番外編
   今までのグレートネイチャー(奇跡の絶景)


  グレートネイチャーと言うのは、NHKの自然絶景ドキュメンタリー番組である。
  この番組は、数年単位の時間と、プロのカメラマン、ディレクターなど、強力なスタッフを揃えて作られている。
  見た事がない絶景を撮るために、最新鋭の撮影機材を駆使している。
  私のグレートネイチャーは、私が九重を十数年歩いて、見た事がないくらい荘厳で美しい景色の事である。
  勿論、それに逢うために、いろいろな作戦を考えて挑戦するが、何度も失敗を重ねている。
  やっと遭遇出来た時の絶景は、九重から貰う宝物である。
  十数年かけてやっと逢える九重の絶景・・
  二度と逢う事が出来ない絶景・・
  そして、心が震える絶景・・
  それが私のグレートネイチャー(奇跡の絶景)である。




      グレートネイチャー(14) 黒岳、全山紅葉の海と化す・・  R2.11.3(火)アップ

 
 
 
ここは風穴から大船・段原側に登る直登コースを20分程登った展望台・・
  腰掛ける椅子(岩)もあり、極上の特等席・・
  黒岳は九重唯一の原生林で、紅葉のメッカ・・
  ここの展望台から、黒岳全山の紅葉を一発で、総合的・俯瞰的に楽しむ事が出来る・・(苦笑)
  例年であれば、紅葉は山頂から下に向って下りていくのであるが、この年は山頂と山麓が一斉に紅葉した。
  私などにはその理由は分からないが、この黒岳の全山の極彩色がそれを物語っている。
  ジッと見ていると金波銀波の大海原を泳いでいる様な錯覚に陥り目が回りそうになる・・。
  圧倒的な極彩色のパワーがビンビンと私の身体に伝わってくる・・
  今日はピンポイントで、この景色に会うだけのためにやって来た・・黒岳よ、ありがとう・・。
  左が高塚山・・、右が天狗岩である・・



     グレートネイチャー(13) 三俣北峰絶壁、錦繍に染まる・・  R2.10.21(水)アップ

 
    ここは三俣大鍋鞍部・・
   私は北峰絶壁が大好きで、何度足を運んだ事だろうか・・
   まさに人を寄せつけない恐怖の絶壁が連なっている・・
   この様な迫力ある絶壁は九重ではここだけかもしれない・・
   そして、その眼下には、美しくも激しい紅葉の川が流れ、そのゴーゴーと流れる急流の音は
   見ている私の身体をも揺さぶる・・
   北峰絶壁の春夏秋冬はこちらをどうぞ・・


   グレートネイチャー(その12)   怒濤の雲海、坊ガツル上空を行く   R2.9.5(土) アップ

 
  やはり、私のグレートネイチャーを語る時、この景色を外す事は出来ない・・
  ここは大船山山頂・・
  深夜2時に有氏登山口から取り付き、やって来た・・
  山頂到着時はまだ暗かったが、坊ガツル上空が雲海に埋まっているのが分かり胸が躍る・・ 
  明るくなると同時に、あっという間に坊ガツルは雲海に飲み込まれた・・
  水平線から顔を出したばかりの太陽が真横から雲海を照らし、妖しげなピンク色に染まる・・
  雲海は吉部方面から久住町方面に、まるで大河長江のごとく大きなうねりをたてて轟々と流れていく・・
  紅葉を終えたばかりの九重連山が茜色に輝く・・
  なんと壮大な景色であろうか・・                 

   

      グレートネイチャー(その11) 三俣山、全山ピンクに燃える 

 
   すみません・・一カ月前に終わりましたけど・・
   これは平成17年のミヤマキリシマの当たり年の時のもの・・
   九重のミヤマキリシマの一大特徴・・それは全山がピンクに染まる事だ・・
   日本全国、どこにもない花の咲き様でしょう・・
   メッカ平治岳で、植生の調査・確認をしながら、周囲のノリウツギなどを伐採し、
   ミヤマキリシマを増やす実験取り組みがなされている。
   もしも、これが成功したら九重連山全体がピンクに染まる・・
   夢みたいな話で、世界遺産間違いなし・・(苦笑) 
   上の写真は一昨年の私の写真展にも展示したもの・・
   法華院の弘蔵社長にも押し売りして、山荘の受け付けのすぐ上に飾って貰っている・・(今もあるかな?・・苦笑) 

