詩107
桜並木の径 スケッチ
20145.4.11
散り急ぐ花のころ
うら若い母親が
乳母車を押していく
子はぐっすり眠り
──花提灯を灯している
花びらが蝶のように
舞ってきては とまり
若い母親は
たおやかに
乳母車を押していく
花吹雪が
それを隠す
黄水仙
2014.4.15
黄水仙の咲き乱れる
湖への路
その昔 君と歩いた路
すでに君はなく
黄水仙の花は今も変わらない
ぼくは黄水仙の花を
折りもちて湖に向かう
──かつて 君がしたように
そして それを湖に浮かべる
弔いのように
タンポポ
2014.4.28
子どもがタンポポを
吹いて飛ばしている
タンポポは風を得て
つぎつぎと
空の彼方へ飛んでいく
タンポポは、どこへ?
それは 誰にもわからない
川原か、森か、草原か、──
あるいは
団地の家々の小さな庭?
とまれーーー
タンポポは飛んでいく
爽やかな五月の風にのって
どこか遠くに飛んでいく
わたしはそれを熱い眼差しで
見送っている