おおいた日本酒文化研究会 第104回きき酒例会・忘年会

〜 恒例になりました年末のきき酒忘年会 〜


 お酒研 第104回きき酒例会忘年会リポート

日時 2018年12月27日(木)19時 開会
会場 the bridge 大分市中央町  097−532−8452 
会費 6000円 

テーマ 恒例になりました年末のきき酒忘年会 
参加者 36人 


 もう年末恒例になりましたきき酒例会大忘年会は、今年私が選酒幹事です。幹事の特権?は好きなお酒を選べる事ですが、なにぶん参加者が36人という大人数のため、会場が限られてしまうことと、お酒の量の決定が選酒の上で難しくなるのが頭の痛いところですが、会場はいろいろ考えたものの去年と同じ大分市中央町の「the bridge」になりました。広さがあるので40人ぐらいは入れるのですが、一応定員30人で参加募集をしたところ、最終的にはやはり36人という大人数になりました。
 お酒の方は、数が多いと何を飲んだのかわからなくなる・・・という声もあるので、今回は一銘柄につき一升瓶を2本という選酒にして、8銘柄で16本という酒量になったわけです。目玉は「義侠」の慶で、これを飲みに来たという人がいるくらいです。
左から
義侠 横山五十 花邑 陸奥八仙 秀鳳 星自慢 大治郎 望bo:

今回のお酒の詳細一覧 (上記写真の左端から)

   銘柄 特定名称 使用米・精米歩合 備考
義侠 慶 純米吟醸 山田錦40% 山忠本家酒造 愛知 熟成ブレンド
横山五十 純米大吟醸 山田錦50% 重家酒造 長崎 初 壱岐の島
花邑 陸羽田 純米 陸羽田55% 両関酒造 秋田 初 
陸奥八仙 特別純米 華吹雪ほか55/60% 八戸酒造 青森 純米酒大賞 
秀鳳 雄町 特別純米 雄町55% 秀鳳酒造場 山形 中汲み
星自慢 無濾過生 特別純米 五百万石ほか50/55% 喜多の華酒造 福島   
大治郎 生もと 純米 渡船6号60% 畑酒造 滋賀   
望bo: 無濾過瓶燗 純米吟醸 ひとごこち55% 外池酒造 栃木 初 純 米酒大賞
 会場の席並びが2列になっているので、各2本のお酒をそれぞれの列にまわすという方式で、比較的早く回す事ができたと思います。実際に飲んだ順序は上記の順番とは少し違いますが、乾杯酒としては「義侠」を選びました。以上の8銘柄を選んだ理由は、以下のようになっています。なお下記の順は実際に飲んだ順です。
銘柄  選酒の理由
義侠 「義侠・慶」は愛知県の山忠本家酒造の酒です。時々は入れてみないと・・・と思い、98回から6回を経て久しぶりに入れてみました。度数は16〜17度、熟成酒のブレンドです。毎回、これは別世界の酒として大人気の酒なのですが。山田錦の40%なのに表示上は「純米吟醸」なのは蔵元のこだわりと聞いています。
横山五十 長崎県は壱岐の重家酒造のお酒で、最近まで焼酎を造っていました。30年ぶりに日本酒製造を再開し、山口の東洋美人の蔵の隅を借り少しづつ造っていたということですが、今年から壱岐の自蔵で日本酒を造り始めましたのですね。そのへんにいささか話題性があると思い、今回初登場させたものです。
 望 栃木の外池酒造で、無濾過瓶燗火入れですが、ちと無個性というかやや甘口の、まあ最近流行の味でした。東京方面ではかなりの人気酒とのことでもあり、さらに筆者が去年まで審査員をしていた「純米酒大賞」の特別純米部門で最高金賞だったというので、はてどんな味の酒だろうと思い入れてみたのです。
 花邑 秋田の「両関」の酒ですが、「十四代」全面指導のお酒とか。米の選定からほとんど十四代の高木さんが造ったようなものだそうで、東京では大人気らしい・・・、ということで入れてみました。これが初登場。最初に東京で飲んだときは、あれ?山形か福島の酒?と思いましたが、少なくともそのへんは良いカンだったと思います。
陸奥八仙 青森県八戸酒造の酒ですが、「純米酒大賞」で最高金賞でした。以前に飲んだことはありますが、そのときはあまり感心しなかったので、最近の味はどうかと思い入れました。印象としては、かなり香りが強い酒だという記憶があるので、私としては好みの味では無かったなあ・・・という記憶です。最近のお酒の傾向そのものと聞いています。
秀鳳 全体としては、いささか甘口が邪魔なこともありますが旨味のある酒で、私は好きな酒でもあり概ね常備しています。この前社長が大分に来たので、久しぶりに雄町を入れてみました。基本的には山形の酒の味で、酒によってはやや甘口を強く感じることもありますが、よくまとまった酒だと思うので、今回入れてみました。
星自慢 陽気な星社長自慢の酒だとかで「星自慢」。むかしは(新酒のとき)福島の酒らしくいささか重い味かなと思いましたが、最近はちと軽快にすっきりしてきたぶん甘みが強く感じるようになった・・・という印象もあります。もう少し味を整理するとバランスがとれると思うのだけど、さて今回はどうでしょうか。
大治郎 滋賀県の畑酒造という小さな蔵の酒ですが、これは「渡船6号」という米と「7号酵母」の組合わせの、「生もと」造りというなかなかの意欲作です。何度か飲んでいますが、バランスもなかなか良くしっかりした味で好感が持てると思っています。また燗上がりもなかなか良い酒なんですが、どうでしょうか。

