‘14厳冬 鶴見岳 地獄谷
                                           2014年2月13日
                                           メンバー: 狭間、幡手



                           厳冬の別府アルプス(鶴見連峰)

 私にとって今冬3度目の入渓。幡手さんにとっては数日前の山渓登山教室からわずか2日後の入渓。幡手さんは滝ノ谷に入りたかったようだが、数日来の積雪量からして滝ノ谷に入ることを私が躊躇したのは事実だ。そこで、数日前に入ったばかりの地獄谷だから、幡手さん用に地獄谷の別メニュー…つまり山渓登山教室が噴煙口付近に抜けたということなのでそのコースを避け、鞍ヶ戸T峰付近に抜けるコース、を用意した次第。

 地獄谷入り口林道ですでに25cmほどの積雪だったが、山渓登山教室一行のトレースを利用して、噴煙口に至る支沢と馬の背〜鞍ヶ戸T峰に至る支沢の分岐までは労せずに進むことができた。その後は膝下までのラッセルで徐々に高度を上げ、途中上部になるにつれ、沢は幾筋にも分岐しており、20年前のおぼろげな記憶を頼りに軌道修正しながら稜線を目指した。

  沢は上部ではほど良くクラストしており、時おり後方眼下に別府湾を見下ろしながらアルペン的な登高を楽しんだのち、入り口から約2時間で小滝に行く手を阻まれ、進むかコース変更をするかの選択を迫られることになったが、ためらっている私を尻目に相棒・幡手さんは迷う様子もなく果敢にノーザイル(そもそもザイルは持ってきていない!)で、へばりついた氷を(ついでに石も)せわしげに落としながら足場を確保しつつ難なく小滝を抜け私の視界から消えていった。

 残された私も後に続き「このくらいの斜面なら落ちても知れてますよ!」という相棒の、どこかノーテンキというか怖いもの知らずな言葉に煽られた感じは否めない。

 さて、抜けたはいいが、しばらく急峻な雪面を登高したのちその先に待っていたのは岩壁。とりあえず小休止をとり今後の行く末を相談した結果、「氷がへばりついた岩稜を行きましょう」とは幡手さんの言。どうもこの人はあまり恐怖心を感じないらしい。ここでも幡手さんは先陣切って氷のかけらや不安定な石をバラバラと落としつつ足場を確保しながら果敢に岩稜を抜けて行った。

 一方、残された私は、気温が高いためかすぐにも崩れる不安定な足場を信用することができず、岩稜基部をトラバースして隣りの小さな支沢に移り、すでに稜線間近の緩傾斜の雪面をラッセルして、幡手さんとは稜線で合流。林道出合からの所要時間3時間と4分。積雪量からすれば、まずまずのペースだ。

 ところで、抜けた場所が稜線のどの位置か、ということだが、途中ルート選択を誤ったらしく、当初予定の鞍ヶ戸T峰より鶴見岳本峰寄りの馬の背付近に抜けてしまっていた。地獄谷には幾筋もの支沢があるから、再現性のあるコース取りというのは、なかなか難しい。・・・まっ、ご愛嬌ということで。

 稜線到達以後は、せっかくだから鞍ヶ戸V峰(1344m)の頂を踏もうということになり山頂を目指したが、降り続く雪、あまりの積雪量と残された時間を考慮してV峰山頂手前100mにして断念し、引き返し鶴見岳山頂経由、登山道を火男火売神社経由で下山、約9時間の実動ののち午後4時を少し回った頃、境川林道入り口に到着して本日の登山を終了。

 愛車マツダCX-5の天井には新雪が15cmほど積もっていた。(15日昼から16日にかけて降り続いた雪は、今冬最多、大分県では10年に一度またはそれ以上とも言える積雪量となった)

 (コースタイム)境川林道入り口7:22→林道ゲート7:50→地獄谷(境川第4支渓)8:42→小滝10:51→岩稜11:22→馬の背11:46→鶴見岳山頂14:04→境川林道入り口16:17 

 
         今回のGPS軌跡

【参考】
真冬の鶴見岳北谷

鶴見岳北谷滝ノ谷
 
        地獄谷(境川第四支渓)取り付き付近

  
       左手奥に岩壁が見えてくるとルートを右に採る

 
                小滝の登攀

 
       小滝を越えると急にアルペン的に

 
      一難去ってまた一難

 
      さらに鞍ヶ戸T峰目指して