短歌69     前のページへ      次のページへ

 阿蘇はるか久住高原秋日濃しむすび頬ばる野菊を前に     2023.10.30     回顧 
 *阿蘇はるか久住高原ま昼時むすび頬張る野菊の前で                あざみ台
 阿蘇遥か車停めて見渡せば外輪山にゆれる穂すすき  (拾遺)             山並みハイウエー
 いつしかに冬の流れと川なりて浮かびくるなり落ち葉つぎつぎ  2023.11.8     冬至
 いつしかに冬の流れと川なりて翳りて変はる水の音かな
 見上ぐれば飛ぶ鳥もなく雲もなき冬晴れの空に太陽にこにこ   2023.12.4
 冬晴れの空を見あげて何気なく帽子をとれば太陽にこにこ
 持ち古りし傘頼もしくさしゆけど心を濡らす晩秋の雨      2023.12.5
 枯れ枯れしこの土手道を行き行けば己が心も枯れてゆくかな 2023.12.10
 枯れ枯れしこの土手道の行き帰り己が心も枯れてけるかな
 冬川にこの頃多き白鷺の群れて飛び立つ羽音寒しも     2023.12.25
 ガラス拭き終へて見やれば由布の峰姿正して窓に収まる  2023.12.28   年用意
 ガラス拭き終へて見やれば豊後富士姿正して窓に収まる
 誰それと知るも知らぬも人の死を聞く侘しさに年の暮れゆく  2023.12.30
 大年の名残の空も暮れはてて永久とはの流れの銀河見えくる 2023.12.31  故郷回顧
 一年ひととせの名残の空も暮れはてて永久の流れの銀河見えくる   年々歳々 歳々年々
 
<拾遺・訂正>
 *菜の花の道や時間をさかのぼり過去に着きたるごときふる里(連作)  
 *ランドセル背負ひ子どもら帰りゆく吾もゐるごとし菜の花の道(旧作訂正)
 豊後富士ありしところに確しかとあり梅雨の晴れ間の窓を開くれば

 豊後富士正月らしく雪化粧して迎ふるやあらたまの年     2024.1.1  元旦 
 由布の峰正月らしく雪化粧して迎ふるやあらたまの年
 嘆くともせんすべもなき思ひかな天地のことを知るは神のみ (能登半島地震)
 窓の外見やれば山は眠りをり深く眠れる遠をちの山々       2024.1.3  春遠し
 見渡して春まだ遠き思ひかな深く眠れる窓の山々
 枯れ枯れて目を楽します色もなきこの土手道を行きて帰れり 2024.1.5 七瀬川の土手
 正月も三日を過ぎてあじけなし梢に掛かる凧のすがたも    2023.1.6 七瀬自然公園にて
 冬川に浮く空き缶は今もかも春の流れを待ちて久しき     2024.1.9  七瀬川
 老いぬれば恋も悩みもあらざれど読む恋愛の物語かな (炬燵にて)      源氏物語
 冬ごもり籠りてゐれば寒といふ響きも寒き寒に入るかな (小寒) 2024.1.12 旧作訂正