詩54
  花・入道雲
           08.9.10
職場の窓際の
空き机にそっと飾られた
秋草の花

誰が
何処から
採ってきたのであろうか

まだまだ
その時節には
早い花

誰かが
高原に出かけて
摘んできたのであろうか?

仮初にコップに活けられ
さりげなく置かれた
野の花

時々目を止める人に
花はさかんに
微笑みを投げかけている

爽やかな
草原のかおりを
振りまいてーーー

窓からは
入道雲が覗き込み
それを眺めている

今日
入道雲は
少し頭こうべを垂れている
  外輪山にて(訂正)
              07.11.9  08.9.4
外輪山の一角
野菊の花の風に揺れる処
目の前に横たわる
大阿蘇は
今日も 白い噴煙を空高く上げている

私は
大都会の喧騒を逃れて
ときどき ここにやって来る
あたかも
古い恋人に会うように

そして 手を振る
すると 今日も
お前は 白い噴煙を靡かせて
応えてくれる
ああ 私だけの大阿蘇

   
              08.9.25
職場のフロントデスクに
飾られる
その折々の季節の花

臨時雇いの若い娘
近づいて
なにやら語りかけている

彼女は職場の誰とでも
にこやかに
会話を交わしているが

ときおり花と語り合う
その顔は
何にもまして楽しそう

自分も真似してみたくなり
近づくと
花はとっさに変身し
 
────造花になった 
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