短歌33

次のページへ

前のページへ

カーテンを揺らし吹き込む秋の風白髪頭をいたづらに撫づ       2014.9.10
秋風に吹かるる度に白くなる髪と思へりいよいよ白し          2014.9.12
目をやれば窓を埋むる羊雲都会の空も秋に入るかな          2014.9.13
見てをれば朴の落ち葉のいとをかし着地を決めてみな裏返る     2014.9.16
丘の上ひねもすそよぐ芒の穂去りゆく秋に手をふるごとし        2014.9.20
上りきて帽子を脱げば下りくる青き空ありコスモスの丘(改訂)     2014.9.22
(丘に来て帽子を脱げば天高く風に吹かるるコスモスの花)
由布遥か峠路に咲く彼岸花摘みもて参る父母の墓(彼岸)       2014.9.23
由布遥か峠路に咲く彼岸花摘みもて帰る父母の家(回顧)
登りきて野菊を摘めば思ひ出はセピア色せり古里の丘
釣りひとり土手に腰掛け糸垂るる後ろ姿を秋の風吹く           2014.9.25
秋風の心地のよさよ行く吾に飛蝗跳ね飛ぶ草土手の道
人ひとり土手に腰掛け黙しゐる後ろ姿を秋風の吹く
深みゆく秋と思へり由布の峰姿正して窓に収まる              2014.2.29
深みゆく秋のひそけさ感じつつ眼を閉じて聴く虫の声
通学路逸れて児らの帰りをり田の畔伝ひ曼珠沙華の中          2014.10.4
秋日和日差し濃き日や曼珠沙華あちこちに咲きグランドに咲き(ゲートボール大会)
晩秋になりゆく光感じつつやや長く居る公園ベンチ              2014.10.15
ゆく秋の光の中にしづもれる久住の山にかかる雲なし(窓)        2014.10.16
(ゆく秋の光の中にしづもれる久住の山を雲は隠さず)
白き船水平線に現はれなぞりゆくなり初秋の海                2014.10.19
動くとも見えで釣する船一艘波に揺らるる晩おそ秋の海
落ち葉道落ち葉踏み踏み踏みゆけば独りの吾の思はるるかも      2014.10.20
ゆく秋のひかりを纏ひ庭の石鎮りゐるや紅葉を載せて(少林寺)
秋の湖あまりに寂し餌を撒けば飼はれ白鳥寄りてくるかな(志高湖)   2014.10.24
秋の湖空を映して波もなく逆さの由布にかかる雲なし
いつしかに冬の流れとなりぬらしすずろ歩きに初鴨を見し          2014.10.25
上り着て弁当開けば学校のチャイム聞こゆるコスモスの丘         2014.10.26
海寂し寂しきゆえにいつまでも眺めやるなり晩おそ秋の磯 (田ノ浦)    2014.10.28
あがる魚あるとも見えず釣りひとり糸を垂るるや晩秋の磯
傘させば独りの吾の思わるる宛てなきごとき秋雨の道           2014.10.30
天高く帽子を脱いで眺むれば噴煙高し今日の大阿蘇(あざみ台展望所) 2014.11.4
秋水の池こそよけれ錦鯉眺めてゐれば心澄みゆく               2014.11.6
金色の葉をうち散らし銀杏の樹秋の終わりを告げてやまずも        2014.11.7
晩秋の光を纏ひ鷺一羽中州に立つや姿清らに
冬すでに白き鷺飛ぶ空見れば雲の切れ間を漏るる陽光
この川の季節の巡り定かなり日に日に鴨の数の減りゆく
風急に飛ばされゆくや秋の蝶いづくに風の誘へるらむ             2014.11.8
黄金なす稲穂は刈られ冬近し傾く案山子苅田に残る             2014.11.13
茶を飲むや豊後の富士を眺めつつ流れ雲追ふ窓の楽しさ
散る紅葉寂しけれども美しき舞へる姿の夕日に映えて(作用公園)      2014.11.15
見渡せば波ばかりなる冬の海鴎をのせて浮標ブイ一つ浮く          2014.11.18
庭先や池に散り込む紅葉葉の着水すれば鯉のより来る           2014.11.21
冬の雲垂れて寂しき窓の外電信柱にカラスの留まる
豊後富士雪の化粧を整へて雲の上より朝の顔出す(由布の初雪)       2014.12.6
山裾の紅葉の色は褪せゆきて由布の高嶺に雪の輝く              2014.12.7
人の世の嘆きの外に聳え立つ由布の高嶺に光る白雪(叔父の死)       2014.12.12
雲間洩る天つ光の神々し極楽浄土遠くて近し                   2014.12.20
葦辺ゆく寒き流れに白き鷺いつまで立つや脚を浸して              2014.11.22
(葦辺ゆく寒き流れに脚浸し白き鷺立つ動かずに立つ)             
屋上の旗のはためき激しくて時雨の雲を纏ふ由布