おおいた日本酒文化研究会 第94回きき酒忘年例会

〜 忘年きき酒会2015はオール雄町 〜


 お酒研 第94回きき酒例会リポート

日時 2015年12月25日(金)19時 開会
会場 いかや 大分市中央町4丁目2番27号  
会費 6000円 

テーマ お酒研 忘年きき酒会2015はオール雄町   
参加者 29人 


 2年前の忘年きき酒会だったか、「雄町」を何本か入れたら誰かが全部雄町だと面白い・・・うんぬんと言ったのを思い出し、じゃあ全部雄町だと、手に入りそうな雄町をチェックしてみたら、通販も入れると30数本が入手できることがわかった。

 しかし、いくらなんでも30本なんてムリなので、それから予算を考慮しながら絞っていったのだが、結果として以下のような一升瓶14本がずらりと並ぶことになってしまった。

 もちろん参加人数に比しても多すぎなので、これは忘年会限りの企画だから・・と説明していたのだけど、結果としては多くの瓶がほぼ空いてしまうという恐るべき状況になってしまった。みんな、よく飲むなあ・・・・。

今回は14銘柄、一升瓶が14本並ぶのは壮観だ
秀鳳 白隠正宗 南部美人 醸し人九平次 賀茂金秀 豊潤 屋守 阿部勘 竹鶴 東鶴 鶴齢 三千櫻 奥播磨

今回のお酒の詳細一覧 (上記写真の左から)

  銘柄 特定名称 米・精米歩合 備考
秀鳳 生原酒 純米大吟醸 雄町 40% 秀鳳酒造場 山形 山形酵母
白隠正宗 山廃生詰21BY 純米大吟醸 雄町 45% 高嶋酒造 静岡 静岡酵母
南部美人 純米吟醸 雄町 50% 南部美人 岩手  
醸し人九平次 2014 純米吟醸 雄町 50% 萬乗醸造 愛知  
賀茂金秀 純米吟醸 雄町 50% 金光酒造 広島  
豊潤 純米吟醸 雄町 60% 小松酒造場 大分  
屋守 無調整生 特別純米 雄町 50% 豊島屋酒造 東京  
作 雅乃智 純米吟醸 雄町 55% 清水清三郎商店 三重 自社酵母
阿部勘 生詰 純米吟醸 雄町 55% 阿部勘酒造店 宮城   
10 小笹屋竹鶴 大和雄町原酒 純米吟醸 雄町 65% 竹鶴酒造 広島 701号酵母
11 東鶴 中汲み 特別純米 雄町 60% 東鶴酒造 佐賀  
12 鶴齢 無濾過生原酒 特別純米 雄町 55% 青木酒造 新潟  
13 三千櫻 渡船ひやおろし 純米 渡船 50% 三千櫻酒造 岐阜 渡船使用
14 奥播磨 山廃無濾過生 純米 雄町 65%  下村酒造場 兵庫 19BY
 ※三千盛の「渡船」については別紙参照

第94回お酒研きき酒会リポート

「忘年きき酒会」は今年も中央町の「いかや」

 会場は大分市竹町通り西口の「いかや」で。

 去年は34人の参加者があったので、少々増えても大丈夫なこの店を選んだのですが、エントリー後の参加キャンセルもあって、最終的には29人の参加者となりました。

 29人の参加者中女性は12人ですが、その女性たちの飲む量・研究熱心な態度など、いずれも酒飲みおじさんたちを問題にしないものでした。

スタートは「秀鳳」と「白隠正宗」

 最初は「秀鳳」と「白隠正宗」の純米大吟醸の対決。「秀鳳」は精米歩合40%と、雄町米としてはギリギリまで磨いてすっきりした中に重厚な味わい。「白隠正宗」は19BYでかすかに貯蔵臭があるが山廃の複雑な味で力強くせまる感じ。この2本は優劣つけがたい。

 「南部美人」はまあ普通の味です。とりたてて個性があるという感じではなく、そこそバランス良く温和しい味でした。いつの間にこんなラベルになったのか、ちょっと違和感を感じた。

