短歌61

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しめやかに枯れ木を濡らすその雨の垂るる雫に春の閃き         2021.1.25 春を感じる暖かさ
しらじらと霜の降りたるごときなり寒満月の照らす屋根屋根(満月)    2021.1.29  ウルフムーン
今日の由布昨日の由布と変はらねど今日見る由布はまた今日の由布(青山常運歩)   正法眼蔵         
近づける春の確かさ山茶花の咲き継ぐ花も散るが勝れる         2021.1.30
近づける春の確かさ山茶花の咲き継ぐ花も散るぞ勝れる
見渡して春は名のみと思ひしもショーウインドウの春は違はず(立春)  2021.2.3  トキワタウン
紅梅かはた白梅か見比べて迷ふ心に香り変はらず(紅白梅咲く)             七瀬公園の梅園
紅梅かはた白梅かいづれぞと迷ふ心に香り変はらず
(梅が枝に顔近づけて香を嗅げばいにしへ人の心伝はる)                  旧作
かん過ぎてなほ咲きをれば目に親し共に耐へたる水仙の花          2021.2.6
春くるはうれしけれども寂しけれ名残りの花となりし山茶花
春求めそぞろ歩きに土手行けば奏で初めたる瀬音親しき         2021.2.7
見くらべて白梅紅梅いづれぞと迷ひをれども香り変はらず(訂正)     2021.2.8  紅白梅満開 
見くらべて白梅紅梅いづれぞと迷ひをれども香やは変はれる
グランドで球蹴る児らの影長く大き時計に針なきごとし(日脚伸ぶ)    2021.2.9
公園で遊べる児らの影長く大き時計に針なきごとし
日の本の建国祝ふ今日の日や旗のためとて風少しあり(建国記念の日) 2021.2.11
二羽の鴨群れを離れて泳ぎゆく寄りつはなれつ水温む池(高尾池)             旧作訂正
春立ちてまだ九日の眺めにて霞める山の奥の雪山(久住連山)      2021.2.12
後戻る寒さまた好し帰る鴨時にあらずとなほも止まる(三寒四温)     2021.2.13 寒波
後戻る寒さまた好し池の鴨時にあらずと去るを止まる
春雨や濡れてゆく人傘の人傘を手に持ち濡れてゆく人          2021.2.14
飲みかけし珈琲カップを持ちながら窓に寄り見る名残り雪かな      2021.2.17  春雪
大方は項うな垂れ傾かぶく水仙の葉につもりたる忘れ雪かな
頬杖をついて見をれば春の窓父に肖る雲母に肖る雲(机前)       2021.2.20  陽気戻る
春ひとり地球儀まはし思ひをり夢みし旅は夢のままにて(机上)
春ひとり地球儀まはし思ひをり夢みし国は夢でよきかな
初雲雀のぼる頭上や老いてなお幼きころの心もて見る(初雲雀)     2021.2.22  五月の陽気
日脚伸ぶことの確かさ籐椅子で読む夕刊もすみのすみまで       
日脚伸ぶことの確かさ籐椅子で過ごす時間もながくなりたり
日脚伸ぶ出かけし妻を待ちをればこのごろ遅し猫の帰りも(猫の日)             三毛を思い出し
杖を曳くそぞろ歩きに鶯の初音聞きたり石畳道(初音)           2021.2.24  
タンポポの花はや見たる散歩道季節の時計針を進める          2021.2.26
二月尽風やはらかく光ありスニーカー履きゆく草萌えの道        2021.2.28
二月尽光は風とともにあり踏みしめてゆく下萌えの道
春雨や前ゆく子らの濡れてゆく吾も濡れゆく傘を手に持ち         2021.3.2
貸しくれし傘さしゆけば濡れてくる犬の面つらよし春雨のなか
春雨や出でゆく妻の傘ひらくときの仕草の若きぞをかし          2021.3.4
花の雨出でゆく妻の傘ひらくときの仕草は若き日のまま(バージョン)
今しばし帰るを惜しむ鴨なるか春の流れにのりて遊べる          2021.3.7  七瀬公園の小川
道の辺の小草小さき花咲かす人こそ知らね春は到れる(早春)      2021.3.8
窓に寄り春はいかにと見渡せば由布をあなたに雲雀揚れる       2021.3.9
初蝶を今年も見たる土手の道老いの日課の散歩よろしき(初蝶3首)   2021.3.13
初蝶を見し昂ぶりは変はらねど告ぐべき友の亡きぞ哀しき
初蝶を見しこと記す日記かな眼まなこに強く残る黄の色
クローバーに寝ころび白き雲見れば花摘み溜めし昔思ほゆ       2021.3.15  しあわせの丘
老いぬればただ居るだけぞ誕生日祝はるれどもほろ苦きのみ(75才) 2021.3.16  誕生日
友逝きて吾残りたる誕生日わが老ゆほどに君の若やぐ(田中重雄君を思い)

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