短歌47

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窓の外見やれば昨夜よべの風止みて枯れ木の上に冠雪の由布(木枯らし)   2017.12.18  題詠
忙しくし師走の街を行く人の脚にまつはりつくや広告
(忙しく師走の街を行く人の脚にまつはる広告チラシあるかな)
雲低くいささか風のある日なりぐんぐん昇る凧に龍の字              2017.12.19
気が付けばいつしか歩み独りにて寂びを究むる人生の旅
(いつしかに芭蕉の齢はるか越え寂びを究むる人生の旅)
眼つむれば見えてくるなりその昔かみのわが旅立ちしふる里の駅
暁の闇を払ひて由布の峰雪の化粧を直し現る(由布冠雪)             2017.12.22  冬至
雪の由布窓に見て飲むコーヒーのこの一杯にしくものぞなき
旗振りて人々祝ふ誕生日惜しまるるかな平成の御代(退位の日決る)      2017.12.23
書を閉じて深く眼まなこをつぶりをり時雨の降れる音を聴きつつ(午後時雨)    2017.12.24
(時雨降る侘しき音を腕を組み深く眼を閉じて聴きをり)
ふと仰ぐ老いの眼に瞬けるごとく優しき冬至の太陽(追加・冬至))         2017.12.26
見上ぐれば高きところに凧ありて太陽ニコニコ冬晴れの空            2017.12.27 雲一つない快晴
足早になりて師走の街行けば風に飛ばさる広告チラシ纏はる
(足早になりて師走の街行けば風に追はるる落ち葉纏はる)
ゆく年や消されゆく灯と残る灯と団地百戸のそれぞれの夜(除夜の懐)      2017,12,31
年々の心躍りも老いゆけば寂しさ勝る謹賀新年(年賀)              2018・1.1   元旦
祝はれることも寂しき老いの春人に優るは齢よはひのみにて
老いぬれば心躍りもあらずして下着を下し祝ふ初春                        新しい下着に
見上ぐればめでたく晴れし初御空旗のためとて風少しあり                     快晴
切り取りて額に入れたき眺めかな豊後の富士の初春の景(旧作微訂正)
飲み捨てし酒瓶一つ寄せ返す波にのりをり初春の浜(田ノ浦)           2018.1.2
去年今年変はることなく川はただ流れゆくのみ人の身もまた(題・川)      2018.1.3  歌はじめ
寒といふ硬き響きの凍て厳し時節となりぬ部屋に籠れる(寒の入り)        2018.1.5
山茶花の花咲き閉ざす老ひの門長き開花を長く籠れる               2018.1.9
若者ら吐く息白く走り過ぐ冬の朝日の昇る土手道(散歩)                2018.1.14
日陰りて春まだ遠き思ひかな花項うな垂るる庭の水仙                
ふる里の景色懐かし凧の尾の触るるあたりに見ゆる由布         2018.1.15  懐古室小野
ふる里は人も景色も違へるも同じところに揚る凧かな
枯木立寒さに耐へて凜と立つ虚飾を去りし姿美し                  2018.1.19
枯れ枯れて目を楽します色もなし枯野に入りて速度増すバス(高速バス)    2018.1.21  博多行き回顧
乗客ら皆ことごとく口噤み広き枯野を過ぎてゆくバス (2017.2.3)
日陰れば春待つ心乱れけり花うつむける庭の水仙(バージョン)          2018.1.22
老いらくの夢の覚め際目をやれば窓に残れる有明の月(カーテンの隙間)     2018.1.24  
わが庭に二羽来て親し寒すずめ父かと思ふ母かと思ふ              2018.1.26
(わが庭に二羽来て親し寒雀仲のよきかな父母のごと)
起き抜けにカーテンを引き遠方をち見れば久住の山の雪の曙           2018.1.27
雪霏霏と蝙蝠傘を差しゆけば雑踏のなか孤絶深まる                2018.1.28 TV画像
二三ふたみ声友呼ぶ声か寒鴉こずゑで啼くも返す声なし               2018.1.30 公園の森
きさらぎや人こそ知らねこっそりと春はきてをり梅の一輪(寒波)           2017.2.1 
久方の光は風とともにあり野にも山にも春の訪れ(立春)              2018.2.4  風やや強い
遠山に雪は残るも薄霞して立春の景色整ふ                             由布・鶴見薄霞
芽吹かんと春を待つ樹を見上ぐれば枝の間に満つる青空             2018.2.5
春たてば名のみにあらずふんわりと白き雲浮く電柱の上              2018・2・7
ふる里は梅の花咲くころならん郵便受けに便り待つかな(梅林斎へ)        2018.2.8 仏師の庭の梅林
二羽の鴨群れを離れて泳ぎをり春の流れとなりてゆく川              2018.2.9 七瀬川
(二羽の鴨群れを離れて加はらず春の流れとなりてゆく川)
春浅く風まだ寒き街行けば笑み白々しポスターの顔                 2018.2.10
風寒く背中丸めて街行けばショーウインドウに春は来てをり


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