短歌50

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夏来たる遠く見やれば久住山招くがごとし峰に雲置き           2018・6・25   夏雲湧く
この頃の心の憂さも流すなり溢れ流るる五月雨の河            2018.6.30
梅雨深くながめ暮せば窓の外人恋しさを誘ふ紫陽花            2018.7.1  眺め・長雨
(頬杖をつきて見をれば窓の外人恋しさを誘ふ紫陽花)             
天の川渡り亡夫の来たるにや義母旅立ちぬ七夕の日に(命日)      2018.7.7  旧作
梅雨明けしことの確かさ豊後富士しかと収まる窓の額縁          2018.7.9  大分梅雨明け
梅雨明けて空の戻りしグランドで子どもら競ひボール蹴上ぐる
梅雨明けて空の戻りし屋根のうえ飛行機雲の伸びてゆくかな(追加)
急ぐなき老ひの歩みの泰けさよ蝶が誘ふ緑陰の径(公園の森)       2018.7.17 東屋にて
遅れゆく老ひの歩みの泰けさよ蝶が誘ふ泉への径(男池)                  回想
先急ぐ児らの後より遅れゆく泉への径白百合の花(追加)
樟大樹心を濡らす蝉しぐれ昔ながらのふる里の森(訂正)
(樟大樹心を濡らす蝉しぐれ帰りきたりしふる里の森)
蝉暑く心に溜まる憂さのあり世かはた吾か間違ひなるは          2018.7.24 記録的猛暑
目覚むればすなはち繁き蝉の声今日のひと日の暑さ思へり        2018.7.26 連日の猛暑
朝曇り今日の暑さの思はるる何処かで鳩のくぐもりの声(旧作)              朝曇りは炎暑の兆し
平和祭サイレンの音で一斉に飛びたつ鳩の空を充たせど(原爆の日)   2018.8.6
行く前や吾に親しき赤とんぼふとふる里の道と思へり            2018.8.7  立秋
蝉暑く心に溜まる憂さのありすなはち知れぬ吾子の行く末         2018.8.9
アイスクリーム舐めて味はふ平和かな終戦記念日今年も暑し       2018.8.15
(蝉暑く心に溜まる憂さのあり平和憲法是か非か知れず)
秋風の心地よけれど悔しけれ吾が白頭を悪戯に撫づ            2018.8.18 風涼しくなる
(秋風の心地よけれど悔しけれ白髪頭を悪戯に撫ず)
(秋風の心地よけれど悔しけれ帽子飛ばされ白髪吹かるる)
晩夏光浴びて出でゆく連絡船見えなくなりて汽笛を鳴らす(回顧)     2018.8.19 十文字原展望台
一雷雨過ぎたる後の水溜まり空の映りて蝶の羽浮く(旧作訂正)
見上ぐれば飛行機雲の伸びていく高さよろしき初秋の空          2018.8.20
受け止めし落ち葉一枚手に持てばわが身の秋も思はるるかな      2018.8.22
遠花火静かに上がる屋根の上遅れて届く音も楽しむ            2018.8.24
朝ぼらけ目覚めの早き老いの目に初々しきや朝顔の花          2018.8.27
乗りゆくか飛ばされゆくか秋風に飛び立つ蝶の行方思へり         2018.9.6
吹きおこる秋風稚児を歩ましむ母の手離れ五六歩なれども        2018.9.10  公園にて
カーテンを揺らし吹き込む秋の風残り少なき暦をめくる           2018.9.17
曼珠沙華誰が供へしかふる里の峠に近き父母の墓(旧作)
花供へ線香手向けて手を合はすただただ合はす父母の墓(旧作微訂正) 2018.9.23 彼岸墓参
持ち古りし傘頼もしく差しゆけど心を濡らす秋の雨かな           2018.9.24
独り観る月こそよけれ盃を手にいにしへ人と心かよはす(月見)      2018.9.26 一日置きの名月
見上ぐれば高きところに機影あり台風一過秋晴れの空          2018.10.1  台風24号去る
見知らねど言葉を交す散歩道台風一過秋晴れの朝(追加)
初鴨を早くも見たり七瀬川翳れば変はる水の色かな(初鴨)        2018.10.2
雨あがり霧晴れわたる山襞を龍のごとくに昇る雲あり(旧作訂正)     2018.10.5
曼珠沙華咲けばふる里目に浮かぶ段々畑夕映えのころ         2018.10.7
秋陽濃し杖突きゆけば足元で燃えるがごとし曼珠沙華の花
阿蘇遙か誰が名付けしか野菊晴れ指さす方に上がる白煙(牧の戸峠)  2018.10.10 回想津田夫妻
のぼり来て帽子を脱げば碧き空下りてくるかなコスモスの丘       2018.10.14 しあわせの丘
のぼり来て遠く見やれば青き海眼まなこに迫るコスモスの丘
天高く眺めて厭かぬ由布の峰姿正せば吾も正すも             2018.10.18 丘のベンチ
己が身に思へて寂しちぎれ雲すなはち知れぬ行方なるかな(窓)    2018.10.20
外来種アワダチソウの繁るなか見つけて嬉し野菊ひとむら        2018.10.21
(背高のアワダチソウの繁るなか見つけてゆかし野菊ひとむら)

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