詩72
花壇
10.8.28
公園の隅の小さな花壇
誰かが
せっせと何かを植えている
その前を通り過ぎる
人たち
でも 誰もそれに
気づかないようす
さて
公園の隅には
一つのベンチ
そのベンチにいつも来る
若い二人
今 二人が目にするのは
植えられたばかりの
可憐な花
やさしく微笑む三色菫
花はまるで二人を祝福するよう
はて、その花を植えたのは
誰?
八月二九日
10.8.31
威容を誇った
入道雲もいつしか姿を隠し
沿道の木々たちは
落ち葉の絨毯を敷きはじめた
やがて 美しく敷きつめた絨毯の道を
若いカップルたちが
手を繋いで通ることになるーーー
そんなことを空想しながら
私は街角を曲がった
ショーウィンドーのマネキンたちも
すっかり秋の装いを凝らし
あの水着の女達は
どこかに行ってしまった
私はいくつか通りを抜けて
去り行く夏の姿を
求めるかのように
噴水のある
広場にやってきた
そして ふと 見上げる と
競い建つビルのうえ───
そこではまだ夏の日が
燦然と輝き
巨きな看板の
水着の女たちを照らしていた
9月4日 微訂正