短歌7
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日の本の今日晴れ渡る文化の日旗のためとて風少しあり(拾遺)
落ち椿一つ載りゐる石の上神の手ありて載せたるごとし           07.3.5
冬の海若きは飽きてすぐ去れり波高ければ吾は残れる(07.1.22)
春浅き阿蘇はいまだに眠りをり薄き霞のカーテンの奥(あざみ台展望所)   07.3.6
春浅き遠山並みを眺むれば薄き霞の奥に大阿蘇
春うらら芝に寝転び見上ぐれば鳩は糞して空に遊べり             07.3.13
風寒く春まだ浅き土手の道犬に曳かれて人急ぎゆく(寒波再来)      07.3.15
鴨の群消えて空しき湖にながく映れる春の夕焼け               07.3・16
吾が庭の椿一輪咲きにけり門を閉ざすも春は訪る
春の岬我に近付くかもめ鳥糞して遠く去りにけるかも             07.3.22
遠くより汽笛を鳴らす連絡船沖の鴎を連れて入りくる(修正)
城下町春を訪ねて来てみれば塀の外にもある落ち椿
幼き日吾ら手繋ぎ帰りたり蒲公英の花咲けるこの道              07.3.25
久住山峰の白雪解けぬ間に麓の桜咲きにけるかな(久住残雪・山桜)   07.3.26
来て仰ぐ久住の山の雄々し阿蘇と競へる白き噴煙
春霞薄くたなびくその奥に横たふ阿蘇はいまだ眠れる
春すでに土手の道行く車椅子蝶々一匹付添ふてゆく
永き日もやうやく暮れて灯ともせば刻千金の宵とはなれり
春灯下疲れて眠る妻の顔唇少し開くはかなしき
春灯下疲れて眠る吾が妻の鼾哀しもかすかなれども
春の海霞のほかは見えねども船現るるまでと待つかな           07.3.28  
乳母車春を見せんと押しゆける蒲公英の花咲ける畔道
春風に吹かれつつゆく土手の道連添ふごとく蝶の寄り来る
春の海ひねもす荒き浪もなしこの安けさを世にも願へり           07.3.30
春ひとり灯あかりの下に飲む珈琲銀のスプーンでながくかき混ず      07.4.3
花椿落ちて転がる塀の外一つ離れて在るもをかしき
春嵐花を舞い上げ散らすときふと去り行きし女ひとを思へり(春嵐吹く)   07.4.4
花吹雪く並木の道を行く女ふり向かず行くその姿佳し
春の夜やながく浸かれる今日の風呂心に溜まる垢も落さん         07.4.7
ふるさとの小川に架かる小さき橋この頃吾の心に大き            07.4.9
白き蝶吾が行く前を飛びゆける昔変はらぬふるさとの道
窓の外眺めてをれば桜花散るあはれさの今年勝れる           07.4.12
少林寺春惜まんと来てみれば藪の椿に残る一輪              07.4.15
春愁ひ晴らさんと来し少林寺鳩またククとククと鳴くかな
葉桜の並木の道を行くひとのネクタイを吹く初夏の風            07.4.19
チューリップ庭に咲きたる新築の家のテラスに白き椅子あり
ゆく春のビルより見ゆる海の碧日に日に深くなりにけるかな
手を繋ぎ児等は仲良く帰りゆく信号機なきふるさとの道           07.4.27
初夏の風スカートに孕ませてブランコ少女空を蹴上ぐる              07.4.28
故里や草に埋もれて今もあり吾が歯を折りし意地悪な石          07.5.4
一周りして来て愁ひ深まりぬ春の終はりの蒼き湖              07.5.14
漕ぎ出でしボートオールを休めをり春の終はりの蒼き湖
初夏の青海原を傷つけてモーターボート沖へ出でゆく            07.5.23
ゆく春の湖うみに向けたる白き椅子人座らねば蝶の留まれる(レイクサイドホテル)07.5.26
吊橋の上より見れば渓若葉白き飛瀑を奥に隠せる(夢の大吊橋)
渓若葉車を止めて眺むればあらぬ処に瀧を落せる(九酔渓)

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