おおいた日本酒文化研究会 第98回きき酒忘年例会

〜 忘年きき酒大会2016は山田錦80周年記念 〜


 お酒研 第98回きき酒例会リポート

日時 2016年12月23日(金・休日)18時30分 開会
会場 the bridge  大分市中央町3−3−19  TEL 097−532−6656 
会費 6000円 

テーマ 忘年きき酒大会2016は山田錦80周年記念   
参加者 29人 


 今年は山田錦が昭和11年に登場して80周年にあたるので、お酒はすべて山田錦とその両親

今回は12銘柄、一升瓶(一銘柄は4合瓶2本)がこれだけ並ぶのはやはり壮観だ
獺祭 ちえびじん 開運 義侠 比良松 秀鳳 松の司 紀土 宗玄 昇龍蓬莱

今回のお酒の詳細一覧 (上記写真の左から)

  銘柄 特定名称 米・精米歩合 備考
梵 団 磨き二割 純米大吟醸 山田錦20% 加藤吉平商店 福井 自社酵母
獺祭 磨き二割三分 純米大吟醸 山田錦23% 旭酒造 山口  
ちえびじん 山田錦 純米大吟醸 山田錦35% 中野酒造 大分  
開運 伝波瀬正吉 純米大吟醸 山田錦40% 土井酒造場 静岡 静岡酵母
義侠 慶 純米吟醸 山田錦40% 山忠本家酒造 愛知 9号/10号酵母
作 槐山一滴水 純米大吟醸 山田錦40% 清水清三郎商店 三重  
比良松 40 特別大純米 山田錦40% 篠崎 福岡 901号酵母
秀鳳 山田穂45 生原酒 純米大吟醸 山田穂45% 秀鳳酒造場 山形 山形酵母
松の司 ブルー 純米吟醸 山田錦50% 松瀬酒造 滋賀 金沢酵母
10 紀土 山田錦50 純米大吟醸 山田錦50% 平和酒造 和歌山 9号酵母
11 宗玄 無濾過生原酒 純米吟醸 山田錦55% 宗玄酒造 石川  
12 昇龍蓬莱 生もと 渡船 特別純米 渡船60% 大矢孝酒造 神奈川  

第98回お酒研きき酒会リポート

「忘年きき酒会」は中央町の「the bridge」にて

 会場は大分市竹町通りのひとつ南の通り「the bridge」で。

 今年は去年と同じ29人の参加者で、会場は40人は入れる広さなのでゆったりとした感じで広々していました。ちゃんとPAの設備もあって、スタンドマイクとワイヤレスマイクを使って声も十分届いたと思います。

 今年の29人の参加者中女性は11人とやや少なかったのですが、その女性たちの飲む量・研究熱心な態度などは、毎年の事ながらいずれも酒飲みおじさんたちを問題にしないものでした。いささか感心。

スタートは「梵 団」と「獺祭」

 最初は「梵 団」と「獺祭」の精米歩合20パーセント台純米大吟醸の対決です。いずれも一万円級の贅沢なお酒ですが、すっきり軽快な味わいで、「梵」の方がやや奥にもうひとつ深い味があるという感じでした。でも、このクラスは食中酒には向かないなあ・・・というのが率直な意見です。

 「ちえびじん」は精米歩合35%と高精白なのに喉に懸かるような苦味が気になりました。バランスがもうひとつかという感じ。「開運」の伝波瀬正吉はさすが!ですが、やや私の好みとは異なるし、伝ナントカも、もうぼちぼち良いのでは?と思った。掛米が35%というのが面白い。

これはさすがの「義侠 慶」

 「義侠 慶」は3年から5年もののブレンドだそうですが、わずかながら長期貯蔵の味わいがあります。これが気になるという人もいるでしょうが、実にしっかり落着いた枯れた味わいにはうむ!とうなる何かがある。「作」はやはり最近の純米大吟醸の味わいそのものといった感じ。悪くは無いのですが、飲んでいるうちに飲み詰まる感じ。

