短歌44

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阿蘇遙か若葉青葉の山々のかなたに上る白き噴煙          2017.4.30
初夏の青海原を傷つけてモーターボート沖へ出で航(旧作)    2017.5.1
初夏の青海原を見渡せば招くがごとし沖つ白波(田ノ浦ビーチ)             
見渡せば霞を解きし空と海水平線をなぞる船あり(微訂正)
見渡せば霞を解きし空と海競へるごとく藍を深める
止まれる山の桜も散り果てて若葉に変はる季ときの激しき(追加)   2017.5.3
草若葉運動靴に履き替へて大地踏みゆく日曜の朝          2017.5.7
藤の房頭上に垂れて昼近し蜂の羽風で散らす花びら(陣屋の村)   2017.5.8
初夏の青芦原に立つ鷺の姿正して冠羽かんう吹かるる         2017.5.11
夏来たることの確かさ庭走にはばしり菖蒲あやめの池にそそぐ水音    2017.5.17
あやめ池覗けば映る老けし顔年々歳々花変はらねど
久々の霞を解きし街中に建ち現れし高きビルかな(高層マンション)
吊橋を揺らし渡れば谿若葉夏鶯の声のあちこち(七瀬の吊橋)     2017.5.20
(吊橋を揺らし渡れば谿深く姿隠して鳴く閑古鳥・懐古九重
牡丹花のうへを舞ひ飛ぶ蝶々二羽相寄り縺れ離れまた寄る(牡丹苑)
一羽来て二羽となりたる庭の蝶五月の晴れし空に舞ひ立つ     2017.5.23
薔薇一輪買ひ求むればありありと現れ出づる昔あるかな(妻誕生日) 2017.5.26
(薔薇一輪買ひ求むればありありと浮かびくるかな在りし日のこと)
来てみれば白き煙は今もかも杖突き眺む大阿蘇の山(久住高原)  2017.5.29
君坐さば誘ひて伴に来たらんに眺めて虚し阿蘇の噴煙(故人Mに)  
あやめ池雨を湛へて静かなりアメンボのゐて乱す花影(旧作微訂正) 2017.6.6
あやめ池雨を湛へて静かなり晴れて真中に浮かぶ日輪
そぼ濡れし雨のあとなる花あやめ葉先にとまる露の白玉
不如帰しば鳴く声を聞くときしふる里捨てし悔ひの増される     2017.6.7
(不如帰しば鳴く声を聞きをればふる里捨てし悔ひの増される)
吊橋を揺らし渡れば谿深く姿隠して鳴く時鳥(七瀬の吊橋)
恋なき手つなぎ園児ら通りゆく姫女苑咲く草土手の道        2017.6.10
ふる里は遠くなりたるごときかな道新しく広くなりしに(弔問帰郷)   2017.6.15
藤の花垂れて散り込む谷川の渦巻き流れ夏へ急げる(訂正拾遺)  2017.6.18
雨上がり霧の晴れゆく山肌を龍のごとくに昇る雲あり(旧作微訂正)  2017.6.20
雨上がり露のまだ干ぬ紫陽花の葉裏を這へる蝸牛愛し      2017.6.23
雨上がり早や現れて揚羽蝶ゲートボールのグランドを舞ふ      2017.6.25
梅雨深く降り頻く雨に濡れそぼち色新しき紫陽花の花        2017.6.30
季に疎き都会の空に現れてビルのガラスに映る夏雲(住友生命ビル) 2017.7.1
滔々と溢れ流るる濁流を渡る蝶あり台風の後(台風3号直撃)      2017.7.5
天の川渡り亡夫の来たるにや義母旅立ちぬ七夕の日に(享年92)  2017.7.7
梅雨明けて物の纏へる日の光最も纏ふ向日葵の花(旧作微訂正)   2017.7.9
子供服梅雨明けたりと干す家の庭に輝く向日葵の花
公園の楠の大樹の濃き木陰今年も聞けり初蝉の声          2017.7.11
朝曇り今日の暑さの思はるる何処かで鳩のくぐもりの声(猛暑)    2017.7.14
丘に来て見遣れば沖に雲湧いて近づくごとし青き海原(海の日に)   2017.7.17
森深き楠の大樹の今もかも人こそ知らね幹に刻む名         
刃をば人にな向けそ身を修め己に勝てる者こそ勇者(秀晃の誕生日に)2017.7.19
短夜みじかよの儚き夢の覚め際に遠く聞こゆる暁の鐘          2017.7.25
目覚むれば仄かに残る夢のあと老ひの眠りに現れし女ひと
花火終へ暫し虚しき夜の空にまた現れし月と星かな(旧作)      2017.7.30
花火観る昔も今も群衆に紛れ忙しく団扇使ひて(七瀬花火大会)
在りし日の姿薄るる嘆きかな名のみを刻む父母の墓(墓掃除)     2017.8.4
この願ひ叶へと児等が放つ鳩原爆ドームの上を舞ひ飛ぶ(原爆忌)  2017.8.6
ふと空が怖くなりたりヒロシマ忌黙祷告ぐるサイレンの音に

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