第50回IZAKAYAきき酒会 2003年10月26日(日) 詳細リポート


会場 ろばた焼はしもと (大分市中央町2-6-24 「通称相生町」 Tel.097-536-4597) 
会費 5500円
開会 18時00分

テーマ・「第50回IZAKAYAきき酒会

  〜第50回記念・・ 「龍力」を楽しむ会 〜  

※姫路の「龍力」株式会社本田商店の本田武義会長をお迎えしました。

参加者 22人 (女性7人 男性15人 初参加ひとり)


今回のお酒一覧 (ビジュアル版はこちら

  銘柄 種類 内容
上三草(かみみくさ) 純米大吟醸 山田錦・35% AL度17.5 日本酒度−2.0
秋津(あきつ) 純米大吟醸 山田錦・35% AL度16.8 日本酒度+2.5
吉川米田(よかわよねだ) 純米大吟醸 山田錦・35% AL度17.5 日本酒度−1.0
※「上三草」は加東郡杜町上三草、「秋津」は加東郡東条町秋津、「吉川米田」美嚢郡吉川町米田の、それぞれ特A地区生産地別の名称。つまり山田錦中の山田錦を使ったことの証明である。
全国新酒鑑評会・金賞受賞酒 大吟醸 山田錦・35% AL度17.5 日本酒度+2.0
祇園・2001(速醸もと・純米造り) 普通酒 山田錦・90% AL度19.5  
祇園・2002(生もと・純米造り) 普通酒 山田錦・92% AL度19.5  
特別純米「山田穂」(無濾過生) 特別純米 山田穂・65% AL度18.2 日本酒度+4.0
特別純米「神力」(無濾過生) 特別純米 神力・65% AL度18.4 日本酒度+2.0
特別純米「雄町」(無濾過生) 特別純米 雄町・65% AL度18.5 日本酒度+0 
10 長期熟成酒「真古酒」(20年古酒) 純米吟醸 五百万石・60% AL度17.5 日本酒度−12
11 吟醸古酒「古玉」(8年古酒) 吟醸 山田錦/五百万石・60% AL度16.5 日本酒度−4.0
12 美醉香泉(限定流通酒) 純米吟醸 ※特定のお店が扱っています

お酒のラベル等はこちら50回きき酒会ビジュアル版



龍力という蔵


 所在地:兵庫県姫路市網干区高田361−1 株式会社本田商店
 http://www.taturiki.com/

 蔵の規模としては、年間出荷石数は3000石とありますから、大手ではないものの、決して小さな蔵というわけではありません。ちなみに大分県内では、「老松」「龍梅」「西の関」あたりがいわゆる万石クラスで、「千羽鶴」が千石クラスです。

 原料米にはすべて酒造好適米を使用し、そのうち「山田錦」はなんと85パーセントに達します。そして自家精米による平均精米歩合は55パーセントに達します。これはかなり高い数字です。

 驚かされるのは、特定名称酒の比率が93パーセント以上に達するということで、ということは「普通酒比率」は7パーセント未満ということになります。しかも「普通酒」といえども全量「五百万石」を使った本醸造タイプということで、いわゆる「普通酒」というのは無いと言ってもいいレベルの驚くべき蔵です。

 もちろん、「白露垂珠」とか「一ノ蔵」とか、まったく「普通酒」を造っていない蔵もありますが、「龍力」は吟醸酒以上が33パーセントを占めています。
 これについても、ほとんど吟醸酒以上という「獺祭」みたいな蔵もありますが、「龍力」の場合は量的にも、吟醸酒以上でほぼ1000石を出荷するというのは、ものすごいことだと思います。




 今回のメンバーの、ひとこと感想ご紹介(抜粋)