さすが人気の「醸し人九平次」

 「醸し人九平次」はやや甘口に感じますが、軽快な味の向こうに米のうま味が豊かに隠れている感じ。さすがに九平次と思いました。

 「賀茂金秀」は、決して悪くは無いのですがほどほどのバランスでこれと言った特徴は無く、ややのど越し後に苦味が残る印象です。

 「豊潤」はこの春の試験醸造だったらしいのですが、すっきりして味もあり、そこそこ良くできていると思いました。

「屋守」「作」はそこそこ良くできている

 東京の「屋守」と三重の「作」は、特に目立った欠点も無く、そこそこ良くできていると思いました。ただ、ほかに力強さを感じたりしっかりとした個性ある酒も多かったために目立たなかった印象ですが、お酒としてはまあ十分なものだと思います。

 「阿部勘」は、そういう意味では上記2点よりも個性に乏しい印象で、ちょっと背景に隠れてしまったなあ・・という感じ。好みの問題ではありますが、米の味・・という意味での個性はあまり無いかも。

「竹鶴」の個性は重量級

 広島の「竹鶴酒造」は日本のウイスキーの父と言われる竹鶴政孝氏の実家である。この「小笹屋竹鶴」は原酒のせいもあるが重量級の味わいでしっかりした個性は好ましい。多少クセのある味だが・・。
 
 佐賀の「東鶴」と新潟の「鶴齢」、べつに「鶴」だから続けたわけではないが、偶然3銘柄が続いてしまった。味の方はとくに欠点も無く飲みやすいが、どちらかといえば「鶴齢」のほうが私の好みだろうか。

圧倒的な「奥播磨」の燗酒

 「三千櫻」はこの中では1本だけ使用米が「渡船」である。だからというわけではないが、味の方はかなり甘口に感じられ、味の芯が薄いという印象があったのはちょっとザンネンに思った。

 「奥播磨」はやはり重量級の存在感で、冷やでもしっかりした味の広がりを感じるが、燗をつけた時の旨みの広がりは圧倒的だ。精米歩合は65%ともっとも磨いてない方なのだが、そのせいもあるのだろうか。今回もっとも印象に残ったのは「奥播磨」である。

燗酒派はお燗コーナーで

 会場はけっこう広いのでゆったりとお燗コーナーを設営できたのだが、左の写真のように土鍋を使った湯煎燗なのでそれなりに時間がかかるのでお燗コーナーに座り込んでのお燗談義も見られた。

 燗酒としては、上記のように「奥播磨」が圧倒的な存在感だったが、「白隠正宗」も冷やよりは燗の方が良いのでは、と思わせる。また「竹鶴」も良い燗上がりで、このほかでは地元「豊潤」も予期した以上によい燗上がりを見せたと記憶している。

というわけで、今回もあっという間の2時間半で、めでたくオヒラキとなりました。

さて今回は皆さんにアンケートをお願いしました。有効回収票数は19票です。
〇印は1点、◎印は3点として評価点をつけて見ましたら、以下の通りです。
まあ細かいことは抜きにして、だいたいの傾向はこうだ・・・とご覧下さい。

   秀鳳 白隠 南部 九平 賀茂 豊潤 屋守 阿部 竹鶴 東鶴 鶴齢 三千 奥播
           
17 16 10 10 11 17

私の採点は、1・奥播磨 2・秀鳳 3・白隠正宗 4・九平次 5・鶴齢 だったので、この結果とほぼ同一です。
奥播磨は燗酒の旨さも評価しました。いっぽう秀鳳は、燗酒には若干向かないように思いました。

 最後の記念の集合写真です。写真ではわかりませんが、29人全員がけっこういい気分であかるい顔というかあかい顔をしています。

 早い話がみんなけっこうなヨッパライ状態で楽しそうに帰途に着きました。
 いやー、ほんとに良く飲んだなあ・・・と思います。
今年のお酒研きき酒例会はこれで終了。
来年は95回を4月か5月に開催予定です。



  IZAKAYA-2メニューに戻る     最初のページに戻る     第93回へ    第95回へ