予防接種について

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《予防接種は必要か》

《予防接種の種類と順番》

種類
どういう順番で接種したらいいでしょう?
ワクチン接種の間隔は?

《予防接種でよく聞かれること》

《各ワクチンの副作用と有効性について》

麻疹風疹ワクチンに関して

 

予防接種は必要でしょうか? 

予防接種(ワクチン)のある病気は治療する薬が全くないものが多いのです。
麻疹、風疹、おたふくかぜ、ポリオ、日本脳炎には全く有効な薬がありません。もちろん抗生剤は全く効きません。
百日咳は抗生剤で菌を退治することはできますが、特有の激しい咳を軽くすることはほとんど不可能です。

予防接種にも副反応がありますが、自然感染の方が死亡率や合併症の頻度が圧倒的に高く、一般的には予防接種をした方がいいと考えられています。 接種するかどうかは、下の各疾患の自然感染とワクチン接種との比較をよく読んで決めて下さい。

予防接種の種類と順番 

予防接種は市町村によって、接種方法や時期が異なります。ここでは大分市のやり方について述べます。

個別接種

大分市ではすべて個別接種となっています。「こどもの状態や体質をよく理解しているかかりつけの小児科で、その子に一番いいタイミングでしましょう。」ということになっています。

大分市以外の方

大分県内ではどこでもかかりつけの小児科で予防接種ができます。
ただし、ポリオだけは地域内(住民票のある市町村)で行うことになっています。ポリオは大分市では個別接種ですが、他の地域では集団接種が多いようです。

種類  

定期接種: 定められた年齢では無料です。(過ぎると有料になりますので注意!)

大分市では、2011.2.14からヒブワクチン肺炎球菌ワクチン子宮頚がんワクチンが公費負担(無料)となりました。 

任意接種: 有料

定期予防接種 (無料) 接種期間
  肺炎球菌 2ヵ月〜5才未満
ヒブ(Hib) 2ヵ月〜5才未満
BCG(結核の予防) 0ヶ月〜6ヵ月未満
三種混合ワクチン
  (ジフテリア・百日咳・破傷風)
3ヵ月〜7才半
ポリオ 3ヵ月〜7才半
MRワクチン(麻疹、風疹)1回目 1才〜2才未満
MRワクチン(麻疹、風疹)2回目 就学前年
日本脳炎 3才〜13才未満
二種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風) 小学校6年生
子宮頚がん 中学1年〜高校1年
任意予防接種 (有料)  
  おたふくかぜ(ムンプス) 1才〜
水ぼうそう(水痘) 1才〜
インフルエンザ 6ヵ月〜

 

どういう順番で接種したらいいでしょう? 

最初受診された時に予定表をお渡しします。が、以下のような順番になります。
かかるとひどいものからしましょう。乳児ではBCG、百日咳、1歳以上では麻疹です。

乳児は、ヒブ、肺炎球菌→BCGDPT→ポリオの順番でしましょう。
ただし大分県の場合、ポリオだけは4月と10月しかできません。

ひとつづつ接種するのは非常に困難です。
肺炎球菌、Hib、BCG、DPT、ポリオ を同時接種して行く方がいいでしょう。
 

1才の誕生日が来たら、麻疹ワクチンを 1日でも早く接種しましょう。
引き続き、おたふくかぜ、風疹、水ぼうそう、となります。

3才になったら日本脳炎ができます。

ワクチン 接種の間隔は? 

生ワクチンの後 ⇒ 1ヶ月あける

生ワクチンはウイルスが生きているので、ウイルスが増えて1-2週間後に(つまり潜伏期をおいて)熱などが出る事があります。そのため次のワクチンまでは1ヶ月あけることが必要です。

不活化ワクチンの後 ⇒ 1週間あける

不活化ワクチンはウイルスは生きてきません。従って、発熱などの副反応は24時間以内におきることがほとんどです。そのため、 次のワクチンまでは1週間あければ十分です。

ただし、DPT1回目と2回目と3回目の間隔、日本脳炎1回目と2回目の間隔は、免疫がつきやすいようにそれぞれ3〜8週間、1〜4週間 (できれば3-4週)となっています。

 

予防接種でよく聞かれること 

接種部位をもんだ方が良いですか?  ⇒ Q&Aの答え

接種後に入浴はいいですか?  ⇒ Q&Aの答え

鼻水と咳がありますが接種できますか?  ⇒ Q&Aの答え

「おたふくかぜ」と「水ぼうそう」は有料ですが、接種した方がいいですか?  ⇒ Q&Aの答え

各ワクチンの副作用と有効性について 

生ワクチン

麻疹(はしか)

接種後、潜伏期(6〜10日)をおいて、数%に発熱、10〜20%に軽度の麻疹様発疹を伴うことがあります。しかし、いずれも一時的です。
脳炎(SSPE)の頻度はワクチンでは100万人に1人で、自然感染(10万人に1人)の1/10です。
ニワトリ胚細胞の組織培養を用いて作られていて、卵そのものを使っていないため卵アレルギーの心配はほとんどないとされています。しかし、卵でショックを起こすような人は注意が必要です。 ⇒ 麻疹 の病気について

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)

おたふくは自然感染では髄膜炎が20%、難聴が数千人に1人おこります。おたふくでの難聴は治療法がなくほとんど回復しません。
ワクチンでは髄膜炎は1200人に1人、難聴は無いとは言えませんが頻度はかなり低いと言われています。
睾丸炎で不妊になるのを心配されるお母さんが多いのですが、左右とも睾丸炎になることはほとんどなく不妊になる可能性は低いと言われています。
有料ですが、できればしておきたいワクチンです。

