詩52
   入道雲 その1
                08.7.28
真夏の青い海のうえ
入道雲が
今日も威容を誇っている

海は海水浴客であふれ
白いヨットや
ボートも浮いている

海岸の
白い砂浜には
ビーチパラソルの色とりどりの
花が咲き

裸の若い男女が
入道雲を眺めながら
熱い言葉を交わしている

入道雲は
今日も威容を誇って
もくもくと空に聳え

じっと黙って
それを
見下ろしている

だが、入道雲は
本当は告げたいのだ

自分のはかない運命と
夏のはかなさを
   入道雲 その2
                 08.7.28
焼けた鉄板のような空を
一羽の鳥が飛んでゆく

鳥は
山に向かはず
街に向かはず
海に向かって飛んでゆく
ーーー青い青い海に向かって

海には
入道雲が出ている

入道雲は
水平線のうえに立ち上がって
じっと待っている

入道雲は
いつも
何かを
誰かを  待っている

広い広い
海の孤独に耐えて
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