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 初時雨一粒盆の窪に受け冬を迎ふる心定まる           2025.11.8
*初時雨一粒を手に受け止めて冬を迎ふる心定まる
 冬来ることの確かさ由布が峰の纏へる雲のにごり初めにき     2025.11.9
 風蕭々なびく丘辺のすすきの穂沈みゆく日に手を振るごとし    2025.11.10
*風蕭々外輪山の枯れすすき沈みゆく日に手を振るごとし(類想)
 柿食へば思ひ出すかな里の家篭に盛りたる枝のつきし実を    2025.11.12
*柿食へば思ひ出すかなふる里の篭に盛りたる枝のつきし実を
 おそ秋の耶馬の羅漢寺訪ひくれば大き屋根見ゆ紅葉もみじする中(回想)2025.11.17旧作微訂正
 掬ひあげ子がまき散らす銀杏の葉黄金となれり魔法のごとく    2025.11.20
 うろこ雲ひろがりひろがり道はるか高速道路アクセルを踏む    2025.11.22旧作改訂
 ダサいなど人は言ふけどこのマフラー捨てがたきかな老いていよいよ 2025.11.24
 散る紅葉舞を競ひておもしろし老いの眼を楽しますかな       2025.11.27
 九酔渓終つひ眺めと思ふかな目に焼き付けて写真を撮らず(心象)    2025.11.30
 冬の雲立つ電柱のふと寂しカラスなど来て止まれと思ふ      2025.12.4
 冬の空鳩群がりて飛びゆくに遅るる一羽ありて親しも       2025.12.7
 何気なく見上げてをかし冬の空高きところで凧の尾をふる
 紅葉を終へし山々ややしばし眠りに入る前のやすけさ       2025.12.8
 冬の空味気なけれど親しかな雲より出でて太陽にこにこ      2025.12.11
 枯れ枯れしこの土手道を行き行けば枯れてゆくかな己が心も    2025.12.12
 枯れ枯れしこの土手道の行き帰り己が心も枯れにけるかな
 街角の吾が青春の喫茶店飲む珈琲の味ほろ苦き          2025.12.14