IZAKAYA-2 第22回(通算82回)きき酒会

〜 忘年きき酒会2012 〜


IZAKAYA−2 第22回(通算82回)きき酒会リポート

日時 2012年12月23日(日)18時 開会
会場 レストラン石合船 大分市中央町3-5-13 Tel. 097-536-3648
会費 6000円 

テーマ 忘年きき酒会2012 純米大吟醸と雄町特集  
参加者 27人 


毎年の最後は忘年きき酒会 今回は第一部が「人気の純米大吟醸飲み比べ」として「獺祭」「南部美人」など5銘柄。また第二部は「雄町特集」という2部構成にしました。

会場は大分市の竹町通り西口のレストラン石合船で、ここにお願いするのは3回目。個人的には昼食にオムライス(大人の味です)を食べに寄ったりしていました。

当初の予定は20人ぐらいを予定していましたが、最終的には28人(ひとりキャンセルとなりました)のエントリーとなって、幸い会場がやや広いスペースのために収容できましたが、どうなるか多少心配しました。
獺祭 南部美人 東一 玉川 義侠 出羽桜 屋守 鶴齢 松の司 奥播磨 白隠正宗
ありゃ、一番左の「獺祭」が切れてしまいました。この写真撮ったときはもうかなり酔いが回っていましたので、その時にはフレーム外というのに気がつかなかったものと思います。
この中では京都の「玉川」と東京の「屋守」が今回初登場です。
純米大吟醸が5銘柄、雄町が6銘柄、一升瓶が11本並んだのですが、なんと!全てカラになってしまいました。ひとり4合見当を飲んじゃった計算になりますよ。

今回のお酒の詳細一覧

    銘柄 特定名称 使用米・精米歩合 その他
獺祭・磨き2割3分 純米大吟醸 山田錦 23% 旭酒造 山口   
南部美人 純米大吟醸 山田錦 35% 南部美人 岩手 純米酒大賞酒
東一 雫搾り 純米大吟醸 山田錦 39% 五町田酒造 佐賀  
玉川 純米大吟醸 山田錦 40% 木下酒造 京都 2010BY
義侠・慶  純米大吟醸 山田錦 40% 山忠本家酒造 愛知 2004BY
出羽桜 純米吟醸 雄町 50% 出羽桜酒造 山形  
屋守 無調整生 純米吟醸 雄町 50% 豊島屋酒造 東京   
鶴齢 特別純米 雄町 55% 青木酒造 新潟 無濾過生原酒
松の司 渡船 純米吟醸 渡船 50% 松瀬酒造 滋賀 渡船6号 2008BY
10 奥播磨 山廃 純米 雄町 65% 下村酒造場 兵庫 2008BY
11 白隠正宗 山廃 純米大吟醸 雄町 45% 高島酒造 静岡 2011BY


第22回IZAKAYA−2きき酒会リポート

洋食レストランですが和食も

石合船は本来洋食レストランですが宴会用の和食も出して貰えます。今回3回目になるのですが、和・洋の料理が次々と出てくるので参加者に好評なのです。

忘年会は毎年かなりの参加者があるので広めの会場を確保しておく必要があり、けっこう悩むところなのです。
この座敷には詰め込めば30人は座れるとのことでしたが、今回最終的に27人の参加者でしたので、ご覧のようにかなり混み合ってしまいました。

それぞれに個性があって

「獺祭」は磨き2割3分つまり23パーセント精米歩合ですから、高価な山田錦の77パーセントが糠になってしまうという贅沢なお酒ですが、クリア感があるのにしっかりうま味がありました。少なくとも去年よりは濃いめの味との声も。

「南部美人」はパワフル感は一番でしょうか。フルボティの重量級の味わいはさすが純米酒大賞受賞酒。
「東一」は今回いささかおとなしめの印象で、南部美人や玉川という個性ある大吟醸に囲まれてちょっと損をしたかもしれない。

義侠「慶」はすごいなあ

しかし、「義侠」の慶は40パーセント精米でありながらむしろきれいさでは獺祭を上回るような印象。2004BYだけあって枯れた古酒の味わいが品格となって、ほとんどモンクのつけようが無い・・・とため息が出ました。もちろん、皆さんの一番人気は「義侠」です。それに続いては「南部美人」「玉川」というところが支持を集めました。

外国人杜氏として有名なハーパーさんの「玉川」もバランス良くしっかりした主張があって、かなりの支持者がいました。京都と言っても丹後ですから日本海側です。

「やもり」ではなく「おくのかみ」です

私がやりたかったのは実は「雄町特集」。
出羽桜の雄町と鶴齢の雄町、さすがどちらも雄町らしい旨い酒として人気の酒ですが、初顔である東京は東村山の豊島屋酒造「屋守」が、正直言って意外と思えるほどふくらみのある味わいで、びっくりしました。皆さんの評判もなかなか高いものでした。

