詩101

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 その3   
                 2013.4.27
チューリップの咲く
公園の
ベンチに
かわいい子どもがひとり
腰掛けている
だけも気に止めない
だれもふり向かない
前を通る人も気づかないようす
チューリップの上を舞っていた
天使が
いま休んでいる
ーーーーーーーーーーようだ


 その4
              2013.5.7
チューリップの花咲く
公園の
ベンチにきて
ひとりわたしは
腰を下ろしている
チューリップは色とりどりの花を
咲かせ
その真ん中で噴水は虹をかけている
───季節のめぐりを祝って
だが、わたしは
楽しめない
わたしの未来は閉じ
過去は失われていくばかり
そう わたしは年をとった
嘗て わたしとともに
このベンチに腰掛けたあの人も
もうすでにいない
ただ───
どこからともなく飛んできて
わたしの隣りに
そっと止まった蝶が
かすかにわたしを慰める‥‥‥

題を
    チューリップの咲く公園のベンチ
 に改める

 天女
          2013.5.20
花公園の
ベンチに
老人がひとり腰を下ろしている
咲き誇る
色とりどりの花の上には
蝶々が
舞っている
老人は
それを眺めて
いつまでも休憩している
人は年をとると
いろんなものが見えてくる
見えないものも見えてくる
老人には
いま花々の上を
舞っている
天女が見えている

老人はいつしか
居眠りをはじめ
ベンチに立てかけた
杖には
蝶が止まっている

  その2 のVERSION


  無題
             2013.6.6
あやめの花が咲いている
あやめの花は池に映っている
澄んだ水に映った
あやめの花は美しい
もとのあやめの花よりも
美しい
わたしは無心に
いつまでも眺めている
そう 無心に!
澄んだわたしの目に映る
あやめの花はさらに
美しい