短歌71    前のぺージへ        次のページへ

 河原にて子等が競ひて投げる石春の流れを跳ねていくかな      2024.3.12
 *河原にて子等が競ひて投げる石春の流れを飛び跳ねてゆく
 いつしかに春も盛りを過ぎぬらし飛び交ふ蝶の羽ばたき荒らし     2024.4.13
 永き日もたそがれ時となりにけり藤の花房垂れて気怠き        2024.4.15
 花椿落ちて浮べる水の上池の緋鯉の寄りてくるかな(懐旧和田家)            
 タンポポの土手に寝転び見上ぐれば空は下りくる若き日のごと    2024.4.18
 岡に来て蒲公英を吹くをかしさよ老いて子どもに戻る吾かな      2024.4.19
 藤の花垂れて物憂き昼下がり蜂の羽風で揺るる房あり    2024.4.24 懐旧祖父の家
 遅き日の仕事を終へてくつろげる農家の庭の藤の花かな                遅日
 窓の外春の霞の消えゆきてよろしきかもよ遠くの眺め         2024.4.27
 五月来ぬ園の噴水高々と季節の巡り祝ひ虹懸く           2024.5.1  改改定
 目に若葉靴履き替へて出でゆくや連休初日リュックを背負ひ     2024.5.3
 窓わかば窓を開くれば薫る風スープをさまます朝の食卓(みどりの日)2024.5.4 味噌スープ
 サイクリング連なり行くや土手の道ゴールデンウイーク風薫るなか
 こどもの日少なくなりし鯉のぼり窓の眺めの楽しめぬかな (こどもの日)2024.5.5 少子化を憂う
 女名の札を掲ぐる薔薇の門ゆかしと思ふここに住む人         2024.5.9
 窓の外若葉青葉の季節かな部屋籠り居る吾の老いたり        2024.5.10 
 わかば風帽子をとれば髪を吹く吹かるるほどの髪まだ有りて     2024.5.15
 窓わかばこの思ひ出の喫茶店飲む珈琲の味ほろ苦き(街角)     2024.5.19
 目に若葉大観峰に立ち見れば招くがごとし阿蘇の噴煙(拾遺・改正)  ゴールデンウィーク回想
 いつしかに夏の流れと川なりて急ぎゆくなり空缶浮べ        2024.5.20 七瀬川
 あやめ池雨を湛へて豊かなりアメンボのゐて乱す花影      2024.5.24 旧作微改定
 暮れてなほアヤメの里の水車止まず巡るを月の照らせる           回想緒方町
 薊咲くふる里の道今もかな心の痛む思ひ出もあり     2024.5.26 その昔のガキ大将
 ほととぎすしば鳴く声を聴きをればふる里捨てし悔ひのわきくる 2024.5.28
 緑陰やここで憩へとベンチありベンチの憩ひながき吾かな   2024.6.1 七瀬川自然公園
 水田を農機行き交ひ苗植うる今は昔の田植え唄かな       2024.6.11 小学校唱歌
 このごろの己が憂ひも押し流し溢れゆくなり五月雨の川     2024.6.18  七瀬川
 雨あがり紫陽花の葉を這ふ蝸牛かぎゅう威嚇愛らし角突き出して 2024.6.24 
 *雨あがりアジサイの葉を這ふ蝸牛威嚇愛らし角突き出して       蝸牛ーかたつむり   
 雨上がり子どもらなほも傘をさし回しつつゆくアジサイの道   2024.6.25
 梅雨すでに雨またよしとよしよしと打たれ頷くアジサイの花   2024.7.1
 雨上がり遠く虹たちアジサイの葉を角出して這ふ蝸牛      2024.7.16 虹の日
 梅雨明くる窓を開くれば豊後富士ありしところにしかとあるかな 2024.7.22
 梅雨明けしことの嬉しさ子供らはサッカーボール高く蹴上ぐる
 原爆の日の朝ハ時十五分ふと恐ろしき入道雲の空        2024.8.6
 目つぶれば平和の思ひ遠ざかる鐘の音暑き今日のヒロシマ(平和祈念式典)
 赤とんぼ思ひ出さすや里の暮れ山のお寺の鐘を撞くころ     2024.8.10
 村はづれ忘れられゆく父母の墓花供ふれば人の見つらん(墓参) 2024.8.13
 *村はづれ忘れられゆく父母の墓花供ふれば人見つらんか