短歌6
新しき年の始めに思ふことただ父母の安かれとのみ 07.1.1
初雀仲良く二羽の来てをればよき新年の明けたるごとし
冬の雨止むと思えば又降れるまだ一所残る青空 07.1.8
カーテンを開ければ見ゆる由布鶴見眠れる山となりにけるかも 07.1.9
寒鴉梢高くぞ止まりゐてここに居るぞと二三声鳴く
見てをれば落ち葉一枚走り出し無数の落ち葉軈やがて従ふ 07.1.10
遠霞薄くたなびく山並みの霞の奥に光る雪嶺(久住連峰)
咲くよりは散りゆく花となりにけり掃かれずにある門の山茶花
寒月に照らされ土手の道行けば連添ふごとし川中の月 07.1・15
一人飲む珈琲の味ほろ苦し春の雨降る午後のつれづれ(拾遺.退職)
冬の虹消えゆくまでを眺めんと長く離れぬ窓の前かな 07.1.16
冬ざれ野遠く鉄路は続くなり急行列車雪載せてくる
朝霞遠山並みに立つ見えてやや長く居る今日の窓かな 07.1.19
ゆく年の町の夜空を仰ぎつつ又減りたりと思ふ星数(追加)
土産にと女ひと剪りくれし水仙の花飾らんと花瓶を選ぶ
命ふと寂びし思ふことのあり寂びを極めし人ぞ恋しき
吾が庭の山茶花の散りゆけば椿咲くまで少し待たるる 07.1.22
吾が前や若きは肩を寄せあへる波ばかりなる冬の海見て
荒海を見てきし心昂ぶりて一艘の舟目を閉じても見ゆ
少林寺春を尋ねて来てみれば藪の椿の一つ咲きをり
かりそめにコップに活けし水仙花臨時雇ひの机に置かる 07.1.26
冬篭り人も訪ひ来ぬこの頃を書を読み継ぐに良しと思へり
雪催ひ由布の見えざる窓なれば又カーテンを引きにけるかな
書に倦みて目を移したる窓の外なにやら白きものの落ちをり
窓の前咲くを待たるる花椿固き蕾をすでに持ちをり
遠くより汽笛を鳴らす連絡船冬の鴎を連れて入り来る
冬の虹消えゆくころに見しことも今日の大事と日記に記す
このところ屋根によく来る一羽鳩今日もきてをり遠くを見をり 07.1.29
豊後富士北に聳える吾が里の吾が家の梅も今は咲くころ(梅開花宣言)
春霞遠山並みを眺むればまだ雪残る山もあるかな 07.1.31
春近し窓より見ゆる電線に音符のごとく鳩の留まれる
雀二羽追ひつ追はれつ飛びゆける争へるにや仲の良きにや 07.2.1
目覚むれば二羽居るらしき屋根雀何語らふぞ声の楽しき 07.2.5
ふるさとのわが家の庭は荒れにしを昔変はらぬ水仙の花
ふるさとに帰り来たりて友もなし先ず会ひにゆく大き樟木 07.2.8
良きもあり悪しきもあれど吾が歌の一つ一つぞ命なりけり
モーツアルト聴きつつ走る枯野道街逃れんと握るハンドル 07.2.12
冬の海しばし眺めてたち去れば一羽の鴎眼まなこに残る
吾が庭の椿蕾をつけにけり即ち春の生まるる姿 07.2.19
季節なき街にも春は知らるなりビルの硝子ガラスに写る白雲しらくも 07.2.20
春風にのりて飛びゆく土手の蝶犬追ひ行けば人も後追ふ
人ふたり春まだ浅き浜をゆく長く延びゆく足跡残し 07.2.27
春浅き湖うみを見に来てむなしかり鴨の数など数えて帰る
春霞阿蘇を見に来て見えねども尚も眺むる君と見し場所(あざみ台) 07.3.1
春風に吹かれて土手の道行けば追ひ越してゆく若き自転車 07.3.3
グランドにボール追ひかけあふ遊び日脚伸びれば影も加はる