短歌54

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薔薇一輪今年も贈る誕生日形ばかりと妻な思ひそ(洋子誕生日)    2019.5.26
(薔薇一輪今年も贈る誕生日妻な思ひそ形ばかりと)
赤とんぼ吾がゆく前を飛びかひて帰り急げる夕焼けの道        2019.5.24 故郷回顧
紫陽花を這ふ蝸牛見てをれば雨期鬱屈の少し和らぐ           2019.6.2 梅雨の走り
(紫陽花を這ふ蝸牛おもしろし雨期鬱屈の少し和らぐ)
のろのろと紫陽花を這ふ蝸牛そのゆっくりの速度肯ふ(追加)
雨やんで雨を湛ふる菖蒲池いま日輪の真ん中にあり          2019.6.4
菖蒲池雨を湛へて静かなりアメンボの居て乱す花影
崩れんと薔薇の花びら散る机上原稿用紙置かれて久しい        2019.6.5
晴れて好し雨またよろし花菖蒲相合傘で見れる二人ぞ        2019.6.6 公園のあやめ池
幼き日摘みて捧げし苜蓿うまごやしすなはち恋の初めなるかな      2019.6.7 隣家のミエちゃん
ベンチ置く噴水広場の花の前誰待つでなく今は憩へる         2019.6.10 若草公園にて
雨あがりツバメが潜る歩道橋園児ら傘をまはし渡れる          2019.6.11
傘たたみ見やれば遠く虹たちて雨脚速く逃げてゆくかな(追加)
部屋籠る雨の一日のつれづれの目を楽します窓の紫陽花       2019.6.15 
好し好しと頷くごとし紫陽花の雨に打たれて揺るるを見るに
梅雨すでに憂さ晴らさんと出てみれば心を洗ふ紫陽花の雨(追加)
ベランダに出でて気づきぬ梅雨の月在りし処にあはれあるかな    2019.6.18  梅雨満月
(ベランダに出でて気づきぬ梅雨の月在りし処にあはれありけり)
帰りたる子に食はせんと篭に盛るふる里の枇杷黄金色せり(旧作微訂正)         懐古
傘さして行くにしみじみ思はるる所詮独りや人生の道          2019.6.30 
雨あがり見やれば遠く虹たちて色新しき庭の紫陽花 
(雨あがり見やれば遠く虹たちて色目覚ましき庭の紫陽花)
傘たたみ門を潜れば雨の後色目覚ましき紫陽花の寺(各念寺)     2019.7.1 紫陽花数百株
この頃の心の憂さも流すなり溢れ流るる五月雨の川           2019.7.2 七瀬川
七夕や故郷の空の天の川今も心の中を流るる              2019.7.7
世の中は別ればかりと知りをれど君逝き吾の孤独極まる        2019.7.11 田中重雄君逝去
街空に朝日を浴びて浮く気球梅雨の明けたることの確かさ       2019.7.24 遅い梅雨明け
梅雨明けしことの確かさ久方の光を纏ひ鳩舞ひ降るる
梅雨明けて鳩舞ひ降るる芝の上おのおの己が影に着地す
梅雨明けてビルのガラスに映りこむ入道雲の姿整ふ
雑草の伸び蔓延るは憎めどもこの旺盛を吾子に望めり        2019.7.25
(雑草の伸び蔓延るは憎けれどこの旺盛を我が子の望む)
入道雲海のあり処に湧きをれば老ひの心に夏蘇る         2019.7.26
入道雲遠山なみに湧きをれば老ひの心に旅蘇る           2019.7.28  旅の誘い
蝉鳴いて喧かまびすしきも耳の外君逝き吾の心の空ろ(田中君)    2019.8.1
新しき御代に託する祈りかな平和の鐘を撞くは若者(黙とう)     2019.8.6  8時15分
平和の日平和を祈り祈りつつ祈りは年々強くぞなれる(旧作)
ベランダに椅子置き見やる遠花火遅れて届く音も楽しむ       2019.8.7
この祈り届けと空に放つ鳩飛び続けるや心のなかを(長崎平和祈念祭) 2019.8.9 11時2分
墓洗ひ線香手向けて手を合はすときたまたまや揚羽蝶二羽(墓参)  2019.8.11
花手向け線香焚ひて手を合はすただただ合はす父母の墓(旧作)
御代かはり戦の記憶遠のくは幸ひなるかはた危ふきか(終戦記念日) 2019.8.15  新天皇おことば
愛でてみる月にあらねど夏の月団扇使ひて観るも風流(満月)     2019.8.16
吊り橋を揺らし渡れば谷深く聞こえくるかな郭公の声(旧作改正)  2019.8.17 昔九重にて郭公を聞く
なにごともなくて暮ゆく今日の日の終はりを飾る長き夕焼け(台風後)      台風10号ことなく過ぎて
晩夏光浴びて出でゆく外国船見えなくなりて汽笛を鳴らす(旧作改正)  2019.8.20 田ノ浦ビーチ
晩夏光浴びて興づる磯遊びもっとも纏ふ潮浴びの子ら(追加)
玄関を開くれば落ち葉落ちてをり秋を知らする速達なるや        2019.8.24

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