短歌8
帰るたび吾あを痩せたりと言ふ母のいよよ益々痩せてをるかも 07.5.30
帰りたる子に食はせんと籠に盛る故郷の枇杷の黄金色せり
帰りたる子に食わせんと籠に盛る故郷の枇杷の黄金色かな(?)
傘持たせ子を送り出すこの頃や門に咲きたる紫陽花の花 07.6.4
ビルの上ビキニ娘の看板の上に湧き立つ初夏の雲 07.6.8
梅雨すでに雨に打たるる花あやめ相合傘の長く見てをり(梅雨入り) 07.6.13
雨上がり傘畳まずに回しゆく人妻若し紫陽花の径 07.6.14
牡丹花を美人のごとく眺むれば眼まなこに残る花一つあり 07.6.17
晴れてよし雨もまたよし花菖蒲咲きたる苑に絶えぬ人影(神楽女湖菖蒲園) 07.6.18
故里や牛に代はりし耕耘機泥付け憩ふ紫陽花の前 07.6.20
紫陽花の花の誘ふ径行けば山門ありて仁王出迎ふ(少林寺) 07.6.25
梅雨深し雨を溜めたるグランドに向き合って立つサッカーゴール 07.6.27
英雄寺訪はんと問へば指さしぬ若葉の隙ひまに見ゆる大屋根 07.6.28
晴れてよし雨も亦よし牡丹苑唐傘差して花ぞありける
吾が前を若きは手と手繋ぎゆく湖の径紫陽花の径
梅雨明けて空を映せる潦にはたずみ小鳥降り来て浴ゆあみするかな
山門を潜れば浄土夏の蝶石の仏の肩に安らふ(少林寺) 07.7.4
少林寺梅雨の晴れ間に訪ひ来れば露の玉置く白蓮の花 07.7.11
梅雨深く雨晴れやらぬ庭先に変化へんげ重ぬる紫陽花の花
梅雨すでに暗き梢を見上ぐれば雲間を走る速き月影
水車廻り初めたるあやめ池花の咲くまで暫し待たるる(拾遺)
来てみれば睡蓮の花はや閉じて月の出待たず眠りをるかな(少林寺) 07.7.17
梅雨明けて子供服干す庭先に向日葵の花高く輝く 07.7.18
梅雨明けて光溢るるグランドに先ず現れし大き蝶かな 07.7.24
大き樹の作る木陰に置くベンチ人の隣りに蝶も憩へる
朝来れば蓮の浮き葉に置く露のどの一粒も宿す太陽 (仏の里) 07.7.28
電線を潜りて昇る名月を一人眺むるアパートの窓(懐旧)
花火終へ暫し虚しき夜の空にまた現るる星と月かな(七瀬の火群祭り) 07.7.29 薔薇一輪妻に贈れる誕生日齢よはひ重ぬも心な老ひそ(5月26日・改案)
ふる里や大の字になり寝転べば耳の辺りに風鈴の音 07.8.2
立秋や浅瀬を歩む白鷺の水に映れる影の清さやけし 07.8.8
向日葵の金に輝く公園のベンチの二人相触れしまま 07.8.11
南風や青く広がる海原を白き帆の航ゆくやや傾きて (田ノ浦ビーチ) 07.8.20
梅雨明けて芝に降り立つ鳩の群れ皆各々の影を従ふ
朝曇りテラスを歩く鳩の足己が落せし糞を踏みゆく
朝焼けや露の残れる前庭の芝生を踏んで鳩の歩める 07.8.22
暑き沖眺めてをれば常のごと常の時刻に白き船航く (田ノ浦ビーチ) 07.8.24
現れて吾につき添ふ森の蝶森深ければ案内あないするかな (青少年の森)
今朝の秋容かたち整へ豊後富士大きガラスの窓に収まる 07.8.27
秋立つと人には定かならねども風に驚く庭の蝶かな(追加)
夏果つる海や長らく見てをれば遠き船ほど濃き晩夏光(田ノ浦ビーチ) 07.8.31
晩夏光浴びて泳げる若者ら鰭あるごとく海を出で来ず(追加)
高原はコスモスの花風に揺れ峰顕あらはなり久住連山 07.9.6
高原は牧場の眺め清けくて草食む牛に濃き晩夏光(ガンジーファーム)
葦原や風に驚く白鷺の広ぐる羽に濃き晩夏光(七瀬川) 07.9.10
葦間ゆく水の流れを涼しとて降りきて脚を浸す鷺かな