短歌73    前のページへ      次のページへ

 黄金なす稲穂は刈られ稲架はざも終へ待たれをるなり由布の初雪 2024.11.30 湯布院回想
 冬晴れの空に現れヘリコプター何処にゆくや天地とよもし       2024.12.4
 吊り橋をゆらし渡れる紅葉渓あらぬところに滝のかかれる(回想)  2024.12.5 女滝
 去年こぞの路変へて分け入る紅葉狩りあらぬところに滝のあるなり(同)      九酔渓逆路
 晩秋の少林禅寺訪ひゆけば大き屋根見ゆ紅葉なか           2024.12.6 
*晩秋の耶馬の羅漢寺求めくれば大き屋根見ゆ紅葉のなか(類想)         回想耶馬渓
 ぬばたまの夜の更けゆけば川淀に浮き寝の鴨の憂き音聞こゆる  2024.12.7
 この頃の由布を離れぬ雲厚く窓の眺めの楽しまぬかな(冬いよゝ)    2024.12.8 
 紅葉を終へし山々しづもりて長き眠りにつくやこれより       2024.12.13
 子どもらが掬ひ振りまく銀杏の葉手を離るれば黄金となれり  2024.12.15
 カーテンの隙間にのぞく冬の月寝なんと灯り消せば冴ゆるも(コールドムーン)  満月
*カーテンの隙間にのぞく冬の月寝なんと灯り消せば冴えける
 わが庭の石にきてゐる石たたき石をたたきて祝ふ初春    2024.12.18  年賀状のため
 起き抜けにカーテンを開け眺むれば待ちわびゐたる由布の初雪 2024.12.19 初冠雪
 今日ひと日窓を眺めて飽かざりし待ちに待ちたる由布の初雪
 枯れ急ぐ冬の土手道行きゆけば己が心も枯れてゆくかな(冬至) 2024.12.21
 初時雨一粒ぼんのくぼに受け冬を迎ふる心定まる(拾遺・追加)  2024.12.28 
 年の瀬や川の流れも人の身もゆきて帰らぬ思ひつのれる    2024.12.30
 沈むまで夕日ながめて窓に居り今年も無為に年ぞ暮れゆく   2024.12.31
*沈むまで夕日ながめて窓に居りいと寂さみしらに年の暮れ行く
 誰それと知るも知らぬも人の死を聞く侘しさに年の暮れ行く(旧作)       
 思はずも帽子を脱いで仰ぐかな元日の空晴れて雲無し     2025.1.1.
 見上ぐれば今年よき年なるごとし正月の空雲ひとつ無し
 見上ぐれば雲ひとつ無き初御空太陽ニコニコ幸あれ今年
 願ふこと吾になければ異国とつくにの平和を祈る初詣かな     ウクライナに平和を
 願ふこと別になければ人の世の平和を祈る初詣かな      全ての世界に平和を
 たっぷりとお湯を湛へてゆったりと浸かる湯舟や老いの初風呂
 初春を祝ひ舞ひ降り舞ひ上がり白鷺一羽初日あびゆく(追加)  2025.1.2 嘱目
 かあかあと乾いた声で鳴き交はす寒の鴉や枯れ枝の先(小寒) 2025.1.8
 二三ふたみ声友呼ぶ声か寒鴉鳴いて静まる電柱の上
 起きぬけにカーテンを開け眺むれば久住の山は雪の曙     2025.1.10
 寒の雨雪になるやと待ちをれど濡るるのみなる山茶花の花   2025.1.14
 冬晴れの空を見上げて徐おもむろに帽子をとれば太陽ニコニコ  2025.1.18
 少年ら冬の土手道走りゆく吐く息白く朝日を浴びて      2025.1.20
 大寒に耐へて蕾める水仙の花咲き初むや春遠からじ      2025.1.23
 何ごともおもふことなく縁に座し老いの日課の日向ぼこかな  2025.1.29  旧作
 葉を捨てて寒に抗ふ裸木のいたく目を射る尖る枝かな     2025.1.30  寒中
 木枯らしに吹きさらされし裸木のいたく目につく幹の瘤かな
 吾が庭の寒に耐へたる水仙や今日立春に間に合ひて咲く(立春) 2025.2.3
 春すでに枯れ葦原の葦の間を流るる川の告げて光れる     2025.2.4