Aさん(女性)・・・
一番興味深かったのが、なんといっても「祇園2002 精米歩合92% 生もと」でした。常温よし!お燗してなおよし!&なおフルーティーでした。吟醸香のフルーティーさとは違い、なにか「薄すぎず、濃すぎず」のフルーツを思わせる香り。あれは酵母のせい?というよりは、米そのものが持つ香りでしょうか??? 「祇園2001 精米歩合90% 速醸」と比べると格段に満足度が高かったです。
特別純米 雄町も好き♪でした。
美醉香泉 純米吟醸(限定流通酒)については私だけだろーか???ちょっとキャラメルチックな風味?残り香を感じたのは....。
真古酒 長期熟成純米吟醸(20年古酒)吟醸古酒(8年古酒)については、まさに有難いお酒でした。翌朝、これらの風味が喉の奥に残っていました。
Bさん(男性)・・・
日本の文化は凄い!深い!
村名ライスワインはブルゴーニュの特級畑を越えている。
祇園、古酒はモンラッセを越えている。
日本文化のお酒は世界のトップレベルだ。
全てのお酒に対して尊敬に値するものであり、わたしなど、評価などとても々恐れ多いものと思いました。
Cさん(男性)・・・
私も正直驚きました。想像を遙かに超えた「味わい」でした。
価格はともかく、どのお酒も素晴らしいものばかりでした。
「2002生もと」や「特別純米の米違いシリーズ」などとっても好きですね。
Dさん(男性)・・・
最初の上三草は、大吟醸でありながらすごく力強さを感じました。今まで経験した35%大吟醸は秋津のように透明感の向こうに、味があるって感じで、澄み渡った秋空の中、双眼鏡で遠くから美しさを見るような感覚を持っていました。それが、いきなり双眼鏡無しで目の前にデンと現れたってカンジ。 びっくりするほどインパクトのある純米大吟醸でありました。
祇園の2001と2002は今回私が一番気に入ったお酒です。2001の速醸もとと2002の生もとの違いが際立っていました。速醸の方が匂った時、香りが立ちました。生もとは香りが感じられなかったけど、飲んだ時、すうっと身体に素直にしみ込んでいくような自然さを感じました。



 今回のお酒のポイント、私のひとこと感想ご紹介

銘柄 私の感想・・・ひとこと
「上三草・秋津・吉川米田」 これは単なる純米大吟醸を越えた芸術品そのものです。市販価格は「秋津」が3万円、「上三草」と「吉川米田」が2万円だそうですが、そのような価格設定を越えたレベルにあるように思いました。大吟醸的なきれいさ、すっきり感はもちろんあるのですが、それぞれしっかりした味わいの個性の主張があります。いずれも素晴らしい純米大吟醸ですが、しいていえば「秋津」の品格の高さ、「吉川」の飲みやすさでしょうか。ただ、贅沢な言い方ですが、これらはいささか飲み疲れると思いました。
金賞受賞酒 さすが金賞受賞酒・・なのですが、前の3点のレベルが高すぎてかすんでしまう。キレのいい大吟醸でありながら、含んだ時の味わい・香りともパンチがあります。いってみれば高い酒造技術を実感するための酒です。
祇園・2001/2002 面白い!! 酒造りにとって精米とは何なのか?と思わず問い返してしまう酒です。いかに山田錦とはいえ、飯米と同じ精米レベルでこのような吟醸酒レベルの不思議な酒が造れるというのはかなりの驚きでした。特に2002はさすが生もと造りというべきか、しっかりしたボデイでいい意味での雑味が舌を刺激してくれます。燗付けてみて、うまい。また実に楽しめる酒でした。
ただ、価格的にも吟醸酒レベルで気軽に楽しめるものでないのが残念。
特別純米「山田穂・神力・雄町」 大吟醸クラスはたしかに素晴らしいのですが、正直言って飲んで疲れる気がします。そういう意味ではこの特別純米のシリーズは「飲む」ための酒です。度数もやや高く味はやや濃淳でしっかりした主張があるので、淡麗好みの人には向かないかもしれませんが、私は十分に楽しめました。個性としては、「神力」の爽やかなキレと「雄町」の重厚な味わいですが、「山田穂」のクセのないうまさも捨てがたいです。どれもお奨めですが、私の好みとしてはやはり「雄町」です。
これは、価格的にも納得できる3300円というところですから・・・。
真古酒・古玉 真古酒は20年というわりには古酒っぽさがありませんでした。長期熟成酒が好きな方にはお奨めです。燗もいけました。ただ私は、好んで飲む酒ではないです。
美醉香泉 最後の方だったために記憶に残りにくいのですが、内容的にも際だった個性がある酒では無かったと思います。ふつうの、まあよくできた純米吟醸という印象が残っています。精米歩合としては50%ぐらいでしょうか?比較的きれいなスッキリ系と思いました。
結論として・・・

私は「祇園2002」と「特別純米・雄町」が特に印象に残っています。もう一度飲んでみたいです。

今回は蔵元と楽しむという企画のため、全員を対象としたアンケートは実施しませんでした。



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