おおいた日本酒文化研究会 第110回きき酒例会

〜 義侠 〜


今回のテーマ・・・すべて「義侠」

日時 2022年12月27日(火)19時 開会
会場 かみ風船 中央町店 大分市中央町2-15 097-536-5858  
会費 7000円 
テーマ 義侠 
参加者 26人
(私の主宰する会としては今回が最終となりました) 


コロナ・ウイルスの第8次拡大期とかあれど、今回は知る人ぞ知る「義侠」オンパレードの会

 
  「義侠」がこれだけ並ぶと壮観ですね。今回は「昭和の酒」から今年(2022年)の酒までの超豪華オンパレードです。これを時価に換算するといったいいくらになるのか?
 提供順ですが、左側から生50、奥に隠れるように生30、そして3本目が火入れ30の「昭和の酒」、向こう側に火入れ40の「慶」(よろこびと読みます)、60%の生おり酒H21BY・H22BYと続きます。あと生60のH28BY・H29BY、そして右端がR3BYで今年2022の出荷。ラベルでは同じような字体ですが、昭和の酒は少し違うのがわかりますか。
 同じようなラベルで判別が難しいため、提供順を書いた紙を貼り付けて判別しやすくしてあります。

義侠という酒

  「義侠」の山忠本家酒造は愛知県西部の愛西市の静かな田園地帯にあり、そう大きな蔵ではありませんが全国にフアンを持ち、知る人ぞ知るとも言うべき銘柄です。
  「義侠」の酒の特徴のひとつに、「使用米へのこたわり」がありますが、兵庫県東条産の特A地区の山田錦を使い、山田錦の特性を最大限に生かした濃淳でありながらすっきりときれいな酒造りに特化しているということです。
  下記の表では酒造場は愛知県の「山忠本家酒造」であるため個別に表記していません。また大吟醸・吟醸といった特定名称も多くを「純米吟醸」と表記しているため、混乱の元になるため表記していません。3番目の30%火入れは「昭和63年の仕込みです。4番目の「慶」は同じクラスの酒の中から選んでブレンドしているためBYは表記されていません。
  
  銘柄・名称  BY 出荷年 使用米 精米歩合  酵母 備考
義侠 生50%  R1BY 2020 山田錦 50% 協会9号  
義侠 生30%     R1BY 2020 30% 〃   
義侠 30% 火入  S63BY 1989 30% 昭和の酒
義侠 慶 40%     2019 40% ブレンド
義侠 生おり 60%     H21BY 2009 60% 〃   
義侠 生おり 60%    H22BY 2010 60% 〃   
義侠 生60%       H28BY 2017 60%  
義侠 生60%      H29BY 2018 60%  
義侠 生60%        R3BY 2022 60% 〃   
 全体としての感想を一言でいうとすると、山田錦と九号酵母という絶妙なコンビをよく使いこなしている、でしょうか。長期保存酒と言えるものも多いのに十分にフレッシュ感もあり、保管状態の良さを痛感しました。

「義侠」を飲みまくる至福のひととき

  個別の感想を言葉で表現するのは難しい、ほんとにそう思いました。全てが同じような「義侠」の味でありながら、それぞれに違うのです。ほーっとか、うーむとかうなり声で表現するしか無いような複雑な味わいは、言葉に置き換えるのが難しい。

 最初に生50で乾杯したときは、そのキレ良く深味のある味わいに、これぞ義侠!と思ったのですが、次の生30を飲んだ途端、更に洗練され深味のある味わいに、あ、これこそ義侠だ!と思ってしまうのです。しかし次の「昭和の酒」では、長期貯蔵の酒であることはわかるのですが、それにしても形が崩れていない、いかにもかつての佐藤杜氏の味を思わせる力強さに、ああこれこそ義侠、と思ってしまうのです。いつもなら他を圧する「慶」でさえ、むしろ固い若いのか、などと思ってしまう。
 ひとつ心残りなのは、燗つけの用意が無いために昭和の酒を燗酒にすることができなかったこと。もっとも、義侠飲みたさに集まったようなメンバーが多いために2番と3番の今回の目玉ははやばやとカラになっていたから、どのみち燗にまわすほどは無かったのだけど。
 次の「生おり」は、私は初めてだと思うのだけど、澱はほとんど無くグラスを傾けてよく見るとかすかに見える程度。味はやはりやや甘みが強く感じられ、義侠の味からは少し離れているように感じたが、これは人によるだろう。
 最後の生60の2本はほとんど同じような味に感じられたが、しいていえばH29BYの方が落ち着いてバランスが良いように感じたが、並べて飲んでみなければ判らない程度の違い。逆にフレッシュさが感じられて驚いたほど。今年出荷の生60はとにかくフレッシュさが魅力で、これからが楽しみと感じた次第。

 とにかく、ほんとうに「至福のひととき」だった。今回は田染荘の津田さんに本当にお世話になった。感謝。
  
 
私の主宰する「きき酒会」は今回で終了するが、メンバーの中から次回以降をやって頂けるようだ。


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