九州の東側、大分県由布市湯布院町は海抜450mの四方を山に囲まれた盆地の町で、日本第3位の湧出量を誇る温泉と、年間400万人も訪れる観光の町です。
この小さな町で湯布院映画祭は1976年に始まり、2024年で49回目、日本で一番古い映画祭となりました。

湯布院町の村おこしと大分市の映画ファングループが意気投合して生まれたのです。日本映画のファンと日本映画の作り手が出会う場としての映画祭というのが、この映画祭のコンセプトです。

全員ボランティアによる実行委員会形式で、最初はみんな学生&25才前後の若者たちで始まりましたが、現在は20代から70代までの幅広い年齢層で構成されています。中には第1回より現在まで1回も欠かさずに実行委員として活躍されている方も居ます。湯布院町の実行委員の方も居ますが大部分が町外に住んでいる実行委員の集まりなので、湯布院町内の人々に様々な協力をいただいています。


※2021年開催の第46回より長らく使用していた湯布院公民館から新たな施設「ゆふいんラックホール」に会場を移して開催しています。

湯布院映画祭は四本の柱で構成されています。

第一の柱、前夜祭は建築家磯崎新氏設計によるJR由布院駅前広場にて無料で上映されます。(雨天・荒天時はゆふいんラックホールに場所を移して)。最近は子供ダンスや神楽も上映前に上演され好評を博しています。前夜祭は第13回より湯布院映画祭のオープニングセレモニーとして実施され、主に娯楽的な映画が中心でここでは1本のみ無料上映です。

第二は特集上映、日本映画を様々な角度から特集します。東映京都、大映京都撮影所特集や変身映画特集などテーマ別や、マキノ雅弘監督、俳優豊川悦司、原田美枝子氏などの個人特集、脚本家、録音技師など映画を裏側で支えているスタッフの特集の実績があり 映画上映前にゲストによる舞台挨拶が行われる場合も有ります。

第三の柱は新作の上映です。まだ全国で未公開の作品(特別試写)と一部の地区で既に公開済み(特別上映)の作品を上映し、映画の上映後、行われるシンポジウムでは制作サイドから数名を招き苦労話や裏話など会場だけのマル秘話も出たりします。参加者からは賛否両論のさまざまな意見や感想が次々に出て白熱する場合もあり、 参加者から映画やゲストに関する質問も出来ます。

最後は毎夜10時前後から行われるパーティ、おいしい料理と酒がふんだんに振舞われ、参加ゲストである映画の作り手側と直接参加者が話し合う場になります。会場の設営から後片付けまで、映写以外のすべての作業を映画ファンの集まりである実行委員が行います。

湯布院映画祭は劇映画のお祭りですが、1998年に文化映画や記録映画を集めて行う、ゆふいん文化・記録映画祭がスタートしました。前夜祭は乙丸公民館で行われ、メイン会場は、こちらもゆふいんラックホール。映画人以外のゲストが多いのが特徴です。また、3月にはこども映画祭も行われます。年3回も映画祭が行われる映画館の無い湯布院は、映画祭の町でもあります。

 
 野外上映の設営
 ゲストによる舞台挨拶
 シンポジウム
 スタッフによる進行
 パーティー