   話は変わるが、法華院山荘が今、苦境に立っている。
   コロナによる長期休業、先日の大雨による水害のダブルパンチだ・・
   私などは何の応援も出来ないが、先日の「法華院温泉山荘を応援しようキャンペーン」で
   スズメの涙にもならない応援をさせてもらった。
   でも、山荘の奥さんは明るく、元気なので大丈夫でしょう・・
             


   グレートネイチャー(その10) 「たった10秒間の感動・・」 (R2.6.2アップ)

 
   ここは星生山山頂・・(H29.10月撮影)
   ダイヤモンド大船ならず、ダイヤモンド北大船になった・・(苦笑)
   ダイヤモンド○○は凄く難しい・・
   狙う山頂と、昇って来る太陽をピッタシ合わせなければならないから・・だ。
   雲の状態が決め手になるし、ほとんどまぐれ当たりと言うしかない・・
   この日はわずかな雲の隙間に大きなダイヤモンドが光った・・
   たった10秒間の出来事だった・・九重よありがとう・・
  
   

    グレートネイチャー(その9) 「始めて遭遇したピンクの黎明」 (R2.5.12アップ)

 
   ここは中岳と天狗ガ城の間のつり尾根・・(H19.6月撮影)
   この日の黎明は最初は紺碧、次にピンク、最後にオレンジ色・・の三色黎明となった。
   もちろんピンクは始めてである。
   まさに朝のスペクトル光線のマジック・・グレートネイチャーである・・
   ミヤマキリシマのシーズン真っ只中にあるくじゅうを象徴する夜明けとなった・・。
   この清々しさを皆さんも味わって下さい・・




   グレートネイチャー(その8) 「劇的な、あまりにも劇的な・・」 (H23.12.5撮影) R2.4.26アップ

 
   ここは大船山山頂・・
   山頂到着時はホワイトアウト状態で何も見えなかったが、日没寸前になると同時に
   まるで魔法にでもかかった様に上空が明るくなり一気にガスが消えた。
   そこに姿を現した光景は、大雲海の中に浮かぶ九重連山だった。
   押し寄せる雲海は大船山に激突し、火口原を這い、滝となり、怒濤の勢いで米窪に流れ落ちる・・。
   まるで大河・長江の三峡ダムを思い起こさせる・・。
   私はこの劇的な展開に遭遇し、間違いなく九重には魔物が住んでいると確信した・・。



    グレートネイチャー(その7)  「ビッグバン・天地創造の世界」 (H17.7撮影) R2.3.25アップ

 
   ここは三俣南峰山頂・・
   一体全体、何という光景であろうか、私は言葉を失った。
   これはもうこの世のものではなく、神々の住む世界だ。
   今まさに宇宙はビッグバンを起こし、天地創造の瞬間を迎えようとしている。
   私は、ただただ圧倒されてしまい、しばし放心状態に陥った。
   見る見るうちに斑雲が燃え上がり、津波でも打ち寄せる様に私のいる方向に伝搬してきた。
   そして、私の立っている周囲の大地、草木も真っ赤に染まり、龍宮の世界と化した・・。 
   私は金縛り状態になり、ただ呆然と見つめているだけだった。                  
   


   グレートネイチャー(その6) 「地獄から天国へ・・」  (H25.11.30撮影)  R2.1.18アップ

 
  ここは扇ガ鼻下台地東端・・
  扇ガ鼻山頂で日の出を向え、山頂下台地のピンクの花園を夢見ていたが、残念・・
  待てど暮らせど終始ホワイトアウトの氷点下のガス嵐・・私自身が霧氷林になってしまう・・
  山頂は地獄状態だ・・。
  諦めて、下台地東端に移動・・
  そこには、めくるめく地獄と天国が交錯する世界が待っていた・・
  一瞬、ガスが切れ、眩しいばかりの星生が忽然と姿を現した・・
  ベートーベンの第九の歓喜の歌が聞こえてくる・・(苦笑)

   

   グレートネイチャー(その5)  ついに見せた星生の艶姿 (H23.1.27撮影)  H31.2.21アップ

 
  この年の冬将軍は凄かった・・
  待ちに待った星生南斜面のトロトロアーベントロートのチャンスがやって来た・・
  はやる気持ちを抑えながら肥前ガ城稜線に取り付き山頂に立つ・・
  期待通り、星生南斜面全体がトロトロに輝いていた・・
  陽が傾き始めると真っ白だった斜面がオレンジ色に変わり、ゆっくりとピンク色に変わっていく・・
  そして、青い光の影が溶け込み、ゆらゆらと揺れるように星生の女神はピンクに燃え上がる・・
  これ以上の艶姿があるだろうか・・
  そして、手前の肥前ガ城台地は波打つ大海原の様に揺れて流れる・・



