短歌49
移る世も山の姿は変はらぬと杖立てて見る山桜花(ヴァ−ジョン) 2018.3.30
浮かれ出て桜月夜の土手行けば今宵遭ふひと見知れるごとし(夜桜見物) 2018.3.31 春満月
(朧月夜櫻並木の路行けば今宵遭ふひと見知れるごとし)
日はまうへ麓のさくら山さくら豊後の国の春はたけなは 2018.4.1
わが前を蝶の飛びゆく散歩道自適なるかな足の向くまま 2018.4.2 散策
乳母車春を見せんと押し行けば前を飛びゆく蝶のあるかな(追加)
さくら花命いっぱいに咲くからにその散るさまも魅せにけるかな 2018.4.5 花吹雪
春愁ひふと耐へがたくなりにけり鳩またククとククと鳴くとき 2018.4.6
花吹雪くなかを去りゆく人のありさても人生別れの多し(追加)
また元の通りとなりて上着脱ぎ汗を拭きゆく葉桜の道 2018.4.7 初夏の気候
悩み来て見つめてをれば海をかし鴎近づき糞をして去る(田ノ浦ビーチ) 2018.4.13
(憂ひつつ眺めてをれば海をかし鴎飛びきて糞をして去る)
春ひとり腕組み思ひ出しをれば浮かびくる顔大方は亡き 2018.4.17
(春ひとり腕組み思ひ出しをれば浮かびくること大方虚し)
腰掛けて帽子を脱げば飛んできてとまる蝶あり草土手の昼(偶成) 2018.4.19 七瀬川土手
永き日を垂れて気怠き花房に迫りくるかな庭の夕暮れ 2018.4.20
庭椿落つるも心痛むなり眼まなこに見えて春の過ぎゆく 2018.4.21 少林寺
訪ね来し少林禅寺昼深く掃かれずにある落ち椿かな(追加)
花散りていとど急かるる思ひあり木陰を飛べる蝶の忙せわしき 2018.4.22
丘に来て見遣れば海の霞解け水平線をなぞり船航ゆく
(初夏の海を見遣れば霞解け水平線をなぞり船航く)
春ひとり目を閉じをれば浮かびくる面影一つ歳をとらざる(故Mを想う) 2018.4.25 牧典功
四月尽花を離れし蝶と影別れ別れになりて舞ひゆく 2018.4.28
ゆく春を惜しみてひとり漕ぐボート豊後の富士の映る湖(追加・志高湖)
春ひとり飲むコーヒーのほろ苦き味に思へり若き過ち 2018.4.30
灯あかり消しひとり眼を閉じをれば心くつろぐ春の暗闇(追加)
里わかばこの家揚ぐる鯉幟元気よきかな強く尾をふり(祝妹初孫) 2018.5.1
日の丸の旗はためきて天あめが下若葉青葉の季節となれる(ゴールデンウイーク) 2018.5.4 みどりの日
峠路や肥後を望みて見返れば豊後の国の五月富士見ゆ(肥後街道) 2018.5.5
牡丹寺何処と問へば指の先若葉隠れに見ゆる大屋根(英雄寺)
五月晴れ蝶々道に迷ひ出てカーブミラーのなかを翔びゆく(追加) 2018.5.12
庭の薔薇手折れば刺さる棘のあり思ひ出すかな若き過ち 2018・5・14
薔薇の花血汐のごとく赤ければふとしてみたき老いらくの恋
夏きたる遠く見やれば久住山招くがごとし雲を靡かせ(久住山開き) 2018.5.15
初雲雀頭上高くに囀るに久しぶりにて空を見上ぐる(初雲雀) 2018.5.17
揚げ雲雀頭上高くで囀るをしばしは若き心もて聴く(旧作)
一羽来て二羽になりたる庭の蝶五月の晴れし空に連れだつ 2018.5.20
アヤメ池雨を湛へて豊かなりアメンボのゐて乱す花影(旧作微訂正) 2018.5.26
吊り橋を揺らし渡れば谷深く姿かくして鳴くホトトギス 2018.5.27
風五月葦の間に立つ白鷺の頭かしらの長き羽根の吹かるる
部屋籠る雨の日もよし窓の外うなづくごとしアジサイの花(梅雨入り) 2018.5.28
五月晴れ翼広げて舞ひ降りる鳩みな己が影に降り立つ(梅雨晴れ) 2018.6.1
花あやめ傘さしながら観てをればいつしか心雨を悦ぶ 2018.6.3
梅雨すでに父の遺せし傘さして父の歩みし道をゆくかな 2018.6.6 比喩
姫女苑咲く道児らの急ぎをり背中に重きランドセル負ひ 2018.6.10 七瀬の土手
姫女苑咲く土手道を漕ぎいそぐ自転車少女の脚の健やか
カーテンを閉めんと窓に近寄れば梅雨の月あり在りしところに 2018.6.15 梅雨の晴れ間
若き日の思ひ褪せれど薔薇の花赤く咲くなり小さき庭に(追加) 2018.6.18
この家の主あるじ思へり薔薇の門女の名前記す表札 2018.6.21