詩67
  旅人の歌 ゲーテに和す
                  10.3.13
長い旅をしてきた
その私の旅ももう終わりに近づいてきている

旅は
楽しかったのか
苦しかったのか
それとも
苦あり
楽あり
────だったのか

だが 私は
過去はふり返らない
とういのはーーー
まだ少し残されている
旅の最後のゴールまで
今は
ただひたすらに前を向いて
歩いていたいのだ

そして 迎えたい
(ゲーテの)
「旅人の夜の歌」のような
あの憩いを
天地のやすらぎのような憩いを
─────私の心の山小屋で

      
   ゲーテは若いとき有名な「旅人の夜の歌」を
   イルメナウ近郊の山小屋で書いたが、死の
   半年前に又訪れた。
   「旅人の夜の歌」は2編ある。
        

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   晴れた五月の土手の道
                    10.6.10
晴れた五月の土手の道を
歩いていると
優しい風が吹いてきて
頬を撫で
髪を撫でーーー

晴れた五月の土手の道を
歩いていると
蝶々が一羽飛んできて
肩のあたりや
前を飛びーーー

晴れた五月の土手の道を
風に吹かれて
蝶々を連れて
足どり軽く
歩いているとーーー

やがて
蝶々はどこか遠くに
飛び去って
いつしか優しい
風も止み
私は一人になるがーーー

晴れた五月の土手の道では
すでに影はぴったり私に付き添って
私が手を振れば
影も手を振り
私が止まれば
影も止まり
私と影はすっかり気が合ってーーー

晴れた五月の土手の道は
私を独りにしない