IZAKAYA-2 第4回きき酒会

〜 「山吹極」朝日川酒造蔵元を迎えて 〜


IZAKAYA−2 第4回きき酒会リポート

日時 2008年5月23日(金) 19時から
会場 花邨 (はなむら) 大分市中央町4丁目2-5 全労済ビル2階  
会費 6000円 

テーマ 「山吹極」朝日川酒造蔵元を迎えて
参加者 16人 


 今回は生もと熟成に力を入れ、重厚な味わいの「山吹極・やまぶき」で知られる山形県の朝日川酒造の蔵元、浅黄雅彦常務・杜氏を迎えての開催でした。
 広島での鑑評会から足を延ばして頂き、22日には大分県での扱い店である佐伯市上浦の「池田学酒店」主催の会にも出席して頂いて、引き続き翌23日の大分市での開催に出席して頂きました。
 酒造りへのこだわりなど、とてもオープンにお話し頂き、細かい質問にも丁寧に詳細に答えて頂きました。
山吹極 右端から 1・純米大吟醸無濾過原酒 2・純米吟醸無濾過本生 3・純米無濾過本生 
4・純米吟醸無濾過原酒亀の尾 5・生もと純米原酒亀の尾 6・生もと純米無濾過原酒
左端からさくらんぼのお酒 浅黄水仙 朝日川大吟醸出品酒

今回のお酒の詳細一覧 (飲んだ順)

  銘柄 クラス・特定名称 BY 使用米・精米歩合 酵母 度数 酸度 購入価格
朝日川 大吟醸(出品酒) 乾杯用
山吹極 純米大吟醸無濾過原酒 17 出羽燦々・40% 山形KA 17.8 1.6 \3780
山吹極 純米吟醸無濾過本生 18 山酒4号・50% 山形KA 18.1 1.5 \2680
山吹極 純米無濾過本生 18 山酒4号・58% 山形KA 18-19 1.6 \2415
山吹極 純米吟醸無濾過原酒 19 亀の尾・50% 山形酵母 17-18 1.3 \3150
山吹極 生もと純米無濾過原酒 16 亀の尾・60% 山形酵母 17.9 2.4 \2730
山吹極 生もと純米無濾過原酒 16 山酒4号・60% 山形KA 19.5 1.8 \2470
  浅黄水仙 江戸の仕込再現 純米 長期熟成酒
  朝日川 さくらんぼのお酒      協力・佐伯市 池田学酒店

第3回IZAKAYA−2きき酒会リポート

会場は16人でいっぱいでした。

 この「花邨」でのきき酒会開催は、通算で2回目になるかな? 20人は入れるということでしたが、16人でもちょっと狭い感じでした。

 ただ、お酒などを置いて燗をつけるコーナーはけっこう広く確保できたので、ここに席を作れば一部2列になって、変則的な並びだけど20人くらいは座れる・・・のはたしかですが。

 左の写真のように1列に16人というのは、こちらの端と向こうとでは距離がありすぎて話は通らなかったので、難しいところですね。

 次回は、配置を考えないといけないですが、広さからすると、12〜14人が適正かと思いました。
 

朝日川酒造の「山吹極」

 本来の銘柄はもちろん「朝日川」なのですが、特に純米専用の銘柄名が「山吹極」です。

 基本的に無濾過の原酒なので、生・火入れを問わずどっしり重量感のある味わいで、人によっては重すぎて飲み詰まるという人もいるのですが、燗つけて更にふくらみ、むしろ飲みやすくなる独特の酒質に全国的に固定したフアンが多いのです。

 実は私個人としても、この「やまぶき」というネーミングに関わりを持ったことから、とても愛着を感じているお酒なのです。(下記別項)

質問に答える浅黄蔵元

 自ら杜氏として酒造りの先頭に立つ浅黄雅彦蔵元ですが、どんな質問にも真面目に細かく熱弁をふるっていました。

 今まで数多くの蔵元を迎えて来ましたが、ここまでオープンに、基礎技術から杜氏としてのノウハウに至るまで、本気で懇切丁寧に話してくれる蔵元はいなかったように思います。

 たくさんの質問や意見が出ましたが、中には価格設定が安すぎるのではないかという意見も・・。
 蔵元は苦笑しながら、たしかに苦しいのでぼちぼち検討の時期かと・・と答えていましたが・・、なんとかもう少し頑張ってみますと言っていました。
 今回の参加者は蔵元を入れて16人でした。

