詩50
金色の夕日が今
08・4.21
金色の夕日が今
沈もうとしている
私の歩いて行く方向に
私の前を行く人は
一枚の影絵となって
この金色の夕日の中に
消えていった
私も あのように
この金色の光の中に
消え入りたいのだがーーー
近づけば夕日は遠ざかり
追い行けど追い行けど
遠のく
やがて
夕日は山の端に没し
空しく残されて
また 私はいつものように
暗い家路を辿る
ああ もう幾度
繰り返してきたことだろう
このドラマを
そして あと幾度繰り返すのだろう
このドラマを─この永劫回帰のドラマを
個々の瞬間の君の行為がことごとく
永劫に回帰するかのように行為せよ
─ジンメル
ある書物を読むにあたって
08.5.12
風薫る五月の日
一冊の書物を片手に
私は丘に上る
ゆく先は
一本の大きな楡の木のもと
そのみどりの木陰で
私は持ってきた部厚い書物を
ひもとく
「そこに僕の絶望の一ページを読んだ」と
嘗て 友が語った
あの書物
ドイツの哲人が著した
あの書物をーーー
あれから三十年を経て
私は 今おそるおそる
読み始める
この書物
「ツァラトゥストラはこう語った」を
友の あの言葉を理解するため?
否!
かくまで深く「世界」が絶望した
その元を知るため
無題 (拾遺)
07.10.14
薔薇の花
美しく
妖しき
この花
笑まんと
ながく見詰めて居しに
花の言う
笑むも笑まぬも
あなたの心次第 と