短歌13
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池の面に空の映りて静かなりあやめの陰を雲の流るる         09.5.30
この岡の松の枝ぶりよき処ここより見ゆる豊後富士佳き        09.5.31 
恋なき手つなぎ園児ら帰りゆく白き花咲く草土手の道           09.6.3
姫女苑咲けば想はるランドセル背に重かりし故里の道
濡れ燕宿りせんとて近づくや傘をさし出す五月雨のなか(梅雨入り)   09.6.10
近づきてまた遠ざかる燕つばくろめまたも近づく赤き傘かな(追加)
傘触れてチラとふり向く女ひと若し雨また楽し紫陽花の道          09.6.12
南風や磯の巌いはほに這い登り蟹はをかしも鋏を掲ぐ(09.5.8の続き)
名もをかし大観峰といふところ遠く近くで鳴く時鳥              09.6.20
久々の梅雨の晴れ間に現れて窓に収まる豊後富士かな         09.6.22
晴れ曇り映れる空の移ろへど花影浄し白蓮の池(少林寺)
初夏の湾を出で航くヨットあり入道雲の沖で待つかな(別府湾)    09.6.25
時鳥聴きつつ夜半に目覚めをり友の病を遠く気づかひ(親友M)      09.6.28
流れゆく太き丸太の行くすゑと来し方想ふ五月雨の川 (七瀬川)    09.6.30
ふり向けば傘さす妻の遅れをり雨上がりたる紫陽花の道
雨上がりはや現れし梅雨の蝶虹の架かれば空に飛びゆく(修正)    09.7.1
雨上がり蓮の葉に置く白露の中にまします大日如来(臼杵石仏の里)  09.7.9
蓮の花心すなをに眺むれば西方浄土眼の中にあり
蓮の葉に乗りて泰やすけし雨蛙浮世眺めてケロケロと鳴く
久々に窓を開ければ舞ひ込みて梅雨の明けるを告げる蝶かな(梅雨明け)09.7.13
やや疎き隣りも窓を開くるかな梅雨明けたりと窓を開くれば
梅雨明けしことの確かさガラス窓枠いっぱいに青空映す
街空に朝よりあがるアドバルーン梅雨の明けたることの確かさ
梅雨明けて青くかがやく大空に強くボールを児は蹴上ぐなり
梅雨明けてすずろに登る坂の道海よく見ゆるところあるかな
ヘルメット光らせがら行くバイク白き雲追ふ高原道路(やまなみハイウエーにて)09.7.15
人消えし裏の畑の真昼時カボチャの花の咲きて静けき(故里)        09.7.23
ふるさとの我家の庭の立葵今も咲くかな吾より高く(追加)
梅雨明けてボート貸し出す湖の岸辺に咲くや白百合の花(志高湖)     09.7.24
女乗るボートオールを休めをり湖の岸白百合の花
ゆく春の湖うみに浮かびて餌を撒けばあはれ白鳥ひとに近づく(拾遺)
海眩し髪なびかせて遠をちを見る若き二人にカモメ近づく(田ノ浦ビーチ) 
丘に来ていつも吾立つ松の陰街を見下ろす高さよろしき(松ヶ丘)      09.7.31        梅雨明けて青く輝く海原を旗なびかせて漁船出で航く(再度梅雨明け?) 09.8.4    
緑陰に若き旅人眠りをり脱ぎし帽子に蝶の留まれる            09.8.14
緑陰に足投げ出して憩ひをりバイク青年ヘルメット脱ぎ   
雨上がり早現れし梅雨の蝶日の瞬けば空に飛びゆく(修正前)
峰の松ありしところにしかとあり梅雨明けたりと窓を開くれば(拾遺)
目を休め暫し遠くを眺むればページを捲る初秋の風(残暑見舞い状)    09.8.15
晩涼やすずろに歩く土手の道そよげる草に暑さまだあり
南風や髪なびかせて少女等は浜を走れり波に向かひて(連作の試み)  09.8.19
南風や海よりあがりくる少女人魚のごとし黒髪濡れて
髪濡れて碧き海より出できたる少女の黒き瞳ぞ熱き
秋風と早くも知れり散歩道木の葉一枚吹かれ舞ひ落つ(拾遺)
カーテンを捲り吹き込む秋の風眠れるひとの黒髪を吹く。(姪)        09.8.20
吹き込みて暦をめくる秋の風今年もとうに半ばを過ぎし            09.8・31
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