短歌46

前のページへ

傘さすもまた風流や憂き日々を寂しがらする秋の雨かな          2017.10.14
(傘さすもまた風流や憂き吾を寂しがらする秋の雨かな)
音添へて昼降るさえも寂しきに独り聴きをり秋の夜の雨
いち早くいつも違はず灯を点す家ひとつある秋の暮かな(窓)        2017.10.20
浄土より見守りたまうふ父母の遺影の笑みもむしろ寂しき(父母7回忌法要) 2017.10.21 遍瑞寺にて     
法事終へ山門出れば塵の世や十万億土の別れ身に沁む(追加)
年々の民の嘆きの秋出水怨づるばかり術すべのなきかな(台風21号)    2017.10.22
ハンドルを握りて楽しスポーツ車カーサイドミラーに街の流るる(従弟の車)  2017.10.24  
深みゆく秋のすさびと言ふべきか夫婦の会話途絶えがちなる        2017.10.25 妻塞ぐ
ゆく春の夜の馴染みの喫茶店コーヒーカップに注ぐアンニュイ(拾遺)     2017.4.?  回顧
ゆく秋の澄みて雲なき碧き空寂しと思ふ鳥さえ飛ばず(窓)          2017.10.31
空高く連ねて渡る雁のあり今年は早し連山の雪(初雁)            2017.11.2 久住連山
日の本の今日晴れ渡る文化の日旗のためとて風少しあり(旧作)      2017.11.3 日本晴れ
秋ひとり眺めて居れば窓淋し千切れし雲の過ぎてゆくかな(窓)       2017.11.5
サクサクと落ち葉踏みゆく落ち葉道落ち葉踏む音耳につきくる       2017.11.6  公園の森
ゆく秋の落ち葉を急ぐ並木道後ろ姿を見せて女ひと行く            2017.11.7 
(ゆく秋の銀杏並木の落ち葉道別れし人の振り向かず行く)
冬急ぐ流れとなりし裏川に鴨の来たりて心定まる(初鴨)           2017.11.10
手の平に落ち葉一枚受けて止めてふと嘆かるる己が身の秋(前作微訂正)
冬すでに飲む珈琲のほのかなる湯気のけぶりの触る鼻先         2017.11.14
窓ひと日眺めて居れば由布ヶ峯の雲の厚みも冬に近づく
児が掬ひ魔法のごとく撒き散らす銀杏落ち葉の黄金なるかな       2017.11.15
誰それと知るも知らぬも人の死を聞く侘しさに年の暮ゆく(旧作訂正)   2017.11.16 喪中はがき次々
拾ひ持ち掌に載せ眺むればわが身と思ふ落ち葉一枚
突き抜けて果てなきごとき秋の空宇宙に向かふ夢を育む         2017.11.17 宇宙ステーション
黄金なす稲穂も刈られ豊後富士雪装ふて景色定まる(由布初冠雪)     2017.11.18
穂芒や風に靡かふ丘の上去りゆく秋に手を振るごとし           2017.11.19  しあわせの丘
独り来て阿蘇外輪山に立つ吾や野菊たをれば時の戻れる        2017.11.21  懐旧
(天高し双眼鏡で眺むれば阿蘇は近づく野菊の前に・旧作
ひとしきり降れる時雨も過ぎゆきて雲の切れ間に覗く青空        2017.11.22  冬の雨・時雨??
傘さすもまた風流や初時雨愛せし翁と心かよはす
いつしかに芭蕉の齢越えゆきてさびを究むる人生の旅                詩・初時雨の反歌として
いつしかに歩み独りとなりゆきて落ち葉踏む音耳につきくる       2017.11.26
影となり前行く人の消えてゆく道を急げる秋の暮かな(追加)
谿紅葉写真に収め目に収め歌に作りて心に収む(九酔渓)        2017.11.27 回顧TVで見て
禅寺の庵に憩へば老ひの目を楽しませんと紅葉もみぢ舞ひ散る(少林寺隠寮)江口章子(白秋の妻)逗留の庵
散り急ぐ銀杏並木の道行けば去りゆく秋を追ひゆくごとし         2017.11.30
風急に銀杏落ち葉の舞ひ上がり今年の秋もフィナーレなるかな
踏み行けば銀杏落ち葉の道をかし足軽くなり心晴れゆく(追加)
☆朧月夜桜並木の道行けば知るも知らぬも親しきごとし(翻案拾遺)             銀杏並木の翻案
行く前を吹かれて走る落ち葉にも心急かるる師走となれり       2017.12.1
遠山に日は照りながら蔭りきて由布の峰より時雨初めにき       2017・12・5
ステッキ立て帽子を脱いで見上ぐれば鳶の舞ひゐる冬晴れの空    2017.12.7
目つむりて思ひ出しゐる亡き父を思ひ出す日や真珠湾の日      2017.12.8  父真珠湾攻撃に参加
起きぬけに眼まなここすりて窓見れば久住の山は雪の曙(久住連山初雪) 2017.12.9
残りゐて風に逆らふ木々の葉もいつしか散りて冬の深まる       2017.12.10
年々の心躍りも老ひゆけば嘆きの交じりの今日の初雪           2017.12.13  遠山並の雪
(わが門の山茶花の花咲き初めて窓に待たるる由布の初雪)
雪の日に注ぐコーヒーはほのかなる湯気にも心温まるかな



次のページへ