員として活躍されている方も居ます。湯布院町の実行委員の方も居ますが大部分が町外に住んでいる実行委員の集まりなので、湯布院町内の人々に様々な協力をいただいています。
湯布院映画祭は四本の柱で構成されています。
第一の柱、前夜祭は建築家磯崎新氏設計によるJR由布院駅前広場にて無料で上映されます。(雨天・荒天時はゆふいんラックホールに場所を移して)。最近は神楽も上映前に上演され好評を博しています。前夜祭は第13回より湯布院映画祭のオープニングセレモニーとして実施され、主に娯楽的な映画が中心でここでは1本のみ上映です。
第二の柱は映画の特集上映、日本映画を様々な角度から特集します。東映京都、大映京都撮影所特集や変身映画特集などテーマ別や、マキノ雅弘監督、俳優豊川悦司氏などの個人特集、脚本家、プロデューサー、録音技師など映画を裏側で支えているスタッフの特集、などそれぞれに関連した作品を2日間にかけて上映し、特集の最後には新作と同様にシンポジウムが開催されます。
第三の柱は、新作映画ののプレミアム上映です。日本でまだ未公開の作品は特別試写作品として、既に公開されている作品は特別上映作品として数本が上映されます。映画上映前に来場ゲストによる舞台挨拶が行われます。映画の上映後、すぐに行われるシンポジウムでは苦労話や裏話など会場だけのマル秘話も出たりします。もちろん参加者から質問も出来、参加者からは賛否両論のさまざまな意見や感想が次々に出て白熱します。
最後は毎夜10時から場所を変えて行われるパーティ(※2020年と2021年は新型コロナにより実施しておりません)、おいしい料理と酒がふんだんに振舞われ、参加ゲストである映画の作り手側と直接参加者が話し合う場になります。
以上、会場の設営から後片付けまで、映写以外のすべての作業を映画ファンの集まりである実行委員が行います。
湯布院映画祭は劇映画のお祭りですが、1998年に文化映画や記録映画を集めて行う、ゆふいん文化・記録映画祭がスタートしました。前夜祭は乙丸公民館で行われ、メイン会場は、こちらもゆふいんラックホール。映画人以外のゲストが多いのが特徴です。また、3月には同じくゆふいんラックホールを使ってこども映画祭も行われます。年3回も映画祭が行われる湯布院は、映画祭の町でもあります。
※注 湯布院映画祭は由布市湯布院公民館で1976年の第1回から2020年の第45回まで映画上映とシンポジウムの主会場として使用されてきましたが建物の老朽化などにより2021年の第46回より由布市庁舎と併設である「ゆふいんラックホール」内ての映画上映とシンポジウム開催へと変更となりました。
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