 常連の参加者がちょっと少なかったのですが、新参加の人が4人もいて、それなりに盛り上がりました。

 それにしても酒販関係者が5人もいたのは面白いですね。

私の感想です


  銘柄 私の感想
  朝日川 大吟醸 (出品酒) これで乾杯しました。わりと控えめだがぱっと立つ芳香。含んでキレ良くコクあり、喉ごし良し。・・・しかしこれでも金賞が取れないのか・・・?とため息さえ出る高レベルの吟醸酒。アル添ぽさも無く、とても好きな酒です。
純米大吟醸無濾過原酒 大吟醸と言えども、味わいが広がり心にどしんと来るような迫力イッパイの吟醸。しかし決して重たくは無く、すっと喉を通って行き、飽きない。燗をつけてまた柔らかに味が広がり、C/Pはモンクなし。安さが心配になるほどの超お値打ち酒はお奨め。
純米吟醸無濾過本生 無濾過の生なのでやや甘口に感じるが、割とすっきり感もありむしろ飲みやすい。18BYではあるがあまりクセは無く、生もとに較べれば温和しく穏やかな山吹極と言う感じで、生もとが苦手という人にはまずこれをお奨めしたい。
純米無濾過本生 傾向としては純米吟醸とほとんど同じだが、気持ちややクセがあるかなと言う程度の違いを感じるくらい。本生ではあるが18BYの無濾過であり、やや雑味を感じるがむしろ好ましい味の広がりとも言える。生ではあるが燗も良かった。
純米吟醸無濾過原酒 あまりクセは無く、むしろ穏やかでフレッシュ感がある。やや硬いのは亀の尾という米の個性なのか、実に不思議な味の広がり、複雑な味の組合せを感じる。飲み比べると山酒4号との違いもまあわかるが、それでもこちらの方が初心者向きと思う。
生もと純米無濾過原酒 もしかして、亀の尾という米は生もとに合っているのか?と思える味の広がり。いかにも生もと特有のしっかりとした酸味があるが、やや熱めの燗で劇的に世界が変わる。冷やでもうまくそこそこ飲めるが、圧倒的に燗に向いている。
生もと純米無濾過原酒 これこそ山吹極のオリジナル・・と言いたいが、昔に較べるとずいぶんと温和しくなった。とはいえ個性にあふれた生もと系の力強い味は残っている。冷やでは苦手な人もいるだろうが、燗をつけてしっかり旨くなり、このC/Pはやっぱりすごい。
  浅黄水仙 超長期貯蔵とのことですが、上品なリキュールですね。
  朝日川 さくらんぼ酒 これは女性にプレゼントすると喜ばれそう 池田さん差入れありがとう
 二次会も終えた深夜に・・・。

 右、長時間おつき合い頂いた蔵元・・ありがとう・・というのもちゃんと言えたかどうか?

 左、意識がほとんどどこかに行っちゃっている私。というかほとんどヨッパライのまなざし。

 で、なぜこの写真かというと、色違いお揃いのネクタイを見て欲しかったのです。
 
 わかりますか? 「純米酒」という文字をデザインした「酒飲み専用」ネクタイなのです。

 翌日、浅黄蔵元は(たぶん)無事に福岡から仙台経由でお帰りになりました。

みなさんありがとう

「山吹極」との出会いと「やまぶき」という読みかた

 たしか7年ぐらい前、2001年のことだったと思います。
 たまたま仕事で上京した私は、酒の先輩であり尊敬する酒友であるフルネット社長中野氏と一杯飲む約束をしていたのですが、中野氏にまあまあちょっと面白い企画があるから・・・と連れて行かれた店では、酒関係のそうそうたるメンバーのもと、ある酒のコンセプト設定とネーミングの会が開かれていました。

 まずイッパイ・・ということできかせて貰ったその酒は、含んでうわっと思わず噴き出しそうになったほどの個性ある酒。なるほどすごい!これがほんとの生もとの酒なのか・・・!。それが「山吹極」となる酒との感動的出会いでした。

 細かい経過はともかくとして、その酒は生もとの無濾過生原酒の貯蔵酒で、色が山吹色に近かったということから、「山吹極」という名称も決定していたのですが、その読みが「やまぶきのきわみ」と決まりそうになったとき、それまで黙って聞いていたわたしはおそるおそる声をかけました。
 「テレビ屋のコピー感覚からすると、音節的に長すぎて鰻の寝床みたいに聞こえます。いっそやまぶきと言い切ってはどうでしょうか、極を単にきと読んでも差し支えないと思いますが」・・・そう言いながら、多少どきどきでした・・・。

 幸いにも、出過ぎたことと叱られることなく、嬉しいことに「山吹極」を「やまぶき」と読むことに決まったのです。その後、浅黄蔵元とお会いしたときに、「命名して下さってありがとうございました」と声をかけて頂き、いや私は読み方にちょっと関係しただけなのに・・・と思いながらも、関わることができてよかったと、ほんとうに嬉しかったのです。

 だから、池田さんに山吹極を扱って頂き、はからずも今回浅黄蔵元を大分にお迎えすることができたことについては、私としては他の蔵以上に思い入れがあるのはご理解下さい。

 なお、一般には上記の通り「やまぶき」として通用していますが、商標登録上は「やまぶききわみ」となっています。これは他社の登録商標上「やまぶき」という読みで登録があるためときいていますが、通称として差し支えありません。

 詳細については、フルネットの中野社長の「多酒争論」をご覧下さい。
 http://www.fullnet.co.jp/tashiyu-souron/tashiyu-souron020717.htm


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