詩51
   無情
               08.5.28
疲れた体を休めようと
ベンチに腰掛けると
目の前に
チューリップの花が咲いている

花は
ぼくが
腰を下ろそうとしたとき
微かに微笑んだような気がしたが?
 
花はもとより無情である
花はただそこに
明るく咲いている
ただそれだけのこと

ちょうど
君が
いつも ぼくの目の前にいる
ただそれだけのように

   森
             08.7.28
大きな森の入り口に
自転車が一台置かれている
森は深くどこまでも続き
一本の径が通かよっている
その森の入り口あたり
大きな樫の根元に
自転車は置かれている
まるで
これより先は
乗り入れることは出来ないとでもいうように

森は小暗く
人影もなく
径は果てなく延び
自転車の主は
時が経っても
いつまでも帰って来ない
きっと
妖精たちと遊んでいるのだろう

   虹の橋 
                08.7.22
雨上がりの街空に
大きな立派な虹がかかっている
虹は天に向かってぐんぐんのび
また地上に下ってくる

ああ その素晴らしき「湾曲」
アメリカの詩人がうたった
あの希望のアーチ
未来への掛け橋

あるいは
夢の国への
魔法の掛け橋

ところで
ひとは言う
「それは誰も渡ったことのない橋」
「渡ることの出来ない橋」と

いつでもどこでも
大人たちはかたくなにそう言う

でも
子どもたちは言う
「魂」は渡っていくことが
できる と
      
          Hart Crane と
          W.Wordsworthに捧げる
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