   グレートネイチャー(その4) 大船山頂、龍宮城と化す (H22.1.26撮影) H31.1.30アップ

 
  この日の大船の夜明けは最初から最後まで猛烈な寒風ガス嵐・・
  段原方面からのガスが台風並の勢いで切れる事なく飛んでくる・・
  これだけの為に震えながらジーッと待ち、20枚くらいシャッターを切り、ようやく撮れた一枚・・
  この日はこの一枚だけのために全てを棒に振った・・
  スペクトル光線と霧氷が創るこの煌きはこの世のものとは思われない・・
  この煌きとはもう逢えることはないだろう・・


   グレートネイチャー(その3) 幻想、地吹雪舞う・・ (H23.2.16撮影) H30.12.14アップ

 
  ここは三俣西峰山頂・・
  今冬三度目の強力寒波がやって来た・・
  今回の目的は星生北斜面のトロトロ雪面のモルゲンロート・・
  しかし、スガモリ越に着くと天気は急変・・吹雪ゴーゴーの嵐となった・・
  西峰への登路は分からなくなり、腰まで雪に埋まりながら、喘ぎ、もがき、這うようにして
  やっとの思いで稜線に出る事が出来た・・
  そこには見た事がない幻想の世界が広がっていた・・
  北千里ガ浜からの烈風で飛び散る地吹雪だ・・
  圧巻は、大船の肩からのスペクトル光線に照らされた雪煙の色の変化だ・・
  ピンク色・・オレンジ色・・ゆらゆらと揺れながらダンスでも踊っている様に雪煙は飛び散り、舞い上がり、きらめく・・
  その度に大船も揺らめく・・
  何という美しさだ・・
  烈風に飛ばされる鼻水も、涙も忘れて私は呆然と眺めるだけだった・・
  九重には奇跡の絶景がある・・


  グレートネイチャー(その2) 肥前ガ城、大炎上・・阿修羅の如く・・ (H17.1.5撮影) H30.6.2アップ

 
  ここは星生崎下の展望台地・・
  この日の狙いは、ここからの盟主・久住のピンクアーベントだった・・
  12月は雪が全然降らなかったが、大晦日にやっと初雪が来た・・
  スタッドレスタイヤを持ってない悲しさで、タイヤチェーン規制が取れるのを待ち、やっとの思いで九重に来た・・
  しかし、夕方になるにつれ、霞がドンドン強くなり、今日はもうダメか・・と思い・
  帰ろうと三脚を畳みながらフッと後ろを見ると、なんと肥前ガ城が燃え上がっているではないか・・
  斑雲が出ていたのは少し前から分かっていたが、見る見るうちに真っ赤に染まってきた・・
  美しいを通り越して恐ろしいくらいだ・・
  2時間粘って諦めかけた最後の5分間の饗宴だった・・
  九重には人の心を揺さぶる「奇跡の絶景」がある・・
  帰路、西千里ガ浜で何度も後ろを振り返り、盟主に「今日はありがとう・・」とお礼を言って下山した。



    グレートネイチャー(その1)  立中山を飲み込み佐渡窪に流れ込む雲海 (H19.9.26撮影)

 
  ここは大船山頂・・
  この日は不思議な日だった。
  山頂到着時の暗闇で、坊ガツル上空を轟々と流れていた雲海が,着替えているわずか10分間のうちに消えてしまったのだ。
  しかし、その後吉部方面から再び雲海が流れてきて、坊ガツルを飲み込み、立中山を乗り越え、
  怒涛の滝となり佐渡窪に流れ込む・・。
  手前の鉢窪から佐渡窪に流れ込む怒涛の勢いはイグアスの滝を思い起こさせる。
  吉部方面から流れ込む雲海はまるで荒れ狂う大津波の様だ。
  このあと、この雲海は益々厚さを増し、せり上がり、「天空の大雲海」と化す・

     「天空の大雲海」

 
  この日の雲海は、とてつもない巨大な雲海だ・・
  それは、由布岳、鶴見岳を完全に飲み込み、はるかの北方の英彦山方面も雲海の大海原になっていた。
  雲海が雲海を押して、怒濤の流れとなり、九重連山を飲み込み、見る見るうちにせり上がり、天空の大海原と化した。
  チョッピリ見える中岳、天狗ガ城、星生、三俣が分かるだろうか・・
  私はこの圧倒的な迫力に言葉を失い、ただ呆然と立ちすくむばかりだった。