詩2
空
2004.7.17
朝、窓を開けると
空が入ってきた
そこで
かつて空と仲良しだったことを思い出し
手を差し伸べ
握手しようとしたが
空はすぐに去っていってしまった。
窓の外を眺めると
空と燕は今でも仲良しで
近づいては去り
しきりに招くが
あの頃の自分にはもう戻れない。
空2
2004.7.19
ほんの少し
空に近づけるということのため
人は屋上にやってくる。
嘗て聞かされた
天国の話など
本当に信じているわけではないが
ほんの少しでも
天に近づきたいため
人は屋上にやってくる。
そして
休憩し
雑談し
あるいは煙草を吸い
ほんの少し
天国にいた気持ちになり
やがてまた
人は屋上を下りていく。
海
2004.7.22
目の前に
青く広がる
真夏の海を
白波寄せる
その海を
ただ見ていていたいがために
岸辺に立って
いつまでも眺める
遠く広がる
真夏の海を
白鳥飛べる
海原を
記憶のカンバスに
丹念に塗りこんで
ぼくは
海岸を去った
孤独の思いにうち沈み
暗いベットに横になり
ひとり凩を聞きながら
空しく過ごす
冬の夜に
意識の奥の抽斗から
そっと取り出す
秘蔵の絵
思い出の額縁に嵌めて
心の闇の壁にかけ
ひとり静かに
眺めていれば
真夏の海は
目の前に
またも広がり
波打ち寄せる
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