第104回お酒研きき酒忘年会リポート

義侠・慶はちと別世界だったかも

 「義侠」で乾杯。これはまさに別世界。なにせ山田錦の40%で12,000円という高価なお酒ですが、98回から6回を経て久しぶりに入れたものです。飲めば飲むほど深味があるという酒で、あっという間にカラになった。

 「横山五十」は悪くはないものの、「義侠」のあとではちと可愛そうでした。今年から自家で日本酒製造を再開したというわりには良くできています。それなりに良い酒ですが、その前の酒にはやっぱり及ばず残念。

 「花邑」は良い香りと軽快やや甘口という、まさに最近のお酒。東京で、特に女性人気というのもわかる。ほどほどに甘口で軽快ですっきりしています。「陸羽田」という米は十四代の米らしいが資料少なく正体不明。

「秀鳳」はいささか甘口ですが・・・

 「陸奥八仙」は青森県八戸酒造の酒。何度も飲んだことはありますが、以前よりはややバランスが良くなっているという印象です。華やかな香りなど、最近のお酒の傾向そのものですが、まあ良くまとまってはいる。

 「秀鳳」やや甘口が邪魔なこともありますが、私は好きな酒です。「雄町」の米の味というより、「秀鳳」の個性そのものかな。まあ山形の酒の味ですが、バランス良くよくまとまった酒かな。奥に濃厚な旨味も感じます。

 「星自慢」は、うーむ、新酒の方が良いのかも。むかしは福島の酒らしくいささか重い味でしたが、ちと軽くなったぶん甘みが強く感じるようになったという印象。今回の酒は、もう少し味を整理するとバランスがとれかも・・。

「大治郎・生もと」はなかなかの意欲作

 「大治郎」は「渡船6号」と「7号酵母」の組合わせで「生もと」造りという路線が成功しているのか、バランスもなかなか良くしっかりした味で好感が持てる。燗上がりも良い酒で、ふつうの酒も良いがこれも良い。

 「望」は栃木の外池酒造。無濾過瓶燗火入れですが、ちと無個性というかやや甘口、最近流行の味でした。「純米酒大賞」の特別純米部門で最高金賞だったので、どんな酒だろうと思い入れてみたのだけど・・・。

