短歌25
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初蝶を見し束の間は夢なれや風まだ寒き草土手の道      12.3.17
初蝶を今年も見たる彼岸前命をかしと思ひけるかも
初蝶を見したかぶりを持ち帰り妻にも伝え日記にきにも記す
蝶追へば逃げてゆくなり若き日のわが追ひかけし憧れのごと 12.3.18
梅散りてしばし虚しきわが庭に桜待たるる蕾のありて      12.3.19
花飾り線香焚けども虚しかりただ掌を合はす父母の墓(彼岸)  12.3.20
春ひとり頬杖をつき眺むれば机上に積める書物淋しき      12.3.21
ポッケトに手を突っ込みて行き行くや行方定めぬ春風の土手  12.3.22
この笑顔まことの笑顔と思ふかな写真の少女菜の花の中    12.3.25
また遭ひてまたまた遭へる蝶々かなひとり歩きの草土手の道   12.3.29
冬の虹消えゆくまでを見しことを思ひ出しをり夢路の前に(拾遺)
由布の峰霞たなびき春景色整ひぬれば桜咲き初む(しあわせの丘)12.3.30
八分咲き二分を待たるる桜花待つこそ良けれ散るを思えば
桜花はやも盛りとなりにける咲き初めたりと思ひゐし間に    12.3.31
落ち椿落ちし処をやや離れ掃かれずにある苔の上かな
通るたび増ゆるを嘆く落ち椿過ぎゆく春の目にこそ見ゆれ
咲くよりも落つる椿となりにけり残る椿に春の留まる(残る椿汚し)
老ひぬれば若きに勝てぬ歩みかな草土手の道タンポポの咲く  12.4.1
花の下しばし小さき領土かなシートを敷きて足投げ出せば    12.4.2
咲けば散る習ひと知れど常よりも心乱るる今年の桜       12.4.6
揚げ雲雀頭上高くで囀るをしばしは若き心もて聴く(旧作)   12.4.8
花の雨そぼふる中を帰りきて傘を畳めば落つる花びら    12.4.11
菜の花の彼方や由布の薄霞み豊後の春となりにけるかな  12.4.13
知るひとも今は稀なるふるさとの道を通れば蝶の親しき   12.4.16
噴水の高く上がれる春真昼女神の像に虹のかかれる(花公園)12.4.17
遠回りしてこの道を帰るかな土塀に垂るる白藤の花      12.4.18
上着脱ぎ片手に持てば自から足の急げり葉桜の道      12.4.20
雨後の川春を流してゆたかなり空缶一つ流れくるかな    12.4.22
客あるじ世間の話やや尽きてしばし眺むる庭の牡丹花   12.4.25
牡丹花を愛で眺むれば蝶一羽天つ空より飛びてきたれる
今日の雨庭の牡丹を散らしけり濡れて重なるその二三弁 12.4.30
阿蘇遥か双眼鏡で眺むれば霞払ひて上る噴煙(あざみ台) 12.5.1
鯉幟風を孕んで元気良し尾のはためきに雀逃げゆく     12.5.3
腕白の昔懐かし花薊愛する吾や棘はあれども         12.5.5
花茨咲きて変はらぬこの道や心に刺さる思ひ出のあり     12.5.6
芍薬の日毎開くを眺めつつ妻との会話和むこのごろ      12.5.11
たち寄りて庭を覗けば見らるるを心得顔の芍薬の花(ある農家)
風も無く作り風車の巡るなりテーマパークのチューリップの丘(農業自然公園)12.5.17
薔薇の園日は輝きて昼深し若き男女の入りて出で来ぬ
晴れて好し雨もまた良し花菖蒲相合傘で見るはなほ好し   12.5.27
菖蒲池花の姿は変はらねど覗けば映る己が顔かな
風薫る五月も今日で終はるなり草土手の道急ぐ自転車   12.5.31
初夏の小川で遊ぶ児等のあり水を掬へば映る太陽(七瀬公園)12.6.1
花菖蒲心寂びしく観てをれば飛び来て舞へる蝶のあるかな 12.6.6
雨あがりあやめの花に置く露のまだ干ぬままに垂るる花びら 12.6.17
雨の日や瓶に活けたるアイリスの蕾愛でつつ咲くを楽しむ    
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