短歌56

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掬ひあげ子がまき散らす銀杏の葉魔法のごとく黄金に変はる(公園にて)   2019.11.29
掬ひあげ魔法のごとく子が散らす銀杏落ち葉の金に輝く
この頃や雲の衣をとり替へて冬に備ふるごとき由布ヶ峰            2019.12.1  本格的に冬
冬晴れの空の深さや凧一つ測るがごとく糸延ばしをり                       
冬晴れの空の深さを測れるや糸を伸ばして揚る凧あり
やうやくに冬の景色の整ひぬ待ちに待たれし由布の初雪(初冠雪)      2019.12.4 例年6日遅れ  
冬すでに門を閉ざして住みをれば浮世は遠き山茶花の宿          2019.12.7 山茶花の生垣
ふる里は人も眺めも異なれど変はらぬ空に揚る凧かな(旧作訂正)      2019.12.9  帰郷
葉を散らし寒に抗ふ裸木の枝の尖りて天を突き立つ              2019.12.12
うっすらと朝日に染まる由布ヶ峰のかたへ傾かたぶく有明の月         2019.12.15  
日向好し日陰また良し水仙の花の俯く姿似合はし               2019.12.17
冬の雨雪にもならず味気なく水仙の花濡るるのみなり            2019.12.22
髪刈りて心地よけれど髪うすくなりたる恨み散髪のたび            2019.12.24
ぬばたまの夜のふけゆけば川よどの浮き寝の鴨の鳴き音憂きかも    2019.12.25  パロディー
年用意窓を拭き終へ目をやれば姿正して豊後富士あり           2019.12.28
一年の心の垢も落とさんと長く浸かれる大晦日の湯(旧作)         2019.12.31
大年の夜空見上げて洟すする星またたけど地球は寒し                     
ゆく年や消されゆく灯と残れると団地百戸のそれぞれの夜
雪冠る峰に横雲たなびきて朝日に染まる初春の由布 (元旦)        2020.1.1. 令和初の新年     雪冠る峰に横雲たなびきて朝日に染まる初春の富士(豊後富士)
凧揚る年の初めのこの眺め常にもがもな御代は代はるも
目出度さは川の中なる小岩にも姿正して白き鷺立つ(七瀬川)
一月の川一月の空映しただ黙々と流れゆくなり(歌始め)           2020.1.3  詠題「川」
二三声友呼ぶ声か寒鴉啼いて静まる電柱の上                2020.1.7
冬の虹消えゆくときに見しかども心に架かるひと日なりけり         2020.1.8
(消えてなほ心に架かる冬の虹消ゆることなきひと日なりけり)
冬の虹消えゆくまでを見しことを思ひ出しをり夢路の前に(旧作)
冬の虹見し昂ぶりの束の間や消ゆればまたも寒き人の世         2020.1.9
起きぬけにカーテンをひき目をやれば久住の山は雪の曙          2020.1.13
冬晴れの雲なき空を見あぐれば老ひの眼に太陽ニコニコ
葉を落とし寒に耐へたる裸木の枝うち伸べてまた芽吹かんとぞ      2020.1.14
冬ごもり春待つ心違はねど門の山茶花散るは悔しき            2020.1.16
冬晴れの空を揚りゆく凧の高さうれしき長き尾をふる(凧揚げ大会)     2020.1.18 七瀬自然公園
(冬晴れの空を揚りゆく凧の高さうれしく長き尾をふる)
遅々として到らぬ春を待ちかねて一輪咲きぬ雪間の椿          2020.1.22  平野地区
(山里や雪間なれども藪椿一輪咲けり春遠からず)
耐寒かはた待春かここかしこ団地の庭に咲ける水仙           2020.1.24
寒の雨雪にならんと待ちをるに濡るるばかりや庭の南天         2020.1.26
万葉の歌のこころを今にかな令和の御代に薫る梅が香         2020.1.31 公園の梅林開花
梅が香に今日の散歩の道変へて風流居士を気取らんとす       2020.4.2
春立つ日春を求めて出で行けば犬が見つけしタンポポの花(立春)   2020.2.4   属目
春立つ日春を見せんと乳母車女ひと押しゆくに子は眠りをり
正直に春立つ山の霞みをり養老院の窓より見れば(旧作)                 懐古若葉園にて
土手の道行けばタンポポはや咲きて春の調べを川は奏づる
ランドセル背負ひ子らの急ぎ行く草萌え初むる朝の土手道       2020.2.7
春立ちてまたぶり返す寒さかな土手ゆく子らの固まりて行く(寒波襲来) 2020.2.8
春立つも未だし名のみや空染むる力もなくて夕日落ちゆく
日の丸の旗のはためく屋根の上空晴れわたり太陽ニコニコ       2020.2.11 建国記念の日
今年また春のうれしさ勝りける冬を耐へたる老ひの心に         2020.2.13 春の陽気
飲みかけし珈琲カップを持ち見れば名残り雪ふる窓の外かな     2020.2.17 九州北部初雪

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