 全体として、「大治郎」が良い評価だったのは多少意外だったが、燗をつけても旨い良い酒で、これはなかなかの意欲作と感じた。

会場は大分市中央町の the bridge

 the bridgeという店は、むかしのフンドーキン倉庫を改造したもので、中央町にあるのだが意外に知られていないように感じる。
 大きなパーティールームがふたつあり、毎回そのうちの大きな部屋を使っているわけだが、このお店は本来はお酒の持ち込みはできないということなのだけど、そこをいろんな縁で頼み込んでこのような会を開催している。

 この「きき酒会」はあちこち会場を探しながら開催しているわけだが、何せ忘年会では30人以上の参加者があるためになかなか難しい。最近はいす席の希望もあるのでなかなか頭の痛いところ。

参加者はとうとう36人だけど

 この店はけっこう広い会場で40人は入るはずなのだが、さすがに36人も入るといささか狭いくらいに感じる。PAがないととても向こうまで声が届かないが、幸いここではきちんとしたPAシステムがあるので助かる。

 写真のように卓配置は2列になっているので、お酒は同じ銘柄のお酒を2本用意し、向こう側とこちら側と同時にスタートさせる、というシステムだったので配酒にそう時間がかからないで済んだのだけど、このように多人数の時の進行というのはやはり難しいものがあると感じる。
 今回は常連の皆さんにスタッフとして協力して頂いた。感謝。

今回の「お好きな酒」アンケート

  今回のお酒について「あなたの好きなお酒アンケート」を実施したのですが、結果として第1位はダントツで「義侠」。いささか離れて第2位は「横山五十」、第3位「大治郎」、そして第4位「秀鳳」、第5位「花邑」、という順位となりましたので、それに対しての私の採点を同じく第5位まで公開いたします。まあ大きな違いはなかったのですが・・・。
 以下のリストが全体の集計と、私の5点満点での採点です。8銘柄ありましたが、そのうち5位までです。
 結果としては、第2位から第6位まではほとんど大きな差は無い採点状況でした。なお有効アンケートは33票でした。
順位 銘柄 私の採点 評価・感想など
義侠 4.5 「お好きなお酒」の第一位は、ダントツで「義侠」でした。ただ、私としては必ずしも「好きな酒」とは言えませんが、この酒にほとんど欠点は無く、第一位にモンクは無い。
横山五十 3.5 面白い事に、女性は「横山五十」を第一位とした方が多いのです。 やや雑味がありきれいさでは「義侠」には劣りますが、なかなかしっかりしたやや甘口の酒です。
大治郎 4.0 やや甘口ではありますが、大きな欠点は無いしっかりした味です。いささか深みのある味で燗上がりも良く、常温からやや熱燗までなかなか印象に残る味です。
秀鳳 4.0 旨味としてはこの酒が一番かと思いましたが、やや甘口が突出する感じは万人向けかどうか多少の疑問もある。とはいえこれは旨いな、という味わいは好ましい。
花邑 3.5 香りはいささか華やかですが、味としてはそれほど強くは無く、全体としてやや軽い印象を受けます。まあこれが今好まれる味なのだなあ・・・と思いました。

というわけで、私の好みの順は、1・義侠 2・秀鳳 3・大治郎 4・陸奥八仙 5・横山五十  という順になっています。
2と3は同点で、どちらを上にするか悩みましたが、僅かに秀鳳の方が上・・ですかね。 あとは好み。

 最後に、全員参加でいつものように記念の集合写真です。お酒も程良くまわって、いかにもみんな楽しそうですね。

 はて、写真撮影までに何人か帰っているようで、36人みんないるようではないですね。
 今回、お酒もハズレは無くて、楽しい会を開催できました。

次回は第105回、春の会です。幹事は一応決まっていますが時期等は未定。

また第106回「真夏の燗酒大会」は、いつものように幹事は決定済みです。
よって、107回、秋の会と108回、年末忘年大会の幹事はただいま募集しています。


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