(ふと空が怖くなりたり原爆忌かの刻告ぐるサイレンの音に・北朝鮮核保有)
父母の墓を洗ひて寂しかり虚しと思ふ後の孝行(墓参) 2017.8.10
草いきれ人こそ知らね月見草草葉の陰で昼を眠れる(七瀬の土手) 2017.8.11
英霊に誓ふことばは違はねど徐々に薄るる平和の念おもひ 2017.8.15
(英霊に誓ふことばは違はねど薄れゆくかな平和の念)
戦争を知らぬ子供ら氷菓舐むそれぞ平和の味とこそ知れ
世の中は常にもがもな終戦日朝日を浴びて鳩の羽搏く(追加)
柳蔭しばし憩ひし旅人の遙かの蔭を目指し立ち去る(西行柳) 2017.8.19 奥の細道幻想
南海の荒波寄する断崖に咲きてわりなき白百合の花(回顧) 2017.7.20
咲ききりて思ひを遂げしごときかな昼を待たずにすぼむ朝顔 2017.8.22 草城の句より
幸多き一生ひとよととには非ざるに哀しきまでに遺影の笑まふ(義母)2017.8.23 四十九日法要
秋風の涼しけれども厭はしき帽子飛ばされ白髪吹かるる 2017.8.25
父と母仲良きときも諍ふも今は眠れる墓の静けし(七回忌) 2017.8.26
追ひかけし夕焼け小焼けの赤とんぼ戻るすべなき昔なるかな
手のひらに落ち葉一枚受け止めて嘆かるるかな己が身の秋
(秋告ぐる速達便と思ふかな落ち葉一枚掌に受く・旧作)
カーテンを揺らし吹き込む秋風の残り少なき暦をめくる 2017.8.29
浮かれ出しすずろ歩きの涼しさに帽子脱ぎ行く秋風の土手 2017.8.30
悔やんでもせんなきことよ忘れよと今日を生きよと朝顔の花(心境) 2017.9.1 心境を重ねて
秋風の涼しけれども厭はしき白髪頭を悪戯に撫づ 2017.9.4
虫の音を腕組み目つぶり聴ひてゐる独りの秋の夜長なるかな 2017.9.5
吹く風にゲートボールの旗涼し響きよきかな球を打つ音 2017.9.6
ひとり来て眺めて飽かぬ秋の海一羽の鴎眼まなこを遊ぶ(田ノ浦ビーチ)2017.9.9 重陽の日
かもめ飛ぶ青海原をゆきゆけど出遭ふ船なき秋の航かな
見渡せば波やや高き秋の海わが胸中の騒げるごとし
秋風の頭かしら撫づるが厭はしく早々閉めし窓にしあるか 2017.9.11
秋風に吹かるる妻の乱れ髪ふと目にとまり心に残る(訂正) 2017.9.12
海をかし憂さ晴らさんと見てをれば一羽の鴎糞をして去る(田ノ浦追加)
秋夜長目覚めてをれば虫ひとつ耳元近く金の鈴振る(敬老の日) 2017.9.18 里の家を思い出して
また道のススキのなかとなりしかな久住高原秋ぞたけなは(付け句)2017.9.22 久保田万太郎の句に
秋晴れの阿蘇を背にして手を振れる久住高原馬に乗る人
花供へ線香焚いて掌を合はすただただ合はす父母の墓(彼岸) 2017.9.24
秋の月心に思ひ穂ススキも手向けて拝む父母の墓
秋風の心地のよさよポーズ決め帽子を被りなほす街角 2017.9.25
秋深むことの確かさ由布の峰姿正して窓に収まる
仲秋を過ぎて細りてゆく月の尖り鋭きカーテンの隙 2017.9.29
(仲秋を過ぎて細りてゆく月の尖り鋭し穂ススキの上)
豊後富士映す位置かな水澄みて波静かなる秋の湖(志高湖) 2017.10.1
持ち古りし傘頼もしくさし行けど心を濡らす秋の雨かな(旧作) 2017.10.2
秋の雨いと降る中を帰り来て傘をたためば落つるもみぢ葉(旧作訂正)
コスモスの花咲く丘に登り来て帽子を脱げば下りてくる空 2017.10.3 しあわせの丘
その昔かみの学校サボりし吾なれやチャイム聞ゆるコスモスの丘(追加)
ひとり見る月にしあれば独り酌み古いにしへ人と心通はす(中秋の名月)2017.10.4
月天心遮る雲のあらざれば隈なく照らす家々の屋根
傘立に濡るる傘あり妻今し帰りたるらし秋雨の中 2017.10.6
(傘立に濡るる傘あり妻今し戻りたるらし秋雨の中)
もみじ葉の流れに乗りて急ぎゆく深まる秋を告げ知らせんと 2017.10.7 あやとり橋にて
コスモスのしきりに揺るる無人駅快速列車止まらず過ぎし 2017.10.11 豊後国分駅
登り来て帽子を脱げば丘さやかコスモスを背に写真撮るひと 2017.10.13 しあわせの丘