あやめ池雨を湛へて豊かなりアメンボのゐて乱す花影 2025.5.18
ふと父に似たる顔見し大相撲テレビ画面の観衆のなか 2025.5.25
いつしかに夏の流れと川なりて瀬音奏でて海に急げる 2025.5.27 七瀬川
いつしかに春も終はりとなりぬらし蝶荒々し花に止まらず(拾遺)
棘あると知らず折りたる薔薇の花今も心に残る傷かな(題詠) 2025.6.5 即興
帰りたる子に食はせむと篭に盛る故郷の枇杷の黄金色かな(旧作)2025.6.6
このごろの己が悩みも流しさるごとく流るる五月雨の川 2025.6.10
*このごろの己が悩みも洗ひさるごとく流るる五月雨の川
揚げ雲雀聴きつつ土手の道行けばふと感じるや背のランドセル 2025.6.11 拾遺
梅雨すでに傘頼もしくさしゆけば飛びきて返す濡れ燕かな 2025.6.15 其角の句より
雨上がり子どもら傘を回しゆく遠く虹たつあじさいの道 2025.6.19
梅雨明けしことの確かさ街まち空に朝より高くあがれるバルーン 2025.6.28 旧作訂正
初蝉やすなはち近き夏休み老いても心をどるをかしさ 2025.7.15
緑陰やここで休めと椅子のあり老いの憩ひのすなはち長し 2025.7.18
海の日や海懐かしき見えねども見ゆるやうなる南国の海 2025.7.21 懐旧
蝉繁く命いっぱい鳴きをれば命かなしと吾の聴きをり 2025.7.22
年々の花火豪華になりゆきて目は楽しめどまさる寂しさ 2025.7.27 七瀬川花火大会
阿蘇遥か久住高原昼近し千の向日葵太陽を向く(懐古) 2025.7.29 花公園
目覚むれば朝より繫き蝉の声今日のひと日の暑さ思はる 2025.7.30 猛暑日続く
大き樟深き木陰をつくれるに寄れば涼しも蝉の声さえ 2025.7.31 公園の樟大樹
蝉暑し祈り祈りて八十年届かねどなほ祈る平和ぞ 2025.8.6 原爆の日
公園や子等の影なき昼下がり向日葵の花太陽に向く 2025.8.10
暑き日を沈めて山河安らげるまだしばらくは焼くる夕空 2025.8.17 炎暑
この夏や男なれども日傘さし歩くおかしさ吾ぞ老いたる 2025.8.19
秋来るとたえて気配も無かりしがフロントガラスにつきし落葉ぞ 2025.8.20
ツクツクと蝉鳴き出でて秋に入るつくづく暑き夏なりしかど 猛暑の夏
晩夏光あびて釣りする釣り人の釣りの糸吹く秋の風かな(嘱目) 2025.8.21 七瀬川
朝顔に一粒残る露の玉すなはち一期一会なるかな 2025.8.27
赤とんぼ汝なを追ひかけしあの頃の吾われの無邪気を孫にみるかな 2025.9.1 願望
秋風に生き返へたる思ひかな窓を開きて深く吸い込む 2025.9.30 記録的な猛暑
秋風の心地のよさよ帽とれば吹かるるほどの髪もまだあり 2025.10.1
独り見る月見が何で楽しかろふただ酔ふためぞ老いの月見は 2025.10.6 中秋の名月
月玲瓏己おのが身に添ふ影法師吾われ伴ひて池ぞめぐれる(高尾池) 2025.10.7
秋の夜のひそけさに目を閉じをればすずろなるかな鳴く虫の声 2025.10.8
秋ひとり丘に登りて見渡せば見えねど見ゆるようなり故郷 2025.10.10
秋風に心浮かれて吹かれゆく吾をいざなひ前を蝶飛ぶ 2025.10.15
*春風に心浮かれて吹かれゆく吾をいざなひ前を蝶飛ぶ(改訂)
秋蝶の寄る辺なき様あえかにて吾がゆく方へあはれ飛びゆく 2025.10.25
肥後路来て豊後に下る峠道ま向かう由布に雲もなきかな 2025.11.5 回想
初鴨やすなはち心定まりぬ川の流れも冬に入るかな 2025.11.7 たまたま立冬