炬燵にて茶を飲みながら眺むれば白きもの落つ窓の外かな(初雪) 2025.2.5
コーヒーを飲みつ眺むる窓の景富士に劣らぬ雪の由布かな 2025.2.6
枯れ枯れし土手をこぎゆく自転車の車輪光れり春遠からず 2025.2.7
春雪三日雪まだ残る梅が枝に一輪咲けり目覚めたるごと 2025.2.12 公園の梅林
梅が香はかの日もかくやと思ひつつ嗅ぐ束の間の若き吾かな 2025.2.17
梅が香に時の隔てはなかりける古き代の歌吾が詠める歌(不易) 2025.2.21
梅が枝えに顔近づけて香を嗅げばいにしへ人の心伝はる(旧作)
ふるさとの梅の便りもスマホにて匂ひよこせよ春風吹いて(同)
梅が香は昔も今も変はらねどそを嗅ぐ吾は老いの杖つく 2025.2.24
梅が枝に顔近づけて香を嗅げば束の間若き吾のあるかな
アンダンテ春を奏づる川音に足どり合はせ土手の道行く 2025.3.6
*Andante春を奏づる川音に足取り合はせ土手の道行く
鳥帰る山のあなたの空遠く想ひを馳する春の窓かな 2025.3.7
*眺めつつ山のあなたのなほ彼方故郷ふるさと想ふ春の窓かな
眺めをれば山の彼方あなたのなほ彼方故郷見えくる春の窓かな(推敲)
見つけたる小さな春や名も知らぬ小お草花咲く雪解けの土手 2025.3.19
春かすみ湯の里隠し昼深し一両列車音立ててゆく(帰郷) 2025.3.20 カントリーパークにて
亡き母がコップに生けし黄水仙今日もコップに飾る食卓 2025.3.21
帽とればまだいささかの髪ありて吹かれゆくかな春風の土手 2025.3.22
初蝶を今年も見たり散歩道命あふれて杖の先飛ぶ
犬連れて春を見むとて出でくれば犬見つくるやタンポポの花(旧作推敲) 嘱目
藪椿落ちて転がる寺の路踏まれずありぬ通ふ人なく 2025.3.30 少林禅寺
電線を児が指さすに目をやれば雀に混じる初燕かな 2025.4.1
咲きてはや散るを憂ふる桜かな落花ひとひら手のひらに受く 2025.4.2
春惜しむ心をよそに散る桜老いのまなこの前を舞ふかな 2025・4・5
風さそふ春の名残りの桜花老いの眼まなこを掠かすめ散りゆく 2025.4.6
花散りて心にぽっかり空きし穴埋むるすべなし酒も飲まねば 2025.4.7
恋なき手つなぎ園児ら並びゆくタンポポの花咲ける土手道 2025.4.10
春霞ビルを隠して昼深し蝶とじゃれゆく菜の花の土手 2025.4.15
揚げ雲雀頭上高く囀るをしばしは若き心もて聞く(旧作) 2025.4.19 初雲雀
まだながくなりてゆく日の暮れ間際垂れて気怠き藤の花房 2025.4.20
またもとの通りとなりて足早に人の行き交ふ葉桜の道 2025.4.22
里若葉家々揚ぐる鯉のぼり元気よきかな風を孕みて(帰郷) 2025.4.24
白髪恥じタンポポ吹けば飛びゆくや昔も今も変はらぬ空に 2025.4.25
草若葉運動靴に履き替へて大地踏みゆく日曜の朝 2025.4.26 旧作
五月来ぬ苑の噴水高々と季節の巡り祝ひ虹懸く 2025.5.1 旧作
目に若葉かすみの取れし豊後富士五月さつきの空に姿正せる 2025.5.2
少女子をとめごの黒髪を吹く若葉風帽子を飛ばしわが白髪しらが吹く 2025.5.4 みどりの日
窓わかば新聞広げホーク手にパンとサラダの朝の食卓 2025.5.5
ふるさとや慣れ親しみしこの道も今は古道夏薊咲く(帰郷) 2025.5.10 墓じまい