詩48
  グットバイ ホイットマン
                     08.2.24
ウォルト・ホイットマン
アメリカ合衆国の詩人
人は彼を19世紀の偉大な詩人と称える

だが 僕が始めて出会ったときの
君は ただの異端の放浪詩人
底抜けに明るい楽天的な理想主義者にすぎなかった
僕がたまたま本屋で君に出会ったのは
19歳のとき
前途は暗く闇に覆われ
僕には人生の道が見えなかった
そんなとき
突如 君は現れ
その陽気な歌で僕を鼓舞し
明るく世界を照らし出してくれた
僕はたちまち君の虜になり
以来 君は僕の心に住み着き
僕らはともに人生の道を歩き始めた
闇は晴れ
道は明るく
心も軽く大道の歌を高らかに歌いながら
満ち足りて僕らは力強く歩を進めた
自由と民主主義の旗を振りかざし
はるか遠くの虹をめざしてーーー

ああ
あれからどの位歩いただろう
道はまだまだ続き
虹もまだはるかに見えている
だが この長い旅路の途上で
僕らはいろんなことを見聞きした
つねに多くのことを学んできた
そして
虹の袂には決して行き着くことのないこともーーー

それでも僕らは歩き続けた
「より高い旅」をめざし、「魂の前進」のため
「終わりのないひとつの行進」のように
前へ、前へ
逃げゆく虹を追いかけてーーー
ところが
ある日 ふと気付くと
君は消えていた
君はもう僕の心には居なかった
ふり向くと
ホイットマンは
もう僕と一緒に行こうとしないで
遥か遠くで手を振っている
いつまでも
いつまでも

グットバイ ホイットマン
でも、僕はまだまだ続けるだろう
君の思い出を胸に
僕自身の旅を



   春の日
                   08.3.10
どこかの屋根の上で
鳩が鳴いている
うららかな春の日

私は窓にもたれて
一人ぼんやり
その声を聴いている

すると 時間が逆さに流れだし
遠い遠い記憶の彼方に
私をつれ戻す

そこでも私は窓にもたれ
一人ぼんやり
鳩の声を聴いている

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