詩33
   
           2005.9.25

目を覚ますと
カーテンの外で
雀がチュンチュン言っている
ぼくは
目をこすったが
起きないで
いつまでも
雀の声に聞き入っている
雀はしきりに
チュンチュン
チュンチュン
チュンチュン
チュンチュン
と言っている
雀は
朝日とお話をしている

  外輪山
          2005.9.25
コスモスの花の彼方
白い噴煙を上げる
大阿蘇
ファインダーの中には
白い帽子の
貴女(あなた)
わたしは
思い出のシャッターを切った

そのかみの日に変わらず
大阿蘇は
今日も白い噴煙を上げている
外輪山の一角
わたしはまた
ファインダーを覗く
あの日 貴女が立った場所
風に揺れるコスモスの花



 丘の上のベンチ
        2005.10.8
郊外の丘の上にある
粗末なベンチ
そこに座るために
ぼくはよく丘にやってくる

郊外の丘の上にある
粗末なベンチ
そこに座ると
見える遠い海や峰々

郊外の丘の上にある
粗末なベンチ
時々そこを
占拠する若い恋人たち

郊外の丘の上にある
粗末なベンチ
そこに座れば
時間が止まる一基のベンチ


    
         2005.10.23 
湖の岸辺に寝転んで
若者が一人
ぼんやり宙を観つめている
その瞳には
白い雲が一つ映っている
白い雲はボートの容をしている

いつしか
若者は雲のボートにのっている
ボートは
己が瞳の中に浮いている
若者は
漕いでいく
どこまでも−−−
然り
若者の瞳は
夢を湛えた湖なのだ