BCG

ツベルクリン反は結核にかかっているかどうかを検査するための皮内反応です。 平成17年4月からは、「結核にかかるにはかなり長期間に渡って患者との接触が必要なので、生後6か月までは結核にかからない」という理由で、ツ反をしないで直接BCGをするように変更となりました。今度の制度では、生後6か月を過ぎるとできなくなりますので、できるだけ早くBCGをするようにしましょう。
BCGでは、0.82%にリンパ節がしばらく腫れることがあります。これは次第に縮小し自然に治癒します。化膿して治療が必要になることは極めて稀です。

ポリオ

日本では1980年以来、84年と93年に自然感染のポリオの発生がありますが、それ以後は根絶されています。しかし、東南アジアなどでは今でも患者が発生しています。
ポリオワクチンを飲むと腸管で増殖して免疫ができます。便からウイルスが排泄されますが、この時にウイルスが毒性を獲得して未接種の人にポリオ(麻痺)を起こしてしまうことが300万〜400万接種に一回起こるといわれています。
接種後に発熱、嘔吐、下痢が数%の頻度でみられます。

水ぼうそう(水痘)

ワクチンの副反応はほとんどありません。
ウイルスには未だほとんど治療薬がありませんが、 水痘ウイルスに対しては例外的にアシクロビールという抗ウイルス剤があって、内服すると軽くて済みます。

風疹

発熱、局所反応、発疹が数%にみられます。

不活化ワクチン 

DPT(三種混合;ジフテリア、百日咳、破傷風)

ワクチン: 約30%に局所反応が起きます。接種部位が赤くなったり硬くなったりします。肘から肩まで腫れてしまうこともありますが、特に治療は必要ありません。

 

日本脳炎

日本脳炎の致命率は25%、後遺症30%とも言われています。
日本ではかなり減ってきましたが、九州はブタの日本脳炎ウイルス抗体保有率が80%を超えて高いと言われています。東南アジアでは現在でも常に流行があります。
副作用は、数%に発熱、じんま疹、発疹がみられます。

日脳ワクチン一時中止と再開について
H17.5.30 厚生労働省からの通達で一時日脳ワクチンを見合わせました。ワクチン後にADEMという病気が出たのがその理由のようです。
しかしその後の調査で、ワクチン接種した人の方がADEMの発生率がむしろ低かったため、ワクチンが原因ではなかったとの結論で、2010年に日本脳炎ワクチン接種が再開されました。
できるだけ早く接種した方がいいでしょう。

 

肺炎球菌ワクチン

小児(特に3歳まで)に多い肺炎球菌による髄膜炎、肺炎、中耳炎などを防ぎます。米国では肺炎球菌による髄膜炎の発症が1/20に減少しました。

副反応発赤・腫脹・硬結95%。発熱55%などの頻度は高い。ショック、アナフィラキシーなど危険な副反応は極少数

Hibワクチンと並んで重症の細菌感染症を防ぐワクチンです。両方ともできるだけ早く接種することをお勧めします。

 

Hibワクチン

ヒブ(Hib)=ヘモフィルス・インフルエンザb型菌のことでインフルエンザとは全く別もの

昔、冬に流行するインフルエンザの原因と誤って考えられたのでインフルエンザ菌という名前がつきました。後になってインフルエンザの原因はこの菌ではなくウイルスだということがわかりましたが、名前はそのまま残ってしまいました。

ヒブは特殊な場所にいるわけではなく、どこにでもいます。時に髄膜炎敗血症などの深刻な病気をひき起こします。年齢とともに免疫がつくようになり、5歳以上で重症化するリスクは低いと言われています。
5歳以上の子どもや大人には、ヒブ・ワクチンは不要です。

日本では年間600人(大分県では年間平均6人)もの子供がヒブによる髄膜炎にかかり、多くの場合死亡したり後遺症が残ったりしています。

諸外国では10年以上も前からヒブ・ワクチンを定期接種として接種し、病気が100分の1程度に激減しました。

Hibワクチンで生命に関わるような重症の細菌感染をほとんど防げるので早く接種したいワクチンです。接種することを強くお勧めします。

 

子宮頚がんワクチン

子宮頚がんの原因はウイルスで、その約60%をしめるウイルスの感染を防御します。ワクチンで100%は防げないので子宮がん検診も受けないと意味がありません。

性交渉で感染するので、その前10歳〜25歳の接種が推奨されています。

初回接種の後、1か月後に2回目、6か月後に3回目の接種をします。

 

 

麻疹、風疹混合ワクチン(MRワクチン)について

平成18年4月から麻疹と風疹のワクチンは一本にまとめられた混合ワクチンに変更されました。
H18.4月からのMRワクチンは2回接種になりました。
1回目
12ヶ月から23ヶ月の間、2回目小学校入学の前年(年長児)です。
大分市では暫定措置として、当分の間7歳6ヶ月まで無料でできます。他の市町村では対応が異なることがありますのでご確認下さい。接種対象年齢のお子さんはできるだけ早く2つのワクチンを受けることをお勧めします。

平成19年の夏に大学生などに麻疹が大流行したことから、2回目の接種がなかった世代に免疫を強化するため、平成20年4月より5年間に限り「中学1年生と高校3年生にもMRワクチンを接種する」ことになりました。対象の方はできるだけ早く接種するようにしましょう。

大分県では他のワクチンと同様個別接種ですので、小児科で接種できます。