詩120

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   旅の終わりに(バージョン)
                 2016.11.7
晩秋の
敷き詰めた落ち葉の
絨毯の道を
今 わたしは歩いている
わたしの行く手には
美しい殿堂が見えている
それは わたしにだけ見える殿堂
そう わたしの人生の旅は
そこで終わり
多分わたしは永遠の安らぎを得ることになる
わたしの旅がどうであったのか
もう わたしは問うことはしない
わたしの人生の旅の記録は
わたしが作り続けた
拙い詩
そして
わたしの為の墓は必要でない
わたしの詩がそれであれば充分


拾遺  漢詩


   宮崎行

西方白水海に寄って流れ

四顧すれば花尽きて南風起こる

此地春色忽ちにして過ぐと雖も

青天一たび晴れて愁ひ無し

   
     西方白水寄海流
    
     四顧花尽起南風

     此地春色雖忽過

     青天一晴而無愁








  忙中閑

箕踞す桜花の下

一日閑居を得たり

日は已に西南に傾く

落花を挿みて書を閉ず


     箕踞桜花下

     一日得閑居

     日已西南傾

     挿落花閉書



   秋
            2017.11.25
緑の季節は終わり
木々は変身を急いでいる
色づきはじめた公園の木々たち
その木陰に置かれた
ベンチに
わたしは帽子を脱いで憩っている

ああ
噴水は風にふらつき*
季節の到来におののいている
突如
落ち葉を散らす風
わたしはおもむろに立ち上がり
落ち葉を一枚手のひらに受け止める
そして知る
わたしの人生も秋に
           入ったことを

題「みどり」  詩の創作会にて

*ふらつき→よろめき?




   

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