屋守と書いて「おくのかみ」と読むそうで、「家(蔵)を守る」という意味だそうな。やもりではありません。この蔵、本来は「金婚」という銘柄だそうな。

白隠正宗の重量感は最高

事実上の第3部は雄町の山廃です。
ある程度予想はしていたのですが、白隠正宗の山廃は雄町の旨味に山廃の力強さが加わって、しかも大吟醸レベルのきれいさもあって、本日の白眉とも言うべき一本でした。

奥播磨の山廃は、いかにも奥播磨らしい味わいで、良い意味での雑味が豊かで、燗酒がまた良かったです。
松の司は、前後の重量感に挟まれていささか印象が薄い感じで、何のメモも残っていません・・・。

山廃は焼肉にも合うのです

最後の2本は事実上の第3部なのですが、それはこのお店では和・洋混合の料理のうち、終りの方は写真のように牛肉やサザエなど海鮮の石焼きが出てくるので、そのタイミングで山廃を出してみようと思ったのです。
白隠正宗、奥播磨ともしっかりとその希望をかなえてくれました。焼肉系にしっかり合うのですね。

なお、焼き方をつとめてくれた左の女性は仲居さんではなく、参加者のおひとりですので念のため。

「渡船」は実は「雄町」なのです

松の司の「渡船」を入れてあるのですが、これは「渡船」がもともとは「雄町」であるとされているからです。ただし、現在の渡船は雄町とは別物だという見解もあり、この松の司を飲んでみても正直なところ雄町なのかどうかはわかりませんでした。
なお、写真には「渡船6号」とありますが、渡船は当初1号から6号まであり、山田錦の親である「短稈渡船」は2号であろうと推定されているようです。

雄町・渡船について私の理解 ※当日説明のため配布した資料のPDFファイルへリンクしています

最後はいつものように記念写真

あれ、いつの間にか人数が少なくなっています。このころにはもう私を含めてみんなヨッパライ状態で、誰がいつ帰ったのか気がつかないままでした。

靴を間違えて履いて帰った人もいるしで、最後ひと騒ぎがありましたが、それ以外はみんな喜んで帰った、または楽しく2次会へと散っていったようです。ヨカッタヨカッタ。

しかし、なんで壺を抱えているんだろう。


さて、それぞれのお酒についての私の独断的・個人的感想をひとことだけ
(後半は単なるヨッパライになって、いささか記憶の混乱もあるかもしれません)


銘柄 わたしのひとこと
獺祭 去年よりやや甘口に感じた すっきりきれいだがほどほどに旨味があり、線は細いがバランス良し
南部美人 好みという点ではこれが一番好みかも パワフルな濃淳でありながら軽快なクリア感もあります
東一 雫搾りのせいかずいぶんと軽くおとなしく感じたが、熟成させればもっと良くなるかもしれない
玉川 やや甘口で濃淳な印象だが、のど越しは良くけっこう量も飲めそうだ この味けっこう好みです
義侠 僅かに貯蔵臭があり古酒系が苦手な人には勧められないが、この中では頭一つ抜き出た品格
出羽桜 香り押さえた味吟醸という印象 ただ前回に比べると少し軽くなった感じで、これはこれで良いが
屋守 やや甘口と思えるがしっかり酸もあって、濃淳な中にもなかなかバランスの良い個性を感じる
鶴齢 無濾過生原酒のせいか濃厚でパンチのきいた味だが、出羽桜や屋守と共通する好印象がある
松の司 渡船は雄町と同じと言いながら、やはり別物という声もある ちょっと印象に残らなかった
白隠正宗 さすが白隠正宗の山廃 口の中で酸味・旨味の波状攻撃という感じで、今回の中で最も好みか
奥播磨 いかにも奥播磨の山廃 やや雑味を感じるがそれが味わいの複雑な幅広さになって燗酒が旨い

私はもともと「やや甘口の濃淳系」が好みなので(というか、それが日本酒本来の姿だと思っている)、今回は純米大吟醸の部では「南部美人」ついで「玉川」というところが好みでした。「義侠」はもうその辺を越えた別格です。

雄町の部では、やはり「白隠正宗」がダントツで、あとは「出羽桜」「鶴齢」「奥播磨」「屋守」がそれぞれに個性がありほとんど横一線かな。「松の司」が思ったほど個性が無かった・・・・という印象ですね。

今回は久しぶりにまったく県産酒がありませんでしたが、純米大吟醸にも雄町特集にも、残念ながら候補としてこれという県産酒を思いつかなかったのです。うーん、がんばれ県産酒。



さーて、次は4月に新酒の会だろうなあ



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