詩24
空
2005.7.16
丘に上れば空に届くと
固く信じていた日
ぼくは
毎日ぼんやり眺めていた
学校の窓から見える
一つの丘を
丘の上には
一本の大きな樹があり
時々手を振って
しきりにぼくを招いていた
樹にはときどき
雲が下り
ぼくは
雲にも乗れると思っていた
ある日突然
先生は
ぼくらを連れて
丘に上った
手を繋ぎ
歌を歌いながら
ぼくらは丘を上っていった
丘の上には
青い空が待っており
大きな期待に胸弾ませて
ぼくは
丘を上っていった
丘の上に立った
ぼくたちは
一斉に歓声を上げた
だれもが万歳をし
ぼくも
力強く
空に手をのばしたが
手は空に届かなかった
空はもっとずっと遠いところにあった
もちろん雲も遠かった
今でも ぼくは
鮮明に記憶している
この忘れられない経験を
幼心に味わった
初めての挫折を−−−
裏切られた悔しさを−−−
それから幾十年
ぼくは幾つの挫折を味わっただろう
覚え切れないほど味わってきた
挫折の数々
ああ!!
今日も
ぼくは一つの挫折を経験した
海
2005.7.23
青い青い海に向けて
二つの白い椅子が
置いてある
海は
白いヨットをちりばめ
遠く近くに
汽船を浮かべ
海鳥を舞わしめ
ときどき呟きながら
朝から
二つの椅子に座る人を
待っている
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