「飛露喜」蔵元廣木健司さんを囲んで

〜 今や大人気の飛露喜いろいろ、大分初登場の泉川も・・  〜


「飛露喜」という酒

 私がこの酒に初めて出会ったのは1999年のことだったと記憶している。東京の知人N氏に紹介して貰ったのだが、「特別純米無濾過生原酒」というスペックとその価格を考えるとこれはとんでもない酒だと思った。

 また飲みたさに八幡の酒屋まで買い出しに行って、売ってくれたのはたった1本という現実からブームが始まりつつあることを知ったのだが、この酒はやはりあっという間に全国を席巻してしまった感がある。

 この飛露喜を造る廣木酒造の蔵元である廣木健司さんは杜氏も兼ねており、まだ30代半ばという若さだ。
 2年前、大分で飛露喜を扱っている「田染荘」に来られた時に短時間お会いしたが、今回はみんなで廣木さんを囲んで心ゆくまで「飛露喜」を飲み語る会が実現した。

というわけでリポートです。

2002年8月10日(土)午後6時半 大分市都町「ん」にて

 「ん」という店は府内町にもあり、「田染荘」関連ではそちらの方でよく開いているのだが、今回もその関連で・・・。

 今回の参加者は、ゲストの廣木さんも入れて合計22人。男性14人女性8人と、女性の比率は高い方。酒の消費量は比率以上という説もある。大分の人だけでなく福岡や大阪からの参加者もあった。

 で、会場としてはちょうどいいくらいの広さだったのだが、残念ながらテーブルが1列の横に長いために端の方との話が遠かったみたいだ。

 

 挨拶をする廣木健司さん。

 前回「田染荘」でお会いした時に較べると、なにか自信に満ちて表情も精悍さを増しているような印象を受けました。

 最初に勝負をかけたのは「特別純米無濾過生原酒」だったが「山廃造り」にも挑戦し、その後「生詰」あるいは「本醸造」「吟醸」とレパートリーを増やしつつある。
 酒造家としていろんなことに挑戦してみたい、同じ酒でも何か違うことでうーんとうならせてみたい・・と、意欲にあふれている。経営者であり杜氏であることの強みだろう。私としては、「無濾過生原酒」路線から大きく踏み出そうとしているように感じましたが・・・。
 さて、残念ながらお酒を飲むことと話をすることに忙しく、料理の方はいったい何が出ていたのか記憶が無いのだが、もちろん全体としては和風のいろいろなものが出ていたと・・・思う。

 これは大皿に盛った刺身だけど、なんだと思います?

 実はこれ、「アナゴ」の刺身なんですね。私は初めてだったのですが、かなりの人が初めてだったみたいです。

 味は比較的淡泊ですが、独特の弾力のある歯応えでなかなかおいしいものと思いました。 



今回のお酒です。左から、

「飛露喜」 特別本醸造生詰
「泉川」 純米吟醸
「飛露喜」 特別純米無濾過生原酒
「飛露喜」 純米吟醸 山田錦/雄町
「飛露喜」 吟醸生詰

「泉川」というのは廣木さんところのもともとのブランドです。「飛露喜」が県外向けなら「泉川」が県内向けという位置づけのようです。


 今回は特に「きき酒会」というような位置づけではなく、廣木さんを囲んで「飛露喜」を楽しむ会だったのですが、やはり私は習性というかついお酒についてあれこれ考えてしまいます。以下は私のメモから・・。なお飲んだ順番に記載しています。

  内容 感じたこと
吟醸生詰  実に爽やかな感じです。香り味とも軽やかにすっきりして抵抗無く飲める。夏向きを意識した「いわゆる飛露喜」と違うねらいとかで、昔ながらの「飛露喜フアン」にはまったく異質な味でしょうが・・。
 ねらい自体はよくわかり、たしかに面白いとは思いましたが、率直に言って、やはり私好みではないなと思いました。しかし、これは商品としては売れるかも。
特別本醸造生詰  アル添の2番手ですが、私はこちらの方がややよいかなと思いました。とにかく「吟醸生詰」にしても、「特別本醸造」にしても、実に上手なアル添酒だと思います。さすがアルコールっぽく尖ったところが無いのは立派です。
 公称ランクは特別本醸造のこっちが下ですが、酒としては吟醸以上かも。ただ、背景のコンセプトが違うので比較は難しいですね。
特別純米生原酒
 ああやっぱりなあ・・と思わせるだけの実力を感じます。特別本醸造もいいと思ったのですが、この豊かさ・・フルボディ感はさすがですね。
 いわば「飛露喜」の本流ではありますが、去年・今年と明らかにすっきりきれいなほうに寄っているようですね。それでもこの酒はやはり別格という印象です。軽やかでかつ重量感があり、昔より雑味等も少なくなって、透明感が増した感がありますね。それでも私は、最初の頃の荒々しいともいえる個性が懐かしくもあるのですが。
純米吟醸 山田錦/雄町  これはまだ発売前ということですが、これからがとても楽しみです。
 廣木さんも「まだ若いから」と言っていましたが、たしかに、含むといろんな味わいがてんでに主張している感じで、バランス的にはイマイチかもしれませんが、こういう個性は好ましい。
 しっかりした酸味がありますね。かすかな苦味・渋味もスパイスみたいにきいています。これがどのように熟成するのでしょうか。この素性・・楽しみです。
泉川 純米吟醸
 「泉川」というのは廣木酒造の本来のブランドです。つまり地元向け。
 出てきたのが最後で、しかも少し時間が空いたので評価が難しい。でもまあ、なかなかよくできた純米吟醸ではないでしようか。
 際だった個性はありませんが、飲むのが誰でもどのような料理でも、それなりに合うであろう穏やかな純米です。いわゆる「飲み飽き」ない酒かも。こういう印象は、度数的に他の酒よりやや低いせいもあるでしょうが。ただこれを買って飲むかと言われると・・・。



 で、「飛露喜」私の好みの第一番はやはり「特別純米生原酒」でした。
ついで「特別本醸造生詰」ですが、「純米吟醸 山田錦/雄町」もいいな。
これは秋が楽しみです。

さて、自己紹介のときに飛露喜の中でどれがお好み?を聞きましたが、
特別純米生原酒・・・・・・・・7人
純米吟醸 山田錦/雄町・・4人
吟醸生詰・・・・・・・・・・・・・・4人
特別本醸造生詰・・・・・・・・3人
という結果となっております。

 左の写真は終りに記念写真です。2人欠けています。


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