個別の感想を言葉で表現するのは難しい、ほんとにそう思いました。全てが同じような「義侠」の味でありながら、それぞれに違うのです。ほーっとか、うーむとかうなり声で表現するしか無いような複雑な味わいは、言葉に置き換えるのが難しい。
最初に生50で乾杯したときは、そのキレ良く深味のある味わいに、これぞ義侠!と思ったのですが、次の生30を飲んだ途端、更に洗練され深味のある味わいに、あ、これこそ義侠だ!と思ってしまうのです。しかし次の「昭和の酒」では、長期貯蔵の酒であることはわかるのですが、それにしても形が崩れていない、いかにもかつての佐藤杜氏の味を思わせる力強さに、ああこれこそ義侠、と思ってしまうのです。いつもなら他を圧する「慶」でさえ、むしろ固い若いのか、などと思ってしまう。
ひとつ心残りなのは、燗つけの用意が無いために昭和の酒を燗酒にすることができなかったこと。もっとも、義侠飲みたさに集まったようなメンバーが多いために2番と3番の今回の目玉ははやばやとカラになっていたから、どのみち燗にまわすほどは無かったのだけど。
次の「生おり」は、私は初めてだと思うのだけど、澱はほとんど無くグラスを傾けてよく見るとかすかに見える程度。味はやはりやや甘みが強く感じられ、義侠の味からは少し離れているように感じたが、これは人によるだろう。
最後の生60の2本はほとんど同じような味に感じられたが、しいていえばH29BYの方が落ち着いてバランスが良いように感じたが、並べて飲んでみなければ判らない程度の違い。逆にフレッシュさが感じられて驚いたほど。今年出荷の生60はとにかくフレッシュさが魅力で、これからが楽しみと感じた次第。
とにかく、ほんとうに「至福のひととき」だった。今回は田染荘の津田さんに本当にお世話になった。感謝。
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私の主宰する「きき酒会」は今回で終了するが、メンバーの中から次回以降をやって頂けるようだ。
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