短歌31

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冬晴れの雲なき空をうち仰ぎ思はず帽を脱ぎにけるかな           2013.12.3
冬深むことの確かさ由布鶴見眠りにつくや雲を纏ひて             2013.12.10
葦間ゆく寒き流れに数増して眼を楽します鴨の群れかな            2013.12.11
カーテンを開くれば見ゆる由布の峰窓は好きかな又今日の由布       2013.12.23
街角のジングルベルの音に合はせ老ひの歩みの少し弾める         2013.12.25
平凡に終る一日と思ひしが今日の食後の桃のよろしき(拾遺)          (2013.7.25)
人の顔映す鏡はなくもがな心を映す鏡あれかし(拾遺)
願い事ことになければ初詣世界の平和願ひ拍手(元日)             2014.1.1
(願い事ことに無ければ初詣世界の平和願ひて帰る)
初晴れや高きところに凧一つありて尾を振る長き尾を振る(毎年凧を揚げる男あり)
炬燵にて蜜柑剥きつつ眺めやる窓こそよけれ由布の白雪           2014.1.9
冬の海立ち去り難く眺めをり己が心の風景として(田ノ浦ビーチ)         2014.1.14
春遠く人の影なき砂浜に誰がつけたか続く足跡
ひもとけば斎藤茂吉の老ひの歌その平凡も心に沁みる            2014.1.15
冬晴れの空に揚りて競ふ凧勝ちたる凧の強く尾を振る(七瀬の凧揚げ大会)
雲間より天つ光のこぼれゐる冬中空を渡る鳥あり
(雲間より天つ光の漏れいづる空の高みを舞へる鳥あり)
見はるかす夕焼け空の彼方かな十万億土君と隔たる(旧作微訂正Nを思い出し) 2014.1.28
二三輪つひに開きし梅の花老ひて急かるる鶯の声(節分)             2014.2.3
春浅く人の影なき砂浜にしかと付けゆく己が足跡(立春)             2014.2.4
梅の園三日見ぬ間に咲き満ちていよよ待たるる鶯の声(七瀬の梅園)     2014.2.11
風流と言はんとするも降りしきり積もりすぎたる春の雪かな(大雪)       2014.2.14
春雪の溶けずに残る近道に藪の椿の一つ落ちゐる               2014.2.16
雪の夜に独り目覚めてつらつらに思ふは逝きし父母のこと 
二羽の鴨群れを離れて泳ぎをり春の流れとなりてゆく川             2014.2.22
水仙を飾り置きたる机上かなこれにて一日心和みぬ               2014.3.3
黄の蝶の吾が行く前を飛び行くに老ひの散歩の足の弾めり           2014.3.5
窓の外気にもとめざる電柱の上に載りゐる春の雲かな              2014.3.7
春浅き浜に下り立ち戯れる若き男女に鴎近づく(田ノ浦)             2014.3.8
河原にて子等の競ひて抛る石春の流れを跳ねて飛びゆく(改正)       2014.3.15
湖の鴨は大方去りゆきてか飼われ白鳥餌を貰いをり(志高湖)         2014.3.16
春霞<PM2.5>濃き日なりマスクしてゆく菜の花の道           2014.3.17
花供へ線香手向けて手を合はすただただ合はす父母の墓(彼岸)      2014.3.21
由布彼方峠に近き父母の墓去らんとすれば鶯の声
早春の久住の裾野焼く煙眼に沁みて潤む大阿蘇               2014.3.25
八分咲き見頃と思ふ庭桜早くも散るの思はるるかな             2014.3.28
花の雨いかんと心騒がれて度々見やる窓の外かな               
花の雨赤き傘さしゆく女の姿慕はし顔は見へねど
吾が庭の桜咲くころ帰り来て散るを待たずに子はまた去れり(秀晃卒業)   2014.3.31
弥生尽故もなけれど出で行きて夕日追ひ行く土手の道かな
花の下脚投げ出して寛げばちょうちょのごとく止まる花びら           2014.4.2
前を行く園児らは手を繋ぎゆく吾もつなぎたしタンポポの道
ゆく春の憂ひ払へりタンポポの絮大空に飛び行く見れば            2014.4.14
落ち椿流されゆくを見てをれば去り行く春を見送るごとし            2014.4.21
春の川空缶一つ流れをり遠き旅路の思はるるかな
遅き日の暮れゆく空を眺めつつ今日の一日を思ひ出しをり           2014.4.24