詩74
  丘の家
          10.10.30
丘のうえの
赤い屋根の家
そこには
誰が住むのか?

窓から見える
赤い屋根の家──
わたしはいろいろ
思いをめぐらす

丘のうえの
赤い屋根の家
そこには
わたしの夢が住む


   連歌れんか
           10.11.9
手のひらに
    拾ひて
       載する
    もみじ葉の
  露を含みて
色の新し

手のひらに
   拾ひて
   載する
   もみじ葉を
二枚重ねて
君を想へる

手のひらに
   拾ひて
     載する
       もみじ葉を
さらに重ねて
       わが目慰む

    観察
         10.11.15
鴨が池に浮んでいる
一羽
   二羽
三羽
   四羽
葦の葉陰に
もう一羽

鴨が連なり泳いでいく
一羽二羽三羽四羽
あとから遅れて
もう一羽

鴨が驚き飛立っていく
一羽
   二羽
      三羽
         四羽
慌ててあとから
もう
一羽


  阿蘇
            10.11.16
野菊咲き
萩咲く 彼方
白い噴煙をあげる


秋晴れの
風なき 空に
もくもくと煙を吐く
阿蘇

ここ 外輪山の一隅に
ぼくは はるばるやって来て
お前を
双眼鏡で眺める

すると
お前は 恋人のように
近づく
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