 「比良松」はやや甘口ですがなかなか良くできた酒です。バランスも良く、すっきり感もあっていくらでも飲めそうな酒です。「秀鳳」は悪くは無いのですが生原酒のせいか多少荒い印象。火入れの方が良いか。

「松の司」は落着いた旨味がしっかりと

 「松の司」はどの酒を飲んでもしっかりした旨味を感じますが、今回のブルーも生の表示はあるが実に落着いたバランスの良い酒でした。全温度対応、どんな肴にも合うという感じですね。

 「紀土」は決して悪くは無いのですが、「松の司」のあとではちょっと落差を感じてしまった。もう少しバランスが良いと支持できるのですが・・・。「宗玄」は生原酒のせいでちょっと荒っぽい印象でしたが、酒としては悪くなく、燗で飲んでみたい酒でした。「昇龍蓬莱」は、何せ生もとで生原酒という造りのせいか、力強い味わいはいささか舌が疲れてしまう感じでした。

「山田錦」80周年記念のお勉強も

 今回のテーマは、昭和11年に登場した「山田錦」の80周年記念、という高尚な題目を掲げていて、ちゃんとPDFの資料も作成してそれなりにお勉強もしました。単なる飲み会ではないと・・・。

 「山田穂」と「短稈渡船」を親に持つ「山田錦」ですが、こうして飲み比べてみると、穏やかな味わいですが精米歩合や酵母の違いにかかわらず、共通する味があるのだと感じました。
 味のことを言葉で表現するのは難しいのですが、柔らかい旨味が共通項と言うか、なるほどこれが「山田錦」なのかと思った次第。

圧倒的な「開運」伝波瀬正吉そして「義侠」

 今回はお気に入りのお酒についてアンケートを実施しました。もっともお気に入りを◎1個、次いでお気に入りを〇2個という形で評価して貰ったのですが、「開運」の伝波瀬正吉が◎8人〇8人となってめでたく第一位となりました。私の評価は、「義侠」◎で「秀鳳」〇「松の司」〇で、「開運」はいささか悩んだのですが、今回はもういいかとはずした次第です。

 「秀鳳」は今回は生原酒だったのですが、たぶん火入れの方が良かったかも・・・と思っています。火入れの方が味のしまりがあって、このような他の酒との比較の時は向いているように思いました。

というわけで、今回もあっという間の2時間半で、めでたくオヒラキとなりました。

さて今回は皆さんにアンケートをお願いしました。有効回収票数は27票です。
◎印は5点、〇印は1点として評価点に換算してみましたら、以下の通りです。
まあ細かいことは抜きにして、だいたいの傾向はこうだ・・・とご覧下さい。
(一部未記入の票もありました)

    獺祭 ちえびじん 開運 義侠 比良松 秀鳳 松の司 紀土 宗玄 昇龍蓬莱
           
48 39 17 18 23 21

私の採点は、◎・義侠 〇・秀鳳 〇・松の司 だったので上記の順とは多少違いますが・・・。
ちえびじんや梵、宗玄はもう少し評価があるかと思っていましたが・・これは意外といえば意外。
昇龍蓬莱の零点は、なにぶん相手が悪かったというか、個性あるのにちょっと可哀想でした。

結論としては、すべてのお酒が私の「好み」の概ね範囲内でした・・・・が、
だいたい私の「好み」で決めたのだから、それは当然といえば当然なのですね。

 というわけで、最後の記念の集合写真です。29人全員(いや先に帰った人もいるので、27人かな?)がけっこういい気分で楽しそうな顔をしていますね。

 早い話が半分くらいの瓶の残量はほぼゼロで、みんなけっこうなヨッパライ状態で帰途に着いたようです。いやー、ほんとに良く飲んだなあ・・・と思います。

 私は、バスの時間を間違えたので、^鹿Barに2次会に行きました。ほんとに良く飲みました。

皆さん、良いお年をお